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本の森で呑んだくれ、活字の海で酔っ払い

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2019.03.17
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テーマ:お勧めの本(7203)
 私、こう見えて(どう見えているか分からないのだけど)医者になって35年以上たち、各科ローテートした研修医時代に始まって、呼吸器内科医として働いた病院医師時代を経て、現在の診療所長になってもう15年、いろいろなシチュエーションでたくさんの人の最期、つまり「その日」に関わってきた。とくに診療所に来てからは在宅で「その日」を迎える人たちについての思いが強い今日この頃。在宅で看取った患者さんはそれほど多いわけではないけどそれでも200人くらいでしょうか。最期は入院したけど在宅で一定の期間を過ごした患者さんも含めれば500人以上の方々に関わってきましたし、それなりにオーダーメイドに心を込めて関わっているつもり。

 なので読書では、医師や看護師たちが書いたノンフィクションや「その日」に関する小説もけっこう読んでます。その中で医学生にお勧めとして選びたい本は沢山あれど・・・
 病気を治すための治療だけではなく、患者さんの人生に向き合える医師になってほしいけど、まずは医学生さんは若いので自分や身近な人が死ぬということをイメージしたこともないだろうし、そんな患者さんをイメージすることは難しいんだろうなと思うので、ノンフィクションの世界で体験してみて共感できることがあればとても有用だろうと思う。

​​​​​ 必ずしも医療関係の小説ではなくてもいいのだけど、人生の最期=死にまつわる本を選んでみた。人が生きること、死ぬこと、周りの人たちのことを、医師である前に人間として理解して感じて共感できる能力や感受性が必要だと思う。医者の世界に入ってしまうと忘れてしまいがちだけど大切なこと、初心を忘れないでほしい。

参考までに医学生にお勧めの他シリーズもあります
「医学生におすすめの本(コミック編)」
「医学生におすすめの本(手記編)」
「医学生におすすめの本(これからは総合診療だ!編)」


​サイレント・ブレス | 南 杏子​
〇「サイレント・ブレス
静けさに満ちた日常の中で、穏やかな終末期を迎えることをイメージする言葉です。
多くの方の死を見届けてきた私は、患者や家族に寄り添う医療とは何か、自分が受けたい医療とはどんなものかを考え続けてきました。
​人生の最終末を大切にするための医療は、ひとりひとりのサイレント・ブレスを守る医療だと思うのです。(著者)


​都内の終末期医療専門病院で現役の内科医として仕事をしている著者のデビュー作​

​●主人公は大学病院総合診療科の医師水戸倫子は「むさし訪問クリニック」への異動を教授から告げられて左遷人事だと思ったのだが、現場に行ってみると今まで自分が急性病院から退院させた患者たちの生活があった〇自宅に戻り、後遺症に苦しんだり、リハビリに取り組んだりしながらどんなふうに生きているのか、ほとんど知らなかったのだ。
●と、在宅医療に目覚めてハマっていきながら成長していくお話しの短編集。それぞれにちょっとミステリーにもなっている。
詳しくはブログにて↓
https://plaza.rakuten.co.jp/drunk4374books/diary/201903170001/

その日のまえに | 重松 清​​​
​​●著者はワシと同郷の岡山県生まれで青年時代を山口県ですごしたそうなので、なつかしい方言が出てくることで親近感もあったり、オヤジと子供との微妙な距離感みたいなものにも共感しながら魅かれて何年か前にあれほど共感して読んでいた作家さんだ。久々にタイトルに魅かれての図書館本は「死」にまつわる短編連作的な作品だった。


●「その日」とはがんを宣告された和美の余命が終わる日のこと。「その日の前に」夫婦の出発となった相模新町を訪ねる
〇あとになってから気づく。あとにならなければわからないことが、たくさんある。〇同窓会に来なかったひとの思い出話をするときって、みんな、死んじゃったひとの話をしてるみたいだったもん
詳しくはブログにて↓
​​https://plaza.rakuten.co.jp/drunk4374books/diary/201903170003/

​最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫) | 二宮敦人​

​タイトルや表紙のデザインからしてもっとラノベっぽいと思っていたけど、ところがどっこい、構成もしっかりしていて不自然さがない(医療従事者としてはツッコミどころ多々あるけど)、描写もしかりしていて平面的ではない印象で意外だった。​

●最期の看取りに多く関わる仕事をしているけど(というか「だから」?)、桐子の考え方には同調しながらも、彼の突き放した言葉には違和感を感じていた。福原の考え方はまあよくあるけど本気でそう思っている医者がどれだけいるかは??最後まで読んでやっと、そうか両極端を描いてラストに持っていく物語だったんだと分かった。〇「おとやませんせいは、まよってくれました」●涙、中途半端だと言っていた音山が実は、癌になって死を覚悟して重要な役割を果たすという構成には納得。●何だか悔しいと思うほど良い作品だったと思う。
​●「文献なんか読んでんじゃねぇ」「検査データなんか見てんじゃねぇ」 「そん患者のところに行け」と言われていた研修医時代を思い出した。今になってやっとわかった、患者さんと一緒に考えて悩むことが大事だってこと。

​さざなみのよる | 木皿 泉​
●「昨夜のカレー、明日のパン」についで木皿さん2作目、若くして亡くなるナスミの視点からみた臨終の場面から始まるが、前作同様に亡くなった主人公に関わった人達の視点から書かれた多視点の短編連作小説。それぞれのお話でナスミの過去のエピソードが回収され、関りのあった人たちが自分の人生に向き合うことになり、彼女が生きてきたことや感じていたことが次第に読者に明らかになってくる。今回の作品では主人公ナスミが亡くなった後の世界、夫の再婚、再婚後にできた子供の人生まで書かれている。人が生きているってそういう宇宙的なものの中でのできごと、だけどかけがえのないものなんだよっていうメッセージなのかな?と思った。



〇「おんばざらだるまきりくそわか​(生とし生けるものがしあわせでありますように)​​
〇何をあげて、何をもらったのか、誰も知らない。
●43年の人生の間であちらこちらに種を蒔いていたんだなと思う。きっと誰でもそうだとは思うけど、ナスミのように人をポジティブにできるような種を蒔く人生でありたいと思った。

〇「ナスミさんからのメッセージを感じます」●母からナスミに贈られたダイヤモンド、台所の柱に描かれた目の中に貼り付けられたダイアモンドの仕掛けのエピソードは面白かった。そして歴史は続いていく。やっぱり歴史は続いていくというのがこの作品のメッセージなのも?
〇「五階です」が「誤解です」●はファンタジーの世界になっちゃった?好江が加藤由香里と本を作ればきっとナスミは喜んでガハガハ笑うでしょうね。
〇なんか、あらがえないっつーの?ナスミのコトバはさ、無視するとあとが怖いっていうか
●一見軽そうだけど真剣、ちょっと不思議で存在感のあるナスミさんだった。

​*医者である前に「人」であれ。そういう感覚を養ってくれるのが小説だと思います。​
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Last updated  2019.11.20 22:13:06
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