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カテゴリ:現代文学一般
・「名文を書かない文章講座」を読んでいる。著者が書いた小説を読んでみたくなって芥川賞を取ったこの作品を図書館で借りてみた。表題作を含む4編の短篇集。
・手にした本は、すっかり日焼けしてしまって各ページの紙は縁から茶色く変色しているし、背表紙も色が薄くなってタイトルが読みにくくなってしまっていた。1990年発行とあるので、たった30年前しかたってないのにと思った。しかし、考えてみれば30年、やはりそれなりの年月が経ってしまったのだなと本を手に取って改めて知らされた気分がした。本を持つ自分の手を見れば確かに老人のそれになっていた。
「鍋の中」 ボケたおばあさんの話から、親たちの秘密や自分の出生の秘密に疑いや不安を持ってしまった青年たちの話。危うい感じは何となく共感できるが、何が言いたかったのか何を受け取ればいいのか分からなかった。今の時代でも通用するのだろうか?そのためにはタイトルは変えたほうがいいような気がする。 「水中の声」 水難事故で幼い娘を失った母親が、よく分からないまま子供を守る私的団体で活動に参加してのめり込んでしまう話。デビュー作らしい。後味も悪いし、ちょっと怖い小話みたいな感じでイマイチだと思ったが、当時としては良かったのか、今でも良いのか・・・・分からん! 「熱愛」 2人でバイクツーリングに行った高校の同級生が事故で死んでしまった。バイクを運転しながら見る景色がリアルだったが、タイトルの意味が分からない。 「盟友」 尾崎豊はしらないけどそんな世界?スカートめくり男と喫煙常習高校生が「懲罰」で便所掃除をする「盟友」になる。最後はバイクの不良たちに追いかけられる。全体を通して意味が分からない。 ・文章そのものは分かり易いし読みやすく、しっかり推敲したんだろうなあという気はするが、書いてある内容は、何それ、分からないなあという感じで、心理描写やそれに絡まる情景描写をほとんど共有できないというか全く共感できなかった。 ・例えばこれがサガンの書いた小説だとしたら、自分とは違う世界の話だから共有できんわなと思うし、村上春樹が書いたものだったとしたら、また小難しいことを書いているがよう分からんわと思って終わりだと思う。しかし、村田さんの分かり易い文章で理解ができないのは、自分が人間として深みの足りない薄っぺらの人間だからではないかと心配になってきた。それはたぶん正しい。時代のせいなのかな・・・とも期待して。 ・ラノベ的な小説は読みやすくて理解できるし面白いけど深みがなくて物足りない。こんな文学的な作品は自分のレベルを超えているのか(そうには違いないが)、あまり理解できず共感もできないのだが、また別な作品を読んでみたら理解できるかもしれないとも思ってしまう。 ・そんな作家はけっこう多いかも?たとえば小川洋子さんとか・・・
Last updated
2020.06.27 21:01:59
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