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本の森で呑んだくれ、活字の海で酔っ払い

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2020.02.06
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途中まで読んではで挫折を繰り返して2年以上温めてあった「健康格差/マイケル・マーモット」。還暦を迎えた2019年の年内に読み切ろうと再チャレンジしてぎりぎりで何とか読み終えた。読み終えたという事実だけでも人生の財産になるような本だったと思える。

・大学を卒業してからずっと悩みながらも民医連の医師であることを意識しながら医療活動をしてきたつもりである。それは特別なことではなく、患者の立場に立つ、病気ではなく人を診る、生活の場で患者をとらえる、そして医療レベルは標準(できれば以上)を保つということ。ジェネラルに何にでも対応できる力を持ちながら一定の専門性を持つ医師(当初は呼吸器内科だった)を目指して研修した。診療所長になって15年、それまでの経験も生きているし、その後に学んだことがまた大きいと思う。

・この本を読んでSDH(健康の社会的決定要因)がより身近になったと感じている。民医連の言っていることと同じじゃないのと思っていたら、プライマリ・ケア連合学会でもSDHを重視して声明を出している(声明は​こちら​)。SDHの視点で患者さんや地域を見ること、社会的処方を考えて行動すること、これって本流になってきているのかな?と思うと心強いとも思うし頑張らねばとも思っている。
 

2019.12.30読了


・著者は2015-16世界医師会会長を務め、WHO「健康の社会的決定要因(SDH)委員会」委員長のマイケル・マーモット氏である。

・本書全体で言いたいことは「経済的なことをはじめとした社会的勾配が健康格差をもたらしていること」であり、「それを解消してより良くしていこう」という行動提起もよく分かったんだけど、「読みにくかったなあ~」というのが正直な感想。もっと簡単なダイジェスト版的なのがあったら読みやすいしもっと普及できるだろうになんて思いながら読んだ(学術書的で読みにくいのだがそのぶん信頼性があるといえばそうなのかもしれないけど)。


〇社会集団間の系統的な健康の不平等のうち、無理のない方法で回避可能と判断されるものを健康の不公平と呼ぶことにする(第1章P50)

・ 「平等」と「公平」について、こんなイメージ図を思い出した。とっても分かりやすいと思う。(左から「平等」「公平」「不平等」というイメージ。著者が言いたいイメージとはちょっとずれているけど分かりやすい)

【序章】たった20ページだけどここに著者が言いたいことが凝縮されていると思う

・著者が研修医だった時に、せっかく良くなったうつ病患者の女性を、また病気の原因となった元の環境に戻すのかという疑問を抱いたことが始まりだった。

「健康の社会的勾配」に気づいた『ホワイトホール研究』とは:日本で言えば霞が関に当たるようなイギリス官僚の建物では、玄関から始まる低い階にいる職員ほど社会的地位が低く、上の階にいくほど地位が高くなるらしいが、調査してみると強いストレスにさらされていると思われていた「ランクが高い人ほど健康状態が良い」ことが明らかになった。「地位が高い男性は、心臓発作でも他のほとんどの死因でも、地位の低いどの男性よりも死亡率が低かった」。調査前はランクが上の人ほどストレスが多く心血管病になると予想されていたが調べてみたら真逆だったのだ。ストレスを引き起こすのは仕事における要求の高さだけでなく裁量の低さとの組み合わせだった、ということが明らかにされた調査。階層が上な人ほど自分の裁量で仕事ができるが下の人たちは自分で自分の仕事がコントロールできずにストレスをかかえているということも一因であった。そういえば、昨今導入された職場のストレスチェックでも、自分の裁量で自分の仕事ができるかどうかが問われている(もう一つは職場の上司や同僚、家族が相談に乗ってくれるかどうかだ)が、それはけっこうスルドイ視点なんだなと思った。

【第1章        悲惨の仕組み】

〇中心的課題が単に貧困にあるのではなく不平等にあるということだ

・絶対的な貧困だけではなく、相対的な社会的地位の低さが生活の問題につながり病気をもたらしている、つまり絶対的な貧困だけでなく不平等を改善すればよくなるのだということが彼の訴えたいことだと思った。あなたはそれに関心を持つべきであり、そのために何をしますかということが全編を通じてスルドク問われているような気がする。

【第2章 だれの責任なのか】

・喫煙やアル中だって・・・「自己責任論」はちがうぞ!という話を証明している章。貧困というよりもやはり社会的勾配が関係しているのだ。

【第3章 公平な社会、健康な生活】

・ここでも、無気力だから貧困になるのではなく貧困こそが無気力をもたらしていることを述べて解決の方向を示唆する。

【第4章 誕生時からの公平】

〇「社会階層が低いほど「良い」育児は少なくなる」が〇「貧困の削減と育児中の親への支援で」解決できる

【第5章 教育とエンパワーメント】

・教育の社会的勾配も健康に影響しており、教育に介入することで改善するという根拠の話

【第6章 生きるために働く】

【第7章 おとなしく流されてはいけない】

〇活動不足は脳と身体の両方にとってよくない可能性がある〇社会と関りを保った人は死亡率が50%低いことが分かった

【第8章 回復力のあるコミュニティを築く】

〇高齢者にやさしいまち〇指針には八つの大項目がある

【第9章 公平な社会】

〇原因の原因という視点が大切である

【第10章 この世界で公平に生きる】

【第11章 希望のしくみ】






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Last updated  2020.03.15 19:58:19
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