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テーマ:お勧めの本(7420)
カテゴリ:社会派小説
・著者の作品は「ロストケア」が初読みで、続いて「絶叫」を読んで、その後に読んだ作品は自分的にはイマイチだったけど、たぶんこれが5作目だと思う。これがまた思いのほか面白かった!
・主人公の特高刑事日崎八尋は父親が日本人、母親がアイヌ。アイヌ民族や朝鮮人のこと、皇国臣民になろうとしてなれなかった人たち、大日本帝国の政策や思想統制のこと、その大日本帝国に幻滅してその存在を破壊しようと考えた人たち、そんな様々な人たちの群像劇。時代は終戦直前の北海道。 ・「カンナカムイ」とは怒り出したらすべてを焼き尽くしてしまうというアイヌの神。 ・まさか終戦直前、日本でも原子爆弾=ウラン爆弾が製造されて使用が計画されていた!?その軍事機密「カンナカムイ」をめぐるエンターテイメント小説。ネタバレになるけど、さらに結局それすらも虚構だったというオチ。壮大な歴史物語だと思わせておいて結末が近づくにつれて案外に私的なせせこましい話に収束してしまったような気がしないでもない。そう言ってしまえばそれまでだけど、いわゆるページをめくる手が止まらない的な読ませる小説だった。 ・登場人物それぞれの立場に立って共感できてしまう。「拷問王」こと特高の先輩三影にでさえ最後では共感とはいかないまでもその行為の深層にある感情を理解することができる。 ・収容された網走刑務所内の状況とか、「カミサマ」と呼ばれる囚人とか、脱獄シーンなども興味深く楽しめた。 ご訪問ありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.11.07 20:15:33
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