|
テーマ:お勧めの本(7214)
カテゴリ:歴史・時代小説
・今村翔吾さんは、「童の神」で大ファンになって次に読んだ「てらこや青義堂」でいささかがっかりさせられたが、この「じんかん」ではまた興奮させられて面白かった。今村翔吾という作家、どうやら”人情もの”よりもダイナミックな”歴史もの”を書く作家としての著者が好きなようだ。民衆や虐げられた人たちの立場に立つ視点は白土三平の世界観に似ているが、今村さんの作品は夢や理想が肯定的に書かれていて読後感もよいし元気になれる気がする。
・戦国時代の歴史や武将には子供の頃はけっこう興味を持っていたのだが日本史は好きになれずご無沙汰してうん十年、三好家がこんなに隆盛を誇っていた時代があったとは知らなんだし、将軍家と細川家の関係など勉強になった。 ・「てらこや青義堂」はちょっと残念だったけど、”忍者もの”は大好きなので、今村さんにはぜひ”忍者もの”の”歴史もの”を書いていただきたいと切願したりしたい。 ・茶の湯の世界にも初めて興味が持てた。
・二度目の謀反を企てていると知らせに来た小姓頭又九郎に信長が夜を明かして語った謀反者松永久秀の彼の生きざまが小説となった体をなしている。 〇つかえた主人を殺し、天下の将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くすー ●3悪をなしたとされる松永久秀の真実はいかに?! ・めっちゃ面白かった!ページをめるく手が止まらないっていう感じは久しぶりで快感だった。 〇「お前の母上は…自らを・・・食えと?」 ・貧困の底で母親が自害、追いはぎ多聞丸の仲間になるが多聞丸も殺されて寺に行きついた兄弟は人生の転機を迎えることになる。そして戦国時代の武家の世界に入っていくのだが・・・ 〇「人間(じんかん)の何たるかを知る・・・か」 〇「もう暫く人間を堪能いたします」 ・これが最後まで久秀が求めていたものだろう。理想を遂げようとすると最後には現状を変えたくないという民の意思がそれをつぶしにかかるというのもまた人間なのか。 〇「兄者は一厘の男。最後まで抗い続ける」 〇兄者の名を天下に刻め 九兵衛(久秀)の弟甚助は、丹波の大名となり、ただの甚助であったのが知らぬ間に長ったらしい名前になってしまったと笑い、兄の力になることが自分の生きる証だという。甚助は戦で死ぬのだが、決して犬死ではなかったと思わざるを得ない。むしろ清々しさを感じてしまった。(フィクションなので許してほしい) 〇「私はずっと楽しませて頂きました」 〇「日夏、良い空だ」 ・日夏とはついに再会しなかったが絆は続いていた。戦国時代を舞台にした青春群像小説だった。小道具は「夢」。それを受け継いでいく者たちの物語だったとも言えると思う。久々のページをめくる手が止まらないようなエンターテイメント小説だった。選考基準は全然知らないけど、これって直木賞候補にならないの?と真剣に思ったりした。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.09.23 21:43:39
コメント(0) | コメントを書く
[歴史・時代小説] カテゴリの最新記事
|