嘘つきサンタクロース
去年のクリスマスに僕はサンタクロースと約束をした。また来年、必ず逢いに来てくれると約束をした。だから僕は半分寝ながらじっと待っていた。眠くて眠くて仕方がなくて、なにかに吸い込まれるような感覚が僕を包んだ。穴に落ちていくのか、空に登っていくのか、僕にはよくわからない。フワリと浮いたまま風に吹かれたように体が流される。着ていたパジャマがいつの間にかサンタの衣装になっている。顔には白いヒゲまで生えている。それに真下には僕の家の屋根が見える。ゆっくりゆっくり降りていくと僕の部屋に一年前の僕がいる。あ、僕が喜んでる。サンタの正体は僕なのに。僕が欲しい物なんで知ってるのか不思議だったけどわかるはずだ、サンタは僕なんだから。そうか、僕は僕と約束していたんだ。一年間、ずっと自分を待ち続けていたのか。なら逢えなくても淋しくないや。