2007/01/01(月)12:19
中原中也
あけましておめでとうございます!
昨年の元日に引き続き、今年も新年一回目のブログには、私の好きな詩人「中原中也」の詩を書きます。
中原中也の詩は、すでに死後50年を経過しており、著作権フリーになっていますので、青空文庫などのテキストデータに登録されています。
無情感が強い詩が多く、お正月向きの詩ではないのですが、素敵な詩が沢山ありますので、お時間のあるときにでも読んでみてください。
では、今年もよろしくお願いします。
除夜の鐘
中原中也 詩集『在りし日の歌』より
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
千万年も、古びた夜《よる》の空気を顫《ふる》はし、
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
それは寺院の森の霧《きら》つた空……
そのあたりで鳴つて、そしてそこから響いて来る。
それは寺院の森の霧つた空……
その時子供は父母の膝下《ひざもと》で蕎麦《そば》を食うべ、
その時銀座はいつぱいの人出、浅草もいつぱいの人出、
その時子供は父母の膝下で蕎麦を食うべ。
その時銀座はいつぱいの人出、浅草もいつぱいの人出。
その時囚人は、どんな心持だらう、どんな心持だらう、
その時銀座はいつぱいの人出、浅草もいつぱいの人出。
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。
千万年も、古びた夜《よる》の空気を顫《ふる》はし、
除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。