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テーマ:お勧めの本(7203)
カテゴリ:認知症をテーマにした本
・川瀬七緒さんの作品には図書館でたまたま出会って手に取った「法医昆虫学シリーズ」が馴れ初めで、ちょっとばかりハマってしまったのだった。遡って江戸川乱歩賞を受賞したというデビュー作の「よろずのことに気をつけよ」を読んでみたり、「テーラー伊三郎」も図書館本で読んだりしている。大変申し訳ないが、またこの作品もまた図書館本。
・題名の「フォークロア」って何だろうとネットで調べてみたら、「伝承」とか「民俗学」みたいな意味らしい。「認知症のケア」「介護と民俗学」がテーマ、よくぞ小説にしてくれたとうれしく思う。 ・参考文献に「驚きの介護民俗学/六車由美」があった。「うーん、やっぱりな」と納得した。まさにこの本をミステリー小説化したものだと思う。
・手に余る症状のために他の施設を厄介払いになった手のかかる認知症患者6人が生活するグループホーム「風の里」を舞台にした話。読み終わってみればミステリーだったみたいな感じ。 ・国立民族学博物館研究員で「口頭伝承」を調べている羽野千夏がフィールドとして紹介されたグループホーム。主人公は彼女と入所している6人の認知症患者さんたち、終盤に千夏と大地とともに認知機能の低下した彼らが協力して監禁された少女を救うことになるのはあり得ないと思いつつも・・・小説だから許しちゃうかなと寛大になってしまうのだ。 ・大地君は不登校の高校生、インターネットで千夏と知り合って事件にかかわる中で自分の人生を考えられるようになるというのがサイドストーリーになっている。 ・「おろんくち」「がらんど」など脱走常習犯の「くノ一」と呼ばれる老女の言葉から謎を解いていって全く別件の誘拐事件を解決するという話になっていた。 ・決して何もわからなくなってしまった人たちではない、記憶に残っている部分に大いに意味があるし、今現在も意思表示している、それは意識して分かろうとしなければ理解できない。 ・カウンセラーの松山さんは対極、いろんな資格を持っているのだけど、決められたプログラムを遂行して数値化したデータを集めるという考えに囚われて真実に全く目が向かない人。 〇「この仕事に就いてから、自分がものすごく冷たい人間になったと思う。なにをしても感動がなくなったし、人の生き死にに無頓着になって、物事の裏側ばかりに目がいくようになった。だから続けていられるとも言えるけどね。心がある人はすぐに辞めるから」 ・グループホームのスタッフ主任の島守チーフの苦悩もリアル。良い小説だったな、読んで良かったなと思った作品だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.03.30 19:08:17
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