MIHAMAの靴
今日郵便受けに一通の手紙がありました。手紙には「先日は心のこもったお手紙ありがとうございました。恥ずかしながらこのようなお手紙をいただいたのは初めてで…この手紙は私にとって一生の宝物です。…」お盆の間長崎に帰省していました。その間に博多に行く機会があり、愛用しているMIHAMAの靴で新しいデザインのものを買おうと思い、宿泊しているホテルのコンシェルジェに「MIHAMAというブランドの靴を扱っているデパートの場所を教えてください。」と尋ねて調べてもらいました。コンシェルジェ専用のダイヤルがあるようで、取り出したデパート電話リストの上から順番にかけていました。さっそく調べてもらったデパートに行って、MIHAMAの靴売り場に向かいました。気に入ったデザインがいくつかあったのですが、サイズがなくあきらめてお店を去りました。そのあとぶらっと博多の街を歩いたあと、どうしても気になって閉店間際でしたがもう一度そのお店に行きました。「実は今履いている靴がかなり重症で…」その時の靴は、もうメタメタに履き潰していてかなり伸びきっていて歩くと必ず1回はかぽっと抜けてしまうくらいでした。気に入った靴を買うことにして「これお願いします。」と言うと、店の人は「ちょっと今の靴よろしいですか?」とそのメタメタ靴を奥に持っていきました。もうデパートは閉まりかけていて私も何度も「もう履けないと思うし、いいですよ。」と言ったのに、何回も靴の中に中敷を入れては試し入れては試し、そして靴は歩いても抜けなくなりました。ホテルに戻り、対応してくれた人にお礼の手紙を書き、翌日時間がなかったので、デパートの受付の人に「昨日靴を買ったときにとてもお世話になったので、渡してもらえますか?」と手紙を言付けて博多を去りました。そして、東京に戻り、来た返信がこの手紙でした。実は、この博多のMIHAMAの靴売り場の人、役者の堺 雅人に似てる!と直感で惚れてしまい、相手は接客してるだけなのに「(ん~なんて優しい人・・)すいません、この靴の24.5ありますか?」とか言っていろいろ対応してもらったのです。もう一度店に戻ったのもこのお兄さんに会いたかったがためです。それに、普通だったらそういう人でも「一期一会さ…」と思うのですが、ホテルのコンシェルジェにわざわざ教えてもらったこともあって、どうしてもMIHAMAの靴が買いたかったのです。買った靴は店で一番安い8,000円。でもお兄さんは私がいろいろ靴を見ている間、視線を先読みして、24.5cmの靴のデザインのものをたくさん出してくれました。しかも履き潰したくつを復活させてくれた・・。ホテルのレターセットで書いた私からのお礼の手紙には「…履いていた靴は母からの誕生日プレゼントだったので、また履けるようになってとても嬉しかったです。大切に履こうと思います。…新しい靴をすぐに買おうとしてしまうこと、靴と長く付き合っていくこと、たくさん気づかされることがあり、どうしてもお礼が言いたく手紙にしました。…」これは私がただお兄さんに惚れてラブレターを出した、だけじゃなく、冷たい東京では感じることのなかった人の「優しさ」に触れる機会が、帰省中何度もあって、何かの形でそういった人たちにお礼が言いたくて仕方なかった矢先に出会ったので、お兄さんだけじゃなくてたくさんの人にお礼を伝えたくて書いたものです。それがこういうかたちで返ってきて、とても嬉しかったです。また博多に行ったら会えるかな・・・。なんて期待もしつつ。それまで大して靴に対して思うことはなかったというかむしろ無頓着だったのですが、MIHAMAの靴に出会って変わりました。中敷は無料でしてくれるし、買った靴にクリームをつけてくれたりして、靴を大切に扱うことを気づかせてくれました。リピーター・デビュー!■写真提供:Candy