000000 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

本の森で呑んだくれ、活字の海で酔っ払い

PR

全16件 (16件中 1-10件目)

1 2 >

在宅医療や緩和ケアをテーマにした本

2020.11.22
XML
テーマ:お勧めの本(5293)
●読み物としては面白かったのだが、終末医療に関わる仕事をしているものとしては曖昧にはできないつっこみどころがかなりあった。どうやら今、映画化されているようだが、観てみようかなと思っている。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人 (角川文庫) [ 中山 七里 ]
価格:704円(税込、送料無料) (2020/11/22時点)

楽天で購入

2018.1.27読了


〇終末期医療については・・・余命いくばくもないと診断された患者に対し、延命治療を中止することだ
●「終末期医療」について誤解を与えてしまう内容ではないかと危惧される。身体的苦痛については適切な緩和ケアでかなり対応でき得るし、できない場合でも死期を早めない鎮静という方法があるので身体的苦痛除去目的での安楽死には疑問があるし、経済的なことが理由で安楽死を求めることがあるならそれは許されなと思う。社会的な苦痛やスピリチュアルな苦痛にどうやって向き合っていくのかが大切で、安易に安楽死を許容するべきではないと思う。

●戦場環境での安楽死とは別、問題提起だとしても、だからこそ?現場で関わっているモノとしては、「終末期医療」についてもう少ししっかり勉強してから書いて欲しかったというのが実感。

〇だって家族を死なせたくないのも、苦しませたくないのも、根は同じ思いやりなんだからさ・・・対立してるんじゃなくてアプローチが違うだけなんだと思う
●という沙耶香のラストの言葉に救われる。

●ちなみに途中から真の犯人は予想がついてしまった。国境なき医師団の体験があったとしてもだ。






Last updated  2020.11.22 17:25:48
コメント(0) | コメントを書く


2020.07.28
テーマ:お勧めの本(5293)
​​・初読みの作家さんの作品。認知症を患った人の安楽死を扱った小説であると知って仕事関係だし読むべきかな、というかどんな本なのかなと楽しみにして予約し、待ちに待ってやっと手元にやってきた図書館本。
・小説でありフィクションとしてはそれなりに面白くもあったが、そのまま受け入れてはならない、意見を発信しなくてはいけないだろうと思ってしまう作品だった。ジャンルは違うが同じテーマの小説としては「長いお別れ/中島京子」や​「エリザベスの友達/村田喜代子」​のような視点の小説に共感と希望を感じる。

2020.7.25読了

・読んでいる最中に、まさかのALS患者さんに対する嘱託殺人疑いで2人の医師が逮捕されたとのニュースを聞いて驚いた。このニュースを聞いておそらく2つの反応があるのではないかと思う。「殺人は許されない」vs「人には自ら死を選択する権利がある」

・同じく安楽死をテーマにしたミステリーの​「ドクター・デスの遺産/中山七里」​で感じた違和感、医療の範囲である「終末期医療」「緩和医療」「尊厳死」と、「安楽死」との絶対的な違いについての混同はかなり解消されていると思うが、やはり納得しきれないなと思う。

・楡さんは決して現状を肯定するのではなく、問題提起しているのだろうと思う。

・自分が認知症になって、家族の顔も分からなくなったり、大便をもてあそんだり、卑猥な行為をするようになるかもしれないという恐怖はあるが・・・
・だから死んだほうがいいというのは違うと思う。医師としては理想論であるが、そうなっても幸せに生きていける社会を作るべきだという立場でありつつも、やむを得ないという認識で現状を受け入れて一緒に苦み悩んで解決策を考えていく立場に立つべきだと思っている。
・親が急にボケて異常行動を起こしだしたら・・・自分がボケて異常行動を起こしだしたら・・・妻がボケて・・・しかし原則は変わらないはず。

・ACP(人生会議)が大切だということが広まって欲しいなと思う昨今、一定の問題提起になる作品だとは思うが、認知症になると判断力のない廃人になってしまうというストーリーは一面的すぎて危険ではないかと考える。

・家族にまつわる介護や経済負担、遺産相続については不愉快になるほどリアルすぎたけど現実問題としてはあるのだろう。しかし、私たち医療介護従事者の立場はあくまでも患者さん本人の希望を叶えることだという基本は忘れたくないのだ。

〇「乖離というともうひとつあるでしょうね」「患者本人が、こうなってまで生きたくはないと思ってても、家族は一日でも長く生きて欲しい。そう願うことですよ」
〇「大切な人には一日でも長く生きて欲しいと誰もが思う。だけど、自分が介護される側になったらどうなんだろう。介護されて当たり前と思う人間はいないだろうし、むしろ、家族に負担はかけたくない。一日も早く死なせてくれ。そう思うんじゃないのかって・・・

・認知症になってもその人の尊厳が守られて生きていける社会や環境を作ろうという立場のものとしては受け入れがたい、受け入れてはいけない作品だと感じた。






Last updated  2020.07.29 21:42:51
コメント(0) | コメントを書く
2020.03.11
テーマ:お勧めの本(5293)
​​・小川糸さんの作品は「ツバキ文具店」が初読みで2冊目で、在宅で末期がん患者さんの最期に関わることも多い仕事をしている医療人としても読んでみたいと思ったので図書館本で。

・雨の降る日曜日に家でしみじみ読む本としては最適かもしれない。終盤で優しい気持ちになって涙を流している自分に気が付いた。これはとっても幸せな時間といってもいいのだろう。いいお話だなと思った。バッハの無伴奏チェロ組曲を聴きながら・・・

2020.3.8読了

​・癌末期で死にゆく患者、雫さん本人の視線から書かれた物語、最後は現実と夢の区別が曖昧になって・・・みんながこんな最期を迎えられたらたぶん幸せだろうなと思う。自分も。

〇健康であることのありがたみや、お金のありがたみや、友人たちが周りにいてサポートしてくれるありがたみだった。あって当たり前だと思っていたものが、いかに貴重な存在か。確かに私は、そのことを癌になってから思い知ったのだ。
●人生の末期になって苦しみの中でこそ自分の支えに気が付くことができる、それを強めるのが大切だという小澤竹俊先生の教えに通ずる。とくに特別なイベントはなくても当たり前のように過ごしていた平凡な日々のありがたさに気が付くと幸せになれるのだと思う。

〇でも、百ちゃんが教えてくれたのだ。死を受け入れるということは、生きたい、もっと生きたい、もっともっと長生きしたいという気持ちも正直に認めることなんだ、って。
〇面白いことに、生きたい、まだ死にたくない、という気持ちを素直に認めてあげたら、心が軽くなった。
●これはまだ知らなかった感覚なので新鮮に感じた。まだ生きたいという本心を抑え込むのではなく正直に認めてこそ、それは叶わないという現実を受け入れてこそ次のステップに進めるという解釈でいいのかな?現実的には人それぞれだとは思うけど。難しいところかもしれないとは思う。

〇ジタバタして、何とか運命から逃れようとする人もたくさんいます。でも、人は生きている限り変わるチャンスがある。それもまた、事実ですから。期待しましょう。
●そして怒りをぶちまけていた「先生」も自らを反省して受け入れて最後を迎えたらしい。押しまくるのではなくて、そういう「待ち」の気持ちも大事かもねと思ったりする。

・雫さんの死後の章、死の直前に初めて会った妹の梢の視線からの章が泣ける、最後の章、亡くなって3日目に約束通りにタヒチ君と犬の六花がビーチで手を振るシーンは、予想通りだったんだけど、ハッピーとはいえなくても、温かくてとっても良かった。

・ところで「ライオンの家」って?
〇「百獣の、王ですか?」「つまり、ライオンはもう、敵に襲われる心配がないのです。安心して、食べたり、寝たり、すればいいってことです」

・では「おやつ」って?
●ライオンの家で週1回日曜日に、ゲストさんのリクエストで狩野姉妹が作るおやつを、ゲストさんの思い出のメッセージとともに皆で食する会がある。実際には最期が近いゲストのリクエストが採用されるようで採用されたおやつを本人はもう食べられないことが多いみたい。でもそのメッセージにある意味人生が凝縮されているともいえるのかもしれない。

・アニマル療法、音楽療法、アロマテラピーなど代替医療的な緩和ケアについてもいろいろ語られていたのもまた勉強になったような気がする。

・とくに大きく盛り上がったり感動したりするわけでもないのだけど、人と人の気の気持ちが交わって優しい気持ちになるお話は小川糸テイストなのだろうかと思った。






Last updated  2020.03.15 18:01:57
コメント(0) | コメントを書く
2020.01.20
テーマ:お勧めの本(5293)
 エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座を再受講することにしたので、講師の小澤先生が書かれた本、講座で学んだ内容がほぼそっくりそのまま本になっている感じの本なので予習というか、再読なので復習というか。前回受講は2017年の7月だったのでなんとあれからもう2年半もたってしまったのかと思うとびっくり。前回の講習で学んだことが多少なりとも身についていかされているのか?多少なりとも成長しているのか?改めて新たな発見はあるのか?が問われるリピーターとしての受講だ。
2017.8.13読了

2020.1.20再読


・実践ではあまり生かせてないような気がして反省しつつ再読したのだが・・・受講した感じではわりと覚えていて日頃意識しているかな? 身についているかも? と思えてちょっと安心する気持ちもあったのだが、講座でのロールプレイでそんな気持ちは見事に打ち砕かれたのだった。

・1日目は悩みを持つ後輩(介護職や看護職など関係者)の相談に乗って答えるシチュエーションでのロールプレイがあって、本を読んだり講習で分かったような気になっていることが後輩にはうまく説明できない=結局は分かってないってことを再認識することになってしまった。とは言えこの再受講でブラッシュアップできればと思い2日目に突入したのだ。
・2日目もまたグループワークとロールプレイの連続で疲労困憊したのだけど、この「これでもか、これでもか」という刷り込みが目的なのか?腹八分目のほうが助かるなとは個人的意見。精神的な体力のない人にとっては辛い講習で、講習後に頑張っていこうという余力というか意欲がわかなくなるのではと心配かも?

・再読&再講習で、さすがにというか今更だけど全体像が見えてきたこともあるし、新たな気づきがけっこうあったのも収穫だった。

・心の支えとは、病気になって(苦しみの中で)初めて気づくものだということ(明るい街では星はたくさん見えないが暗闇のある場所では星がたくさん見える)ということはすっかり忘れて意識できてなかったことに気づかされた。

・前回の講習を受けてから「穏やかになる」ことが目標であることはずっと意識してきていたし、援助的コミュケーション「反復」「沈黙」と「問いかけ」もずいぶん実行してきたつもりだけど現実ではあまりうまくいった実感が薄かったが、患者さんから逃げない、自分の苦しみを分かってもらえている存在だとはある程度思ってもらえるようになったのではないかと気づいた。まだまだだけど捨てたもんでもない、まだまだこれから成長できそうだなと思ったのが最大の成果だなと思う。支えをキャッチするまでに至らなかったのはそれまでの援助的コミュニケーションが不十分だったのが原因ではないかと思い当たった。キャッチした支えを強める具体的な方策がとれなかったのは他職種協働への働きかけが不十分だったのかもしれない。まだまだ成長や改善の余地はありそうだ。

・わかりにくい専門用語を避けるために「スピリチャルな苦痛」を「答えることのできない苦しみ」としたり、構造構成主義的(講習会で小澤先生は「現象学」と言われていた)な多面的なとらえ方を平易に説明し、スピリチャルな苦痛を考える村田先生のモデルの「時間存在」「関係存在」「自律存在」を「3つの支え」として平易に翻訳したりと、小澤先生の苦心というか工夫がよく分かった。関係存在が一番馴染みやすいと思っていたが、自立存在をクローズアップする考え方は臨床で応用するにはナイスだと思った。いかに具体化するかが最も重要だけど発想が貧困なワシにはこれが難しい。ベッドの場所や向きにこだわる訪問看護の責任者が身近にいるのだが、そういうことだったのかと改めて気づくことができた。

〇苦しんでいる人の支えになろうとする自分自身が、支えを必要としている
・日々のあれこれがを面倒くさく感じて自分自身の申請も早く終わればいいなと思っていたが、支えを探して認識(キャッチ)することが大切で緊急の課題かもと気づいたのが最大の成果なのかもしれない

・2年半前に講習を受けた後でこの本を読んだ感想が見つかったので引用
----------------------------------------------------------------------------------
●在宅で緩和ケアにも関わっています。初めて小澤先生の「実践スピリチャルケア」を読んでから4年余り、「患者さんから逃げない」は心に残っていてそれなりには努力してきたつもり・・・
●名古屋で開催されたエンドオブライフケア援助者養成講座を受講した直後に出版されたので即購入しました。エンドオブライフケア援助者養成講座のエッセンスと事例を通して具体的なアプローチがあってとても分かりやすい。
事前に読んで予習するのも良し、復習するにも良し、援助士申請のためのレポート作成の参考書にも良し?
講座の全体像も良く見えるようになりました。
〇「苦しんでいる人は、自分の苦しみを分かってくれる人がいると嬉しい」●が自分にとって今回のキーワード、「分かってくれる人」になるべく努力しよう。
●穏やかな最期を迎えてもらうための実践はなかなか思うようにはいきませんが経験を重ねてものにしていかねばと思います。
------------------------------------------------------------------------------------






Last updated  2020.03.15 18:02:35
コメント(0) | コメントを書く
2020.01.09
テーマ:お勧めの本(5293)
前作「最後の医者は桜を見上げて君を想う」が思いのほか良かったので、続編が出ていると知ってさっそく図書館で借りた。それなりに面白かったが、期待以上ではなかったかな?という印象とかいいつつレビューには力が入ってしまった。

2020.1.5読了


2020.1.7読了


・前作のおさらいから・・・
〇癌でありながら癌の根治を目指さず、ただ発話能力の維持だけを目的とした手術は、福原の信条とは反するものであった。だが、あのときはただ友のため、音山という人間のため、福原はメスを持ったのだ。それが正しかったのか、過ちだったのか、勝利と呼んでいいのかはたまた敗北と呼ぶべきなのか、未だに答えは分からなかった。
●前作で「最後まであきらめない医師」であった福原は院長である父親の指示に従わなかったために閑職に追いやられ、「患者に死を選ぶ権利があるという医師」で「死神」呼ばれていた桐子は病院を去ってビルの1室で開業したが患者は来ない・・・

●3章からなる中編の連作という形、第1章ではエイズに感染したカップルの話で、再び福原と桐子が交わることになり、第2章は病院が舞台で子供時代の桐子と福原(カズ君としか書かれてなかったが、たぶんそうだろうなと途中から気付く)の母との話、福原とその母、父との思い出の話、第3章は認知症を患った福原の父の主治医となった桐子が、福原と父の和解を考える・・・簡単に言うとそんな3部構成。

●疾患的にも、癌だけじゃなくエイズも取り上げたかと思ったら最後は認知症と、いいところをついているなと思った。

第1章「とあるチャラ男の死」:自分がHIVに感染していると知った美穂は同棲中の駿太にそのことを告げて別れ、福原のもとで治療して良好な経過をとる。駿太は受診を拒否していたが最後になって桐原を受診するがすでにエイズの末期。

〇「はい。どうぞ」
「・・・いいんだな?桐子先生。やって、いいんだね」「こりゃありがたい。先生のお墨付きがもらえるとはね。了解、心置きなくやってくるよ!」
●ウィルスをまき散らすっていくらなんでもそりゃまずいだろ!エイズの感染拡大は阻止せねばなるまい!と思ったが、風俗店で間際に不能になってしまうのだが、
〇俺まさか。ほっとしてるのか・・・?(●駿太、ほんとは気が小さい良い奴なんだよ)

〇「いません」
●救急搬送された先で母親以外の連絡先を聞かれて駿太は答えた。美穂に会いたかったはずなのにその名を出さなかったのが彼の最後の愛情だったのだ。切ないけどいい話。

〇希望はどこかにあったはずだよ。見つけられたかどうか、確かめられるすべはないけれど

・カタツムリが小道具として端々に登場していた。

第2章「とある母親の死」
〇私が教えてあげる。君はね、まだ諦めてないんだ。諦めたいくらい疲れてるけど・・・だから頑張っている私が羨ましくて、腹が立って、私に文句を言いたくなった。そうでしょ」
〇自分が思っている以上に、生きたがってる。絵梨の言葉が頭の中で木霊する。
●重症のアレルギー疾患になって生きることをあきらめて醒めている少年桐子の隣のベッドに入院していた若いお母さんの絵梨はがんの末期なのに理解できないというか根拠のない前向き思考で妙に明るい。反発を感じていた桐子もだんだん心を開いてく。信じてみたくなるがやはり最期は死んでしまう。

〇「諦めてもいいんだよ」 しかし、絵梨は全く正反対の言葉を桐子に贈った。
●桐子の中で何かが変わったのだろう、答えのないはずの「生きることの意味」を感じたのではないかと思う。

●息子カズに対する絵梨の愛情、絵梨と夫の愛情関係、カズからみた父親への反抗心は、第3章への布石にもなっていたのだ。

第3章「とある医者の死」
●カズの父親である七十字病院院長の福原父が認知症になり、福原息子は主治医を桐子に依頼する。福原息子は父親には冷たい感情しか持てず、父に代わって院長になるべくあれこれ動いていた。

〇不治の病だからといってひるむ桐子ではない。むしろ不治だからこそ、残された命を悔いなく使うため、患者ととことんまで向き合うべきだと思っているし、これまでずっとそうしてきた。
●振り返ってみるとこの文章が第3章の背骨だったんだと思い当たった。(この本、前作も併せてこのシリーズの背骨かもしれない。)

〇「彼にしてやれるのは安楽死さ。リハビリだの、投薬だの、可哀そうじゃないか。・・・無理して生かして、それで何をさせる?金稼ぎ以外に何の楽しみもない、あいつに」
●認知症になって過去に意識が飛んでしまう福原父に付き合って話したことをノートに取った桐子、最初は拒否していたがノートを目にしてた福原息子は父親の人間としての不器用さや愛情や戸惑いを知る。そして一か八かの手術を執刀、手術は成功したがやがて父は最期を迎える。

●福原父の視点から書かれた部分がたくさんあるが、認知症本人の感覚としてリアルだと感じた。といっても経験はないので分からないのだけど、そんな気がするだけなのだが・・・






Last updated  2020.03.15 18:02:57
コメント(0) | コメントを書く
2020.01.08
テーマ:お勧めの本(5293)
・在宅で患者さんやご家族に最期までお付き合いする仕事をしている医師であることもあり、関連しそうな本はできるだけ手あたり次第に読むようにしている。タイトルや表紙のデザインからしてもっとラノベっぽいと思って読み始めた本だった。

・ところがどっこい、構成もしっかりしていて不自然さがない(医師としてはツッコミどころ多々あるけど)、描写もしかりしていて平面的ではない印象で意外だった。

2018.3.22読了


●最期の看取りに多く関わる仕事をしているけど(というか「だから」?)、桐子の考え方には同調しながらも、彼の突き放した言葉には違和感を感じていた。福原の考え方はまあよくあるけど本気でそう思っている医者がどれだけいるかは??最後まで読んでやっと、そうか両極端を描いてラストに持っていく物語だったんだと分かった。

〇「おとやませんせいは、まよってくれました」
●涙、中途半端だと言っていた音山が実は、癌になって死を覚悟して重要な役割を果たすという構成には納得。

●何だか悔しいと思うほど良い作品だったと思う。

●「文献なんか読んでんじゃねぇ」「検査データなんか見てんじゃねぇ」 「そん患者のところに行け」と言われていた研修医時代を思い出した。今になってやっとわかった、患者さんと一緒に考えて悩むことが大事だってこと。






Last updated  2020.03.15 18:03:16
コメント(0) | コメントを書く
2019.10.23
​​​​​​​当直に行った病院の医局で、痛みに関する構造構成主義の本(​「​​「ナニコレ?痛み×構造構成主義​」)を読んでいたら、たまたま緩和ケアをよく勉強している外科医A先生に見つけられて、良かったらこれも読んだらと頂いた本のうちの1冊。​​​​​そのあとすぐにA先生自身ががんで他界してしまったので、この本は誰にも知られてない遺品というか形見分けみたいな存在になってしまっている。​​いずれ、何度か読み返したい。


●少年院法務官の経験を経て医師になった緩和ケア医岡本先生がスピリチュアルケアではなくて哲学の本?​

〇緩和ケアは「辛さ」=患者の主観を対象にするもの〇全人的医療として「意味」「価値」を対象にするもの
〇多職種協働、「モノの見方の違い」は両刃の刃、相乗効果が期待される反面、信念対立の温床

構造構成理論とは
〇もともとは信念対立を解消するために生まれた学である。(著者がこの本を書いた同機は主にここにあったらしい)
〇「道具(ツール」)集=「原理集」である
●まず「自然的態度」に気づく→「判断中止」する→なぜそう考えたのか問い直して「還元」する・・・・これが方法論
●同じ緩和ケア医だけど「「ナニコレ?痛み×構造構成主義」の阿部先生とはまた違った切り口から構造構成理論を説くので理解が深まるし、いってることはとてもよくわかって共感できるし勉強にはなるけど、
正直なところ「目の前にある本やリンゴが本当に存在するかどうかはわからない」というところまで原点にさかのぼる必要があるの?
とも思う。
名言集
〇純粋な観察者はありえない〇医療者は、医療者自身の存在そのものが、患者や家族に影響を与えざるを得ない存在であることを認めなければならない。・・・医療者自身が無視することのできないほどに強力な作用・副作用を持つ「薬剤」なのである(マイケル・バリント)
〇「人は死ぬ直前まで変化し、成長しうる」〇スピリチュアルペインを「診断・治療モデル」ではなく「成長モデル」という構造で考える・・・
治療すべきマイナスの状態ととして受け取るのでなく、「そこから新しいよきものが生み出されようとしているプラスの状態」として・・・
〇スピリチュアルペイントは、その人が置かれている状況に関連して患者自身が構成した意味や価値の一形態であり、それは絶えず変化し続けるもの、変化しうるもの」
●考え方はわかったけど、あとは経験に基づいた具体的で実践的なことになるわけだけど、考え方と実践のギャップが大きいと感じてしまうのも事実。
​​






Last updated  2020.03.15 18:04:40
コメント(0) | コメントを書く
2019.10.22
​​「ナニコレ?痛み×構造構成主義」​で慢性疼痛に対する構造構成主義的な見方を教えてくれた阿部先生が書いた意思決定支援の本なので面白くないはずがない! と緩和医療学会で見つけて思わず購入した。そのくせいに、しばらく放置、読み始めるまでに4か月かかってしまったが読み始めたら面白く一気に読めた。


●ACPがブーム?のようになって重要性が増してきた昨今、ブームではなく「構造構成主義」的な立場から本質的にACPを考えようという話が主体、哲学的な話だけど分かりやすいと思うしACPの本質を理解するにはとても良いと思う。それに後半以降にある具体的な会話の例はとても実用的でメモメモ・・・って感じ。理屈はわかったけど具体的にはどう話せばいいの?っていう疑問に対する答えのアイデアがたくさん。

​*ACPって何?て聞かないで!?よく分からない人でも医療従事者なら職種を問わず患者さんの意思決定の場に相対する場面は少なからずあったはず。これからはもっとたくさんあるはず。そのときどう考えるのかって話。ただし、対象は医療介護関係者で一般の人向けではない。​

〇「ADアドバンス・ディレクティブ(事前指示)は失敗に終わった」
●と断言しちゃってることにまず注目すべき。そもそも「AD」は望まない延命処置はしてほしくないといいう「リヴィングウィル」を制度化したものだったが、結局は役に立たずに失敗だったということ(その例としてSUPPORTstudyが挙げられる)

ACPでは
〇事前指示(AD)は、あったほうがいいけど目的ではない〇話し合いのプロセスに焦点
〇どのようなノートを作るかではない〇そのノートを使って患者さんとどのような話し合いをしてどのようなコミュニケーションをとるか、その場つくりやスキルに力を入れるべき

実際に現場では
〇話し合う前に正解が決まってしまっているのですよね
〇一番重要なステークホルダーであるべき患者さんの知らないところで、あらかじめ正解が設定されている
〇結局は患者さんを「説得」している 
●十分ではないかもしれないが患者さん本人を取り残さないことには注意を払っていつもりだが、ついつい「説得」になってしまっている点は自ら反省すべき点だし、このことに気が付いていない医療スタッフに対してもフォローすべきである。

〇信念対立はそのままにしておいてはいけない
〇共通の大きな(メタな)目的・目標を掲げる〇全力で相手を認める
〇同じ結論でも、価値観コミュニケーションのプロセスを経たうえで出た結論だからいいのです
●「信念対立」について思ったこと。カンファではそのままにしないように気を付けていたが、日常業務の中で他職種のスタッフとの「信念対立」関しては聞こえないふりをしたり逃げたりしていなかったかと問われれば・・・思いっきり反省。それがかえって職場ストレスの軽減につながることも期待されるので、できる範囲で改善を図りたい。

意思決定支援者の態度・姿勢の「形」となりうる3点
・「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」
・意思決定能力の評価:〇意思決定能力を、①理解の能力、②認識の能力、③老理的思考の能力、④選択の表明の能力
・代理意思決定者のありかたを考える

〇エンディングノートは一人で書いちゃだめ!?
●だよね、それではAD失敗の上塗りになるので、複数の人で話し合うこと、話し合いのプロセスを記録しておくことがないと意味がないって話だと思う。

〇木澤義之先生(神戸大学)は、この導入の時の台詞をノートに書き留めている・・・すでにノート一冊分になったと
●これは頂いて実行したいアイデアだ!ワシも手帳を作るぞ!P197の表1に「人生最終段階の話し合いの切り出し例」が20例書かれているのでこれもコピーして手帳に貼っておくつもりだが、案外こういうものって活用しないんだよな。身につけるためには現場で使ってみてアレンジしないと・・・でも会話の実例集は実践的でとってもいいと思う。

〇「決めてください」ではなく、「(決めるために)あなたのことが知りたいんです!」
〇「・・・今後のことについて相談していきたいと思うのですが、私も○○さんのことをよく知りたいんです。どんな方かよく知ってから、どんな方法が○○さんにあっているのか話し合いたいと思います」(本人に)
〇「今の○○さんに何をしてさしあげたらよいのか、私たちにもまだよくわかりません。だから○○さんのことをよく知りたいと思っています。○○さんの好み、どんなことを心地よく感じて、何に喜んでもらえるのか、一緒に暮らしてきて、今もずっと傍にいてくださるご家族が、私たちの何倍も感じ取っておられるのではないかと思います。・・・○○さんにとって何がいいことか、一緒に考えていただきたいと思っています」
●とか、暗記して使いたいフレーズだ。(じゃあ早速明日からやれよって話だけど)

〇私たちが知りたいのは、もしくはやり取りしたいのは、患者さんの表面的な意見、結論ではなく、患者さんの価値観です
●これがとっても大事なことで常に意識しておくべきことだと肝に銘じておかねばなるまい。「なんでそう思うんですか?」っていう質問を常に心がけねばなるまい。ついつい次にいっちゃうんだよなあ・・・

​●分かりやすく理解できて内納得もできた。具体的な会話の例もあって実用的だと思ったが、実用するかどうかは自分次第だ。​

構造構成主義について興味がある方、もうちょっと深めてみようかなと思う方にお勧め
「​​​​​わかりやすい構造構成理論―緩和ケアの本質を解く: 岡本 拓也​​​​​」
「​ナニコレ?痛み×構造構成主義/阿部泰之​」






Last updated  2020.03.15 18:05:04
コメント(0) | コメントを書く
2019.10.15
​​在宅医療をやっていると避けては通れない褥瘡 、 やむを得なく引き受けてた看護師の特定行為研修外部評価委員のお仕事にためにテキストをに目を通していたら案外面白いやんけ!となった。褥瘡テキスト通読は2冊目だけど最初の1冊目はこの本だった。かなり勉強になった最強の本だったと思っていたんだけど、パラパラ読み返してみれば忘れていたことのほうが多かった感じ(一定の基本は身についていたと考えたいんだけど・・・)。



初回に読んだ時のメモは以下の通り
----------------------------------------------------------------------------------------------------
●在宅医学会認定医試験直前のお勉強目的で急きょ購入して弱点補強のために褥瘡の勉強し直し。

●在宅での褥瘡治療を○「全人的医療」○「ナラティブ」とする鈴木央先生が書いた本。

●今までは「湿潤」一本やりだったけど(その湿潤も「しゃびしゃび」はダメで「しとしと」にする必要あり)、「デブリードマン」が大事だというのが今回の第1のお勉強でした。感染させないことが重要で予防・治療のためにデブリードマン、洗浄も軽視せずしっかりと。

●浸出液の量とドレッシング剤の使い分けはしていたけど、これまで軽視していた外用剤も浸出液の量で考える見方で整理されていた。外用剤が必要かどうかは賛否あるようだけど・・・

●学会内外で考え方に違いがあって混乱している褥瘡治療についても整理。

●開放性湿潤療法OpWT(ラップ療法)は穴あきポリエチレン袋に切ったおむつを入れるのがスタンダードになっていた。

●DESIGN-R分類、深さでは真皮まで(毛穴が残る)=D2と皮下まで=D3の差が大きい、深さと治療にかかる期間も参考になる。
D2=1か月、D3=3か月、D4=9-12か月
---------------------------------------------------------------------------------------
読んでから3年以上たったけど案外残ってるかも?と逆に自信になったかも???
とは言え、デブリの時期は急性期を終えて慢性期になってからってのは全く頭になくて、3年以上たって初めて認識できたのは反省でもあるけど大きな勉強だった。
​​​「​​​​​創傷管理関連 (看護師特定行為区分別科目研修テキスト)​​​​​​​​​​」も​​合わせて目を通していただければ、在宅での褥瘡についてはおおよそマスターできるのではないかと思う。​​​






Last updated  2020.03.15 18:07:12
コメント(0) | コメントを書く
2019.09.29
在宅緩和ケア専門の「立川在宅クリニック」の20年間で3500人以上を看取ってきた井尾先生が、医療関係者ではなくて一般の人向けに書いた本、在宅医療連合学会で見つけた。同業者としてどんなことを考えてるんだろう?とかどんなことを語るんだろう?何か参考になることがあるのでは?とりあえずコミックエッセイ的で読みやすそうだしといのもあって購入した本。

〇人は必ず 死にます●冒頭いきなりこれで始まる(コミックパートだけど)

〇「これから家に帰って一緒に生きるのよ」「生きるために家に帰るの!一緒に生きるの 最期まで・・・お父さんと!」
●これもコミックパート、ガン末期で投げやりになっている夫に妻が訴える言葉。そうなんですよ。大橋巨泉さんが亡くなる前、在宅医がいきなり「どこで死にたいですか?」と聞いたという話を読んで「そりゃ違うだろう」と思った記憶がある。そう、どこで死にたいかでなくてどこで(最期までを)生きたいかでなくてはいけないだろうと強く思うのだ!てめー、このやろーと腹が立った記憶がある。

〇死に方を考えるということは、生き方を考えるといことです
●私、今年還暦を迎えましたが、やっとこの境地がわかるようになりました。何だか成長した感を感じる。(今更か?と自己ツッコミ!)

〇在宅緩和ケアって、死ぬのを待つだけのケアじゃなくて 病を持った体で どう毎日を充実して生きていくか それを一緒に考え 家で穏やかに過ごすケアなんだよ!
〇奥さん 今日一日がいい日であったら、それでいいんだよ

〇家族の覚悟については多少厳しく確認します・・・家族の覚悟があいまいでは、自宅での看取りは成功しません」
●この点については異論あり!在宅介護の経験がない本人や家族に具体的なイメージが持てるはずもなく、不安いっぱいのはず。その時点で在宅看取りの覚悟をするのはハードルが高すぎると思う。いざとなったらまた入院という選択肢も残しながら在宅療養を開始して、「やっぱり家がいいなあ」となれば「家で最期までやれそうだなあ」となるようにサポートしていくというスタンスでワシらはやっている。何となく地域性とか文化みたいなものの違いがあるのかもしれない。

●緩和ケアは「死ぬのを待つだけのケアじゃなくて 病を持った体で どう毎日を充実して生きていくか それを一緒に考え 家で穏やかに過ごすケア」であるということをかみしめ語り広めて定着させていきたいと思う。とりあえずこの本は職場である診療所の本棚に「学生さんや研修医へおすすめの本コーナー」を作って置いておくことにしよう!






Last updated  2020.03.15 18:07:37
コメント(0) | コメントを書く

全16件 (16件中 1-10件目)

1 2 >


Copyright (c) 1997-2020 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.