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本の森で呑んだくれ、活字の海で酔っ払い

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2020.04.12
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テーマ:お勧めの本(7214)
・樋口明雄さんはつい先日読んだ​「サイレント・ブルー」​が初読みで、八ヶ岳山麓を舞台にした社会派小説といったくくりの小説だった。著者が南アルプス山麓に居を構えていて山岳小説を書いている人だと知ったので、山岳小説ならとりあえず読んでみねばなるまいと図書館で借りてみた一冊。

・自分も山を登るので(というかちょっと前までは登っていたのでというのが正しいかもしれないのがちょっと寂しい)、ちょっとあり得ないかなと思ったりするところも無きにしも非ず。それよりも臨場感を共感できたり、感情にも共感できたりした部分が大きかった。

2020.4.12読了


・北岳の中腹にある白根御池小屋に隣接する警備派出所に常駐する山岳救助隊、山岳救助犬チーム「K-9」の活躍を描いた4つの短編集。現実には日本ではまだ山岳救助犬は存在していないそうなのでこの設定架空のものだ。

・主人公の星野夏実巡査は、ボーダーコリー犬(あまり犬見興味がないのでどんな犬か知らないけど)「メイ」のハンドラーで、ジャーマン・シェパード「バロン」のハンドラーである先輩の神崎静奈巡査、川上犬「カムイ」のハンドラーである上司の進藤諒太などが活躍する。星野夏実の成長物語としての連作集という見方もできる。

「沈黙の山」
 女子大生の山ガールは自分を追い越そうとして滑落した男性のことを誰にも打ち明けられなかった。夏実は、「感情の色を見ることができる」特殊の才能で彼女が隠し事をしていることを察知して・・・・男性は救助された。

「ランナーズハイ」
 必要な装備も省いた軽装で登山者の迷惑も顧みずに山を走るトレイルランナーがテーマ。遭難したトレイルランナーが自分を顧みる。傲慢だと思っていた彼は孤独な弱い人間だった。そして立ち直る。

「サードマン」
 医師免許をもったにも関わらず警察官になって山岳救助隊員になった関、妹も弁護士を目指して法学部に入ったにも関わらず、自然環境の仕事をしたいといって山小屋でバイトしている。
二人の父親は医師だったが登山が趣味で、二人が子供の頃に山で遭難して亡くなっている。子供の頃二人だけで山に登った時に道迷い遭難、サードマンに道案内されて助かった。あれは父だったのか?そして関がまた遭難者を救助して道に迷ったときにまたサードマンが現れた!ちょっと不思議な話。

〇道迷い遭難で尾根に戻らず、下に向かってしまう。崖で道が途切れても、かまわず下降を続ける。登山者が絶対にやってはいけないことを、彼らは選択してしまっていた。
●そうなんですよ!ワシも昔、立山で道に迷ったときのことを思い出す。30年位前かなあ。そのときは疲労困憊していたこともあって尾根に登り返そうという発想はなかった。下に降りていけばそのうちに何とかなるはずだと思って下へ下へと下って行っていたら崖の上に出てしまった。無理して崖を降りても黒部の支流は凄い流れでとても渡渉できるようなものではなく諦めてそのあたりでビバークした。翌日になって下ってきた道を上り返して尾根に出たら本来の登山道にリカバリーすることができて事なきを得たということがあったのだ。​羽根田さんの「道迷い遭難」​を読んでもらいたい。

「ハルカの空」
 山小屋でひと夏のアルバイトをする女子大生の遥香が主人公。マナー違反の登山者に腹を立てたり、山岳遭難や救助を目の当たりにしながらひと夏を過ごす。

〇「何よりもここで生きている人が好きなんです。・・・」
・ちょっときれいすぎる終わり方かなと思った。山小屋小説としては​笹本稜平「春を背負って」​も忘れてはなるまい。

「NO WAY OUT」 
ある男の死をきっかけに上司の警部補堂島が息子が遭難した冬の北岳に無謀にも単独で登ったらしいと気付いた夏実がメイと追いかける。吹雪の山頂で発見したが堂島は動けない。巨体の堂島を背負って降りようとしたが疲労のため途中で歩けなくなり、雪洞を掘ってビバークする。12月に吹き溜まりで何とか深くなった雪で本当に雪洞が掘れるのかちょっと疑問も感じたので良い子のワシらや皆さんはマネしないほうがよさそう。この雪洞ビバークの判断がこの短編の山岳小説としての肝ではないかと思っている。

番外編
〇「オロクさん」という言葉をさかんに耳にするので、聞けば、南無阿弥陀仏の文字が六つだから。つまり、山で遭難した遺体を意味する言葉なのだそうだ。
●それは知らなかった。ヤマで死んだ人以外にも使われているのではないかと思う。

〇そもそも航空法において遺体は特殊貨物扱いとなり、物輸にはそれなりの手続きを踏まねばならない。いちいちそんなことをしていたら、何日も待たされる。だから、ケーブルで吊り下げて機体の横に固定する、機外収容というかたちで搬送するのだ
●これは聞いたことがあった。そんな法律は改めればいいと思うのだけれど、そうはいかない事情もあるのかもしれない。

〇「ボーコン」沢は亡魂沢と書く。その言葉の意味が胸に突き刺さる。

●何も知らずに「膀胱」沢かとか無神経に想像していたのを申し訳なく思う

・読後はイマイチだったなと思ったはず。だけど、これだけくどくど感想を書いてしまったということは人に伝えたかったのだろうか? とくにヒマを持て余しているわけではないので・・・

・これからもヤマに関する本ならフィクション、ノンフィクション問わず読み続けていきたいと思う。もう長いこと膝の故障でハードな登山はできなくなっているが、年相応の登山を続けていけたらと思うし、できれば膝がた少しでも良くなってちょっとだけでもハードな登山の世界に戻れたらいいなと考えている。





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Last updated  2020.04.15 21:24:49
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