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2019/02/09(土)16:37

クランベリージュースとクスリの相互作用(2)

サプリメント(31)

クランベリージュースとワルファリンの相互作用について、英国医薬品安全性委員会(CSM)からNew Adviceとして公的に注意喚起がなされたことを前回書きましたが、その相互作用によって一体何が起こるのかについて補足します。 ○相互作用の内容​ワルファリンは血液の凝固を抑える作用があるため血栓が出来やすい患者さんなどに使われるクスリですが、クランベリージュースを飲んでいる患者さんでは、ワルファリンの作用が増強されて血液の凝固に必要な時間が延長する、つまり血が固まりにくくなり、出血しやすくなる恐れがあるということです。イギリスでは実際に出血しやすくなった症例が報告されているとのことです。 では、なぜクランベリージュースにそのような作用があるのでしょうか。 ○相互作用の機序(メカニズム)​まだその原因は明確になってはいませんが、植物成分のフラボノイドか何かががワルファリンの体内での代謝(分解・処理)を抑えるためワルファリンの血中濃度が高くなり、作用が増強されるのではないかという考えもあります。この点は今後の解明が必要です。 ところで、グレープフルーツジュースにも同じように一部の血圧のクスリなどの代謝を抑え作用を増強することがよく知られています。 これについては原因は、グレープフルーツジュースに含まれるフラボノイドの中でも主にナリンギンという物質が一部のクスリの代謝酵素を抑制するからということが解明されています。 もっとも、この場合の代謝酵素はチトクロームP450(CYPと略されます)という酵素ですが、いろいろな仲間があり、ナリンギンは主にその中のCYP3A4という酵素を抑制すると言われています。 (注意:植物フラボノイドにはきわめて多くの種類がありますが、全てがこのような作用を持っている可能性があるわけではなく、サプリメントに使われているような多くのフラボノイドではこのような問題は指摘されていません。) ○ワルファリンとグレープフルーツジュースについてのテレビ番組の話は疑問あり​さて、話はワルファリンに戻りますが、以前「たけしの本当は怖い・・・・」と言う番組で、グレープフルーツとワルファリンの相互作用で重大な出血を起こすから怖いというような内容が放映されましたが、これは前回書きましたように理論的には疑問があります。 なぜなら、ワルファリンが体内で作用する活性体は、同じP450の仲間でも主にCYP2C9という酵素で代謝されるので、CYP3A4という酵素の作用を抑制するナリンギンというグレープフルーツの成分の影響は受けにくいと考えられるからです。 ワルファリンのごく一部がCYP3A4で代謝される可能性も否定は出来ませんが、テレビで報道されたような重大な相互作用にはなり難く、実際に国内ではそのような報告もなかったようです。 ○ワルファリンを飲んでいる時は他の薬や食品との相互作用に注意が必要​もっとも、ワルファリンというクスリはいろいろなクスリや食品と相互作用を起こすため、ワルファリンを飲んでいる患者さんは、疑問があれば医師、薬剤師等と相談し、その指導に従うよう心掛けることは必要と考えられます。 このテレビ番組で出た「グレープフルーツジュースの話」については、ワルファリンの製造販売会社や日本薬剤師会から「番組で出たような重大な相互作用が発生するとは考えていない」との否定的なコメントが出されています。 ​ TOPへ

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