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テーマ:お勧めの本(7914)
カテゴリ:現代文学一般
・中島京子さんは初読みが「妻が椎茸だったころ」で不思議な魅力を感じ、認知症を患った夫への愛情を書いた「長いお別れ」で感動してかなりやられてしまったものの、その後も熱心な読者という訳ではなく、大きな外れのない作家さんという位置づけであれこれ図書館で借りているうちにこの本で8作目になるらしい(読メ記録で)。これまで読んだ作品を振り返って改めて引き出しの多い作家さんだなあと思う。
・著者が実家に引っ越して亡父の本棚にあった井伏鱒二の「荻窪風土記」を読んでインスパイアされて書いたというインタビュー記事を読んだ。 ・壮大なストーリーとかではないけど、コーヒーでも飲みながら1章ずつ気軽に楽しく読み進めていくのが良い感じの小説だと思う。通勤電車の中でもいいし。
・登場人物のキャラが面白い。特に仕事をすることになった大学の学生「マーシー」は凄く真面目なのだけどめちゃくちゃ間違った敬語を使う。で彼女に弁論大会で、大学の敷地が戦争中には特攻基地だったことを語らせる。その友人で陸上部エースのパティのキャラもいい。 ・考えてみれば自分が今住んでいる土地にも戦前どころか江戸時代、はたまたそれ以前は海だったのかもしれないけど人々が生きてきた歴史が埋もれているのだなと思ったりする。第2次世界大戦の戦争体験者が亡くなる中でどう伝えていけば良いのかという問題意識を持っているというインタビュー記事を読んでなるほどと思った。 ・もちろん商店街の足袋屋さん、秋葉原さん夫妻のキャラもいい。商店街がさびれて担っていた人たちが年老いて去っていくのは寂しいけど仕方がないことなのでしょう。 ・離婚を機に30年間暮らしたアメリカから帰国して武蔵野で再出発の生活をすることになった沙希が、当初の浦島太郎的な感じから、新たな人とつながりから「うらはぐさ」という土地の歴史を知って愛着を感じていく。「風土記」というタイトルが何とも云い得て妙だと思う。 〇そういえば、星一徹だって、寺内貫太郎だって、神経症だなんていう扱いは受けていなかった。昭和の親父といえばそんなものだと・・・ 「 ・ストーリーには関係ないけど、ちゃぶ台返しの「巨人の星」星一徹や寺内貫太郎は、戦争帰りで実は兵士のPTSDではなかったのかという今まで考えもしなかった驚きの視点が新鮮で示唆に富んだものだった。当時はそんな概念もなかったのだろうけど、どうなんだろう・・
ご訪問ありがとうございました。 中島京子さんはやはりええですねえと再確認しました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.10.24 20:55:11
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