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本の森で呑んだくれ、活字の海で酔っ払い

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2020.06.08
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テーマ:お勧めの本(7212)
カテゴリ:SF小説

・タイムスリップものと言えば、映画ではやっぱ「バックトゥザフューチャー」だよなと思うし、コミックでは「JIN」が、小説では「時をかける少女」など面白かったなと。そうゆうジャンルの小説なのだが、これは垣谷美雨さん風味のタイムスリップもの。

・昔に読んだリプレイものの外国の小説「リプレイ/ケン・グリムウッド」を思い出した。これは何度も何度もタイムスリップがリプレイされる話で、はじめのうちははうまく立ち回って成功するが繰り返すうちに人生の本当の意味を考えるみたいな作品だったと記憶している。


2020.6.6読了

・主人公は高校3年のとき同級生だった女性3人。進学コースにいた2人と就職コースにいた不良女子高生1人の30年たった今は47歳で、立場はそれぞれにいろいろ・・・

◇香山知子:女優になりたいという夢があったが、学業優秀であったにも関わらず親の反対で4大に行けず短大を出て現在は専業主婦。よい妻を演じるのに疲れてうつ状態。生まれ変わったら専業主婦なんてまっぴらで女優を仕事にできたらと思っている。

◇黒川薫:独身、当時から秀才で4大を出て東京のIT会社で副部長のOL。恋人もいないし友達も少ない。頑張って生きてきたのに、母親からは子供を産んだ妹たちだけが褒められて自分は頑張っているのに褒められたことがない。高校からやり直すなら地元に短大を出て結婚、子供を産んで母親に認められたいと思っている。

◇赤坂晴美:母子家庭で飲食店を経営する母親はある金持ちの妾。高3の時に男に騙されて妊娠、中退。今では化粧の濃い掃除のおばちゃん。「平凡に暮らすのになんてお金が必要なんだろう」と考える日々、高校時代にタイムスリップできたら、経済力のある男、地元の名士さんと結婚するぞと思っている。

・そんな3人が新宿デパートの地元物産展で偶然に出会い、「遠来の客」という店から30年前の高校3年生時代にタイムスリップするという話。


40歳代の人間が知識や経験そのままで高校生時代に戻れば、なんだか良くも悪くもいろんなことが分かってしまい、ほほえましかったり、腹立たしかったりするんだろうな。いや当時を思い出して反省したり恥ずかしくなったりするのかもしれない。この小説のようにしたたかに人生をやり直せば幸せになれるのだろうかというのがこの小説のテーマだったと思う。


・人生をやり直したからと言ってどうやり直すのが最善だったかなんて正解はない。この小説の結末のように結局、最初に選んだ選択が最良でその中でよりよく生きていくのが正解なのかもしれない。

〇浩之の気弱な純情さと子供っぽさを心底鬱陶しいと思った。

●知子が高校時代の夫と会った時の場面、そりゃそうかもしれないなと思った。こっちはもうその30年後の現実を知っているし30年分の経験があるのだからね。

〇「何とも言えん。前は確かに苦しかった。でもあれはあれで貧乏なりに楽しかったで。今みたいにお金があり余る生活は、ほんまおもろない」

●同級生の裕福な医者の息子と結婚した晴美の人生も彼女の本当の希望した人生とは違っていたらしい。

*巻末文庫本版特別インタビューより

〇「私は長年、古い体質の日本社会で女性として生きることの難しさや息苦しさを感じできました。その思いを、すべて吐き出したんですよ。(垣谷)

〇本作のおもしろさの一つとして、三人がタイムスリップしてから、47歳の視点で高校時代の自分の親や周囲の人々を見直して、昔は気づくことができなかった相手の意外な性格や人間関係の機微を発見していく過程を挙げることができます。特に、三人がそれぞれの母親の背中を見つめ直し、良い面も悪い面も理解していく場面が・・・・

●この点こそが垣谷風味付けだと思う。SFなのに妙に現実的みたいな感じで自分の問題として考えられる小説だといえる。






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Last updated  2020.06.10 19:43:30
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