シャーロック・ホームズの宇宙戦争
書庫を整理していたら「シャーロック・ホームズの宇宙戦争」が出てきた。つい懐かしくなって手に取って読んでしまう。タイトルから想像も容易いが、これはH・G・ウェルズの『宇宙戦争』の事件に、ホームズとワトスンらが巻き込まれるというものだ。タイトルからは想像もつかないが『失われた世界』のチャレンジャー教授も登場する。邦訳刊行当時、カバーイラストがかなり漫画的だったので、コメディとかパロディの類いではないかと勘違いして敬遠する向きが多かったという。無論、内容はそんなことなく、シャーロキアンも納得させる整合性を持つ作品に仕上がっている。大きな改変もほとんどなく、ここまで辻褄が合うとは意外である。そういう意味では、知名度の低さが惜しまれる。H・G・ウェルズの『宇宙戦争』を読んで物語を知っている人でも十二分に楽しめる。もちろんシャーロキアンをも満足させること請け合いだ。「シャーロック・ホームズの宇宙戦争」マンリー・W・ウェルマン&ウェイド・ウェルマン 著深町真理子 訳 創元推理文庫ISBN4-488-66501-2