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本の森で呑んだくれ、活字の海で酔っ払い

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医療・介護一般をテーマにした本

2020.11.22
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テーマ:お勧めの本(5304)
●読書メーター献本プレゼントに当選して初読み、知念作品との出会いの1冊で新しい世界の扉が開かれました。私と同業者の医師が書いた軽い医療ミステリーとヒューマンなテイストの短編集だった。ライトノベル的かな?とは言え、この後、しばらく知念作品を読み漁ることになったきっかけになった本だった。
●ライトノベルと従来の小説の違いってなんだろうって最近考えさせられる。主に説明と会話だけで押すのがラノベ、心理や状況の描写を丁寧に書いているのが従来の小説かな?と思ったりした。とは言え、本業もちゃんとできてるんですか?と突っ込みたくなるほどの勢いで作品を書き続けておられます。ということは、なるほど、本業はそんなに真剣にしなくても大丈夫ってことでしょうか?
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祈りのカルテ [ 知念 実希人 ]
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2018.4.11読了


●本作品は、「こんなちょっとした推理でも短編にすることができるんだ」という意味で面白かった。全体としては読みやすいけど平面的で浅い感じがした。とはいえ、「シンデレラの吐息」「胸に嘘を秘めて」では恥ずかしながら涙を拭ってしまった。






Last updated  2020.11.22 17:08:20
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テーマ:お勧めの本(5304)
​​・ドクター・デスの遺産」を読んだ流れで、同じ著者の​​法医学ミステリーとあったので興味をそそられて図書館本で

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ヒポクラテスの誓い [ 中山 七里 ]
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2018.2.1読了


●偏屈な老教授と変人?キャッシーのいる法医学教室で研修するはめになった真琴先生、古手川刑事が、事故死や病死だと判断された人たちを強引な手段で剖検に持ち込んで真の死因を究明する中編集、それが最後の話で一つにつながる(第1篇の最後で採血をしたエピソードが回収される)、研修医の成長物語にもなっている。


●全体の構成もうまいし、会話もユーモアがあって軽妙、読みやすかったが、もっと深く強く響くものか、ストンと胸に落ちるものがあったら・・・とちょっと残念

・とは言え。これから中山七里作品にハマっていくことになったのだった。






Last updated  2020.11.22 17:31:36
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テーマ:お勧めの本(5304)
・刑務所を舞台にした医療ミステリーということでどんな本か関心をもって図書館本。カバーに書いてあるような「手に汗を握る医療ミステリー」を期待するとちょっと残念だが、家族などいろいろな問題を抱えながらも医師として成長していく物語だった。
・同じような研修医成長ものの医療ミステリーといえば、同じカテゴリーでは​「祈りのカルテ」(知念実希人)​や​「ヒポクラテスの誓い」(山中七里)​などが思い出される。
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プリズン・ドクター (幻冬舎文庫) [ 岩井 圭也 ]
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2020.11.21読了


・初期研修を終えて本当なら神経内科医としての専門研修に入りたかった主人公の史郎は、奨学金返済の免除のためにしぶしぶ強制医官と呼ばれる刑務所の医師になった。

・詐病だと思われた受刑囚が本当に脳の病気だと診断した(第1章「見えない病」)ことから仕事にやりがいを感じ始めた主人公は、同居する二人暮らしの母親が認知症、母親と離婚していた詐欺師の父親が主人公の勤務する千歳刑務所に入ってきてふてぶてしい態度をとったり・・・友人に助けられたり恋人といろいろあったり、母親が行方不明になり、やっとみつけた母親から自分が母親と血がつながっていないことを知らされたり・・・

・4つの連作短編集というスタイルで、最終章の「白い世界」では、頼りにしていた保険助手のベテラン看守滝川が実は私刑として与薬に細工をしていたことが分かる。

​・いろいろてんこ盛りなんだけど読んだ感じがあっさりしていて軽く感じてしまったのはなぜだろう?ちょっと物足りなかったが全体としてハッピーエンドでまとまっていることには救われる。

​〇「処方薬がステータスになるといいうことですか」​
●刑務所では「病気」だと認められて薬を処方されることがステータスとなって他の受刑者よりも優位な立場になるって本当?と思った。

​〇「あなたのような人間と、真正面から向き合うためです」​
●なんで医者になったのかと父親である受刑者の松木に問われた問いへの最終的な答え。たとえ理解できなくてもその人と正面から向き合うための術として医学を選んだという。受刑者と関わる中で、母親に対して、犯罪者である父親に対して。これだけはなかなかいい言葉で「そういう考え方もあるよな」と共感できたし、いま改めてちょっとばかり反省するべきことにも思い当ったりしている。

・この1行だけでお勧めの本にしていいのかもしれない。






Last updated  2020.11.22 17:10:27
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2020.09.03
テーマ:お勧めの本(5304)
​​・南さんの4作目、同業者の医師でもあり在宅医療にも関わっているらしい彼女の作品はコンプリートしている-実は全部図書館本なので申し訳ない。ミステリーにするなど変に加工することなく、同業者から見ても「あるある」的なリアルな医療小説として面白かった。「安楽死」と「尊厳死」の違いやあいまいさなどについても正しく書かれていたと思うし問題提起されているのだと思う。

過去の3作品の感想
「サイレント・ブレス」
「ディア・ペイシャント」
「ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間」
1作目「サイレント・ブレス」と「ディア・ペイシャント」はTVドラマ化もされている。3作目の「ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間」はちょっと新境地開発的で異質かもしれない。


2020.9.2読了


・4作目にあたるこの作品は、東京の大学病院救急救命センターで仕事をしていた主人公の女医白石62歳―ワシとほぼ同年齢じゃ!―が、ある事件をきっかけに退職して地元の金沢に帰り、知人の診療所で在宅医療を始めることになる。彼女の父親も元神経内科医で開業医。彼女の在宅医としての奮闘や成長と並行して、骨折から誤嚥性肺炎に続く負のスパイラルに陥っていく父親の物語も進んでいく。

〇お父さんを楽にさせてくれ。十分に生きた。そろそろお母さんのところへいくよ。
・神経内科医であった父からそう言われた主人公、おそらく救急救命センターで仕事を続けていたとしたらまた別な判断で違う選択をしたかもしれない。故郷に帰ったことと在宅医療の現場に身を置く中で考え方が醸成されてこういう決断になったのだということがよく分かって違和感はゼロではないにしても強くはない。

・患者さんや医療従事者でない人からみたらどうなのかわからないが、かなりリアルというか医療従事者の自分の気持ちに近い気がして受け入れやすい結末ではあった。最後に110番する必要があったのかというのがちょっと疑問、というか最終判断するのは警察や検察なの?と思った。できれば最終判断の前に倫理委員会であればベストだがそうでなくても複数の立場の違う人たちを含めてディスカッションするべきだったと思う。(そんなことを言ったら小説にならないじゃんというのは十分わかっているのだが・・・)
・小説であるにも関わらずリアルにACPについて考えさせられる教材でもあった。

「スケッチブックの道標」
 救急救命センターで働いていたので在宅医療はやれるだろうと思っていたが、そうは簡単にいかないと洗礼を受ける。在宅医療の現場では「あるある」であるが、経済的問題や家族が死を受け入れることの難しさや受け入れる過程などリアル。

「フォワードの挑戦」
・癌ではない、進行性の神経難病でもない。外傷性の脊髄損傷と闘っている人を最先端医療につないでいく在宅医療。

「ゴミ屋敷のオアシス」
・これまた在宅現場で「あるある」のゴミ屋敷と患者さんと家族、スタッフとの関係性、医療や介護がどう介入していくかがテーマ。こんなにはうまくいくことは難しいとは思うがハッピーエンド。主人公の父親が転倒して大腿骨を骨折した。

「プラレールの日々」
・厚労省の高級官僚が末期がんになり、「病院から在宅への転換」を訴えてきた自分の矜持として生まれ故郷の金沢に帰って妻とともに最期を迎える決心をした。周囲は反対、息子も反対している。
〇「何もあなたのようなエリートが実践されることはないじゃないですか」
●大学病院の教授の言葉、めっちゃ腹立つ!自分たちは別!?政治家たちや多くの官僚たちもこういうエリート感覚で政策を決めているんだろうなと思うと悔しい。
〇「一度でも厚生労働省に身を置き・・・者として、身をもって示したい」
●さすがエライ!しかし、高級官僚の高い理想があったとしても庶民と同じように身体的だけでなく心理的社会的な苦悩に苦しまなければならないのだ。
・患者が最後にみつけたやるべきこと、その中で息子との和解に役に立ったのがプラレールだったのだ。

「人魚の願い」
〇「癌の子でごめんね」
・もうこれは反則だ!小児の話は泣ける。現場での経験はないが、癌末期の少女と若い両親の在宅医療と看取りの話。
〇「酷なことを申しますが、萌ちゃんはベッドの上にいてもいなくても、命はあとわずかです。だからこそ、特別な一日がほしい。そういう心からの願いなんだと思います」
・海に行きたいという萌ちゃんの希望を叶えるために行ったのが、石川県の千里浜なぎさドライブウェイというのがまたご当地的だった。
・主人公の父はリハビリ中に脳梗塞を発症、痛みに苦しむようになり、その疼痛コントロールに苦慮している。

「父の決心」
〇「はっきり言おう。積極的安楽死を頼む」
〇「これ以上、痛みに耐えていると必ず錯乱する。思ってもみん暴言を吐いてしまうかもしれん。みっともない声を出すかもしれん。そういう姿はさらしたくないんや」
・神経内科医である父親からそう求められたらどう答えたらよいのか?東京の大学病院でまだ救急医療をやっていたら別な答えだっただろうと予想されるが、地元の金沢に帰って在宅医療に関わりながら父親と生活するようになった主人公が選んだ答えは?
・厳密にいえば、判断はいくら娘であっても一人で決断するのではなく倫理委員会的な場かできなくても複数の医師や医療介護スタッフと話し合うべきだったと思うし、非がん疾患としての緩和ケアが本当に十分なされていたのかどうか検討の余地があると思った。

・決してこの小説を否定するつもりもなく、実はいい小説だと思っているのだが、誤解があると良くないと思って念のため。同じようなテーマを扱った小説は見つけたらなるべく読むようにしている。さすが現役の医師である南さん、「安楽死」と「尊厳死」の違いについて正しく書かれていて安心して読むことができた。








Last updated  2020.09.07 20:54:30
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2020.07.24
〇「お母さん、絶対なんて嘘だった」

「絶対」という言葉がキーワードになっていた。患者に「絶対」という言葉は使うべきではない、というのは一般論としては正しいしこれまで自分も患者さんに対して「絶対」という言葉は使ったことはないと思う。科学者としては「絶対」という言葉はつかえないが、人間として患者さんにプラスとなるなら使うべき言葉ではないかと思う。嘘だったという「絶対」という言葉を使った相手が菜々子だったのか婚約者だったのかは分からない。医者が患者さんに対して「絶対」という言葉を使うにはかなり勇気と決心が必要だ。「絶対」という言葉を使う医師はそれだけの勇気と決心があるのだと思う。



2020.7.19読了


・主人公は、大学病院を辞めて東京都の西の端にある玉手市にある兄の病院に勤務し始めた内科医の葉村菜々子。地元の同級生に依頼されて市民会館の舞台に立つ訳あり出演者のメディカルサポートをすることになった。6つの短篇集。

「赤黒上げて、白とらない」

大腿骨頸部骨折で緊急入院した患者がじつは末期がんであることが判明する。お笑い芸人である患者は最期のステージに立つことを希望し、院長である兄の反対を押し切ってステージをサポートする決意をした。

「屋根まで飛んで」

白血病治療中の少年、薬の副作用で白血球減少があるにも関わらず主治医の指示を無視してまでピアノの発表会出演にこだわる彼の真意は?実は夢をかなえるために離れ離れになって外国に行くピアニストの母親を励ますためだった。これはちょっと泣けた。ここでも病院長である兄の反対を押し切ってサポートに当たった。

「転ばぬ先の杖の、その先に」

 歩行障害のある玩具メーカーの女性社長が自立歩行で壇上であいさつをしたいと希望、サポートを約束してリハビリをするが・・・副社長である息子と専務との経営方針の対立もあって問題も複雑化してしまう。

〇「何を言うんですか! リハビリテーションというものは、すべての患者にとって社会復帰の第1歩なんですよ」●えっ!お兄さんも菜々子先生と同じ立場に?

「春歌う」

 ロックから演歌の世界に転身した彼は繊細で実はナイスな奴だった。

「届けたい音がある」

 和太鼓がテーマ、みんな恒例で慢性疾患の持病持ちだ

「風呂出て、詩へ寝る」

 「第九」を歌う合唱団の高名な指揮者が実はアル中だった。菜々子が病院勤務時に自殺してしまった受け持ち患者の母親が合唱団の中にいた。サポート医としての関りをメンバーから拒否されて合唱団員として参加する。

・医師として仕事をしながら医療小説を書く著者の3作目はステージドクターという新分野。楽しみにしていたのだが、ちょっと軽すぎかなという印象で物足りなかったなというのが正直な感想。もうひとひねり欲しかったなというのは無理なお願いなのかなあ・・・

南杏子さんの本
「サイレント・ブレス」​​​
「ディア・ペイシャント」







Last updated  2020.07.24 17:22:08
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2020.06.06
テーマ:お勧めの本(5304)
​​​​​​​・2020年初めに中国で報告された新型コロナウイルス(COVID-19)感染が全世界に広まって、多くの感染者と死者が出てWHOがパンデミック宣言をするに至った。その後、日本国内でも世界でも全体としては収束方向に向かって緊急事態宣言などの規制が解除される方向になっている。

・パンデミックが宣言され、日本でも緊急事態宣言が発令される中、ウイルス感染小説として読んできた「夏の厄災/篠田節子」「復活の日/小松左京」「アウトブレイク/ロビン・クック」「封鎖/仙川環」。パンデミック前に読んだ「火定/澤田瞳子」と「新型コロナウイルスの真実  | 岩田 健太郎」を入れて6作を紹介しておこうと思う。どれも面白いのでお勧め。規制が緩和されると当然ながらまた第2波、第3波が来ることは避けられないだろうとはきっと多くの人が思っていることだと思う。読んでパニックになるといけないので今のうちに読んでおいてはどうかと思う。

・最初の本だけはノンフィクションの実用書であとはフィクションの小説。COVID-19の医学的に正しい知識が分かり易く書かれている本としてはこの「新型コロナウイルスの真実 (ベスト新書) | 岩田 健太郎」がお勧め。
​​「新型コロナウイルスの真実 (ベスト新書) | 岩田 健太郎」​

​2020.5.9読了​

・新型コロナウイルスが猛威を振っている今、賞味期限限定な著作。著者の岩田健太郎氏といえば言わずと知れた感染症の専門家。なのにダイヤモンド・プリンセスに乗船してたった2時間で追い出されてしまったって本当!??
・専門書ではなく一般に人向けに分かり易く書かれた本であるが、医療従事者が読んでも理解が深まって目からうろこ的な記載が多い。

「夏の災厄 (角川文庫) | 篠田 節子」

2020.5.1読了

・インドネシアのある小さな島で島民を全滅させた伝染病があった。日本の大学や製薬会社が行った人体実験だったのか!?その新型日本脳炎ウイルスが埼玉県のとある地方で爆発的に流行し始め、次第に周囲に広がっていく。ウイルスは大学の実験室から?どうやって?冬を越せないはずの日本脳炎ウイルスが越冬できたのはなぜ?パニック小説でもありミステリーでもあり科学ミステリーでもある。

​​​​復活の日 (角川文庫) | 小松 左京​​​​

2020.5.14読了

​​​・新型コロナ感染が全世界に広がってパンデミックになっているこの2020年、50年以上前にSF小説として書かれたこの作品が、「予言の書」(帯に書かれている言葉より)として、改めて広く読まれているらしい。また、あとがきによれば日本の長編SF小説の第1作目という位置づけの作品だそうだ。今、読んでみると空想的なSFというよりも、確かにかなりリアルな予言書的作品だと思える​​。

​封鎖 | 仙川環​

​・青沼集落は道路を封鎖されて地理的に、電話もインターネットも通じなくなって情​・地元に住む看護師の静香と3人の医者(紺野 新島 松下)がそれぞれの立場から、この感染症と戦うストーリー。そして集落内の人間関係も絡んで、ちょっとあり得んだろうという設定やストーリーもありながら全体としてはまとまっていて面白かった。報的にも孤立させられてしまう。いったい誰が!?

「アウトブレイク―感染 (ハヤカワ文庫NV) | 林 克己, ロビン・クック」

・1976年にザイールで発生したエボラ出血熱が時を隔ててアメリカの各所で飛び石的に発生、初発患者は医師、発症前に追いはぎにあっている・・・CDCの新米医師マリッサが解明のヒントを得るが上司や同僚から孤立してしまい、頼りにしていた恋人は・・・

火定 | 澤田 瞳子

●奈良時代に新羅に行った使節団が持ち帰ってしまった天然痘による悲劇をいろいろな立場(民衆、虐げられた者たち、上流階級の人たち、医師、僧侶など)から描いた重いテーマの歴史小説だけどダイナミックでとても読みやすかった。歴史を受け継いで今、医師であるという立場からも読んでみて良かったと思う。







Last updated  2020.06.06 16:08:30
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2020.05.04
テーマ:お勧めの本(5304)
​​・篠田節子さんは、アンソロジーで短篇は読んだことがあるはずだが、長編は初読み。新コロ=新型コロナウイルス=COVID-19が国際的にパンデミックとなっている今、20年以上前に書かれた小説なのにすごくリアル!小説家というか著者篠田さんの想像力には感服するしかない。不謹慎かなと思いつつも、地味な装丁にも関わらず大コーフンの面白い小説だった。


2020.5.1読了


・インドネシアのある小さな島で島民を全滅させた伝染病があった。日本の大学や製薬会社が行った人体実験だったのか!?その新型日本脳炎ウイルスが埼玉県のとある地方で爆発的に流行し始め、次第に周囲に広がっていく。ウイルスは大学の実験室から?どうやって?冬を越せないはずの日本脳炎ウイルスが越冬できたのはなぜ?パニック小説でもありミステリーでもあり科学ミステリーでもある。

・ゴミ捨て場で繁殖したウイルスに感染した異常なオカモノアラガイが気持ち悪かった。それを食べた鳥、その鳥から吸血した蚊が人間を刺して感染させていた。

・健康センターという役所 お役所の職員、おばちゃん看護師の房代、副作用の危険がある予防接種に反対していた医師、予防接種がなければ大変なことになるという大学の老医師、生協活動出身のおばちゃん議員・・・みんながそれぞれの立場で活躍するのでこの人が主役だっていう人はいないという理解でいいのかなと思う。

・書かれたのが1998年だということは、まだサーズもマーズも起こってなかった時代だ。それなのにCOVID-19が蔓延してパンデミックになった現在の問題点を予見している。

・事なかれ主義・隠ぺい主義
〇「夜間診療の他の看護師には、このことは言わないでさ、予防接種の看護師にも黙っててくれるかな。みんな自分も感染するんじゃないかと、動揺するから」
〇「おめえ、学術協力って、何だか知ってんのか」「情報統制だよ、情報統制」
●行政や医療機関管理部の事なかれ主義、市民や職員をパニックの陥らせてはいけないという理屈で情報を隠蔽もしくは操作しているのではないかとさえ思えるのは、現在の実社・会と全く同じだと思う。小説では効かないと分かっているワクチン接種をすでに決まったことだからとやろうとするお役所の立場の人と、効く可能性のあるワクチンを何とか接種できるようにしたい人たちのたたかいになっていくのだった。

・忖度人事
〇「しかしU先生を入れるとなると、O先生の一派が・・・」
〇「そうすると本当に日本脳炎ウイルスを専門に研究している先生方の枠がなくなりますが」
〇「それもそうだが、かねあいの問題だからな・・・」
●そんなことで専門委員を決めてもらっちゃ困るんですよね。COVID-19パンデミックの現在でもそうでなければいいがと思う。

・デマ
〇「実は保健所は、患者の人権に配慮し嘘の情報を流してる」

・経済支援の必要性
〇もう一方で、この脳炎の流行は経済活動にも深刻な影響を与えていた。駐車場を持たない中小の商店、配達する人手のない店、衣料品、雑貨等、購入するのに急を要しない商品を扱う店の売り上げは、激減した。

・「災厄」って難しい言葉だなと思って調べてみたが、単純に災いというような意味のようでよく分からなかった。どういう時に使う言葉なんでしょうね。
​​






Last updated  2020.05.06 18:48:30
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2020.02.27
・仙川さんは医療を題材にした小説を書く作家で、けっこう読んでいるような気がしていたが、実は「極卵」についでこれで2作目だった。

2020.2.23読了


・医療サスペンスかなと思って読みはじめたけど、「脳動脈瘤は手術せずに自然療法で治せ」という怪しい名医の話は医療ミステリーとしては、いくら何でもあり得んだろうという展開になっていって、読み終われば医療を題材にした女性記者のストーリーだったなと思う。

〇「洗うって、何をですか?」金と下半身に決まっているとサーヤは言った。
●この会話って何となく記者のリアルな会話っぽくて印象に残った。大きい記事を書いて実績を上げることに焦っていた主人公の速水絵里子と、医療記事担当の壊しやサーヤこと皆川沙也の成長物語ともとれるストーリーだった。勧善懲悪的でわりと読後感も良かったけど・・・なんていうか、また他の作品もどんどん読んでみたいみたいな気持ちが湧かないのはなんでなんだろう?自分でも分からない。面白かったので一気読みだったのに。体調次第???

・働く女性の小説が好きなんだなと思った。加納朋子さんの「レインレイン・ボウ」「七人の敵がいる」シリーズは大好物だし、男性作家なのにの奥田英朗さんの「ガール」(「マドンナ」も面白かった)、柴田よしきさんの「ワーキングガール・ウォーズ」、朱野帰子さんの「わたし、定時で帰ります。」、森絵都さんの​「風に舞い上がるビニールシート」など、女性の多い職場で働いているのだが、ちょっと自分の周りの女性たちとは違うような(というと角がたつが、誰も読んでないと思うので大丈夫か?)、好感の持てるというか共感できそうな人たちだなと思う。また改めてこれらの働く女性シリーズは紹介できたらと思う。






Last updated  2020.02.27 22:17:36
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2020.02.09
​​・集英社の短編アンソロジーシリーズは​「短編工場」​「短編復活」​に続いて3冊目でいずれもBOOKOFFで衝動買い。調べてみればこのシリーズは11冊目でこれが最後になるらしい。巻末の「編者の事情」によれば、「医学もの」のアンソロジーをという編集部の意向をあれこれ考えているうちに、患者を中心にもってきたものを集めたろうやないか!と思って集めた短篇集だとのこと。
・​「短篇工場」​では熊谷達也さんに、​「短編復活」​では群ようこさんに出会えたのだ。さあ今回はどんな出会いがあるのだろうか?という期待で読み始めた。

2020.2.8読了


・読み始めたものの、その当時に多忙だったせいだかどうか忘れたが、順不同で読み始めて「特殊治療」の途中で中断、その後だいぶたってから再開したのだが・・・既読のはずの小説の内容をすっかり忘れてしまっているという事実を知って自分の老化を改めて認識してちょっとがっかりした。


・山本文緒「彼女の冷蔵庫」

25歳の娘と35歳の継母、娘が骨折して入院した。しかも栄養失調で骨粗鬆症になっていた。継母を受け入れられなかった娘とその娘を持て余していた継母が心をかわせるようになる話。

・文緒さんは短篇だけで2作目、前作は水族館がテーマの暗い話だったように記憶している。この短編も初読みでは印象がなかったけど、再読してみて改めて好印象だった。

・筒井康隆「顔面崩壊」

SFっていうか不条理の世界なのだけどあまりピンとこなかったかな?

・椎名誠「パンツをはいたウルトラマン」

・椎名ファンのワシもこれは初読みだった。筒井ワールドとは違ってこっちは何だか突き抜けて面白い!サラリーマンがやっていた週末のバイトで着ていたウルトラマンスーツが肌に馴染んで脱げなくなって超人生活(あそこもウルトラ)を送る羽目になったっちゅう話。シーナさんは忙しいさななかにこんな小説も書いていたのかとあきれた作品だった。

・北杜夫「買物」

・北杜夫さん初読み??ではないような気もするけど、SF、精神疾患、タイムマシン・・・精神疾患を扱った小説だが、世界観がどこかおかしい。読者が違和感を感じるのとほぼ同時に、患者よりもきわどい医師の異常性が描かれる。

・小松左京「くだんのはは」

・終戦間際のホラー

・白石一郎「庖丁ざむらい」

・これ読後感が良かった!職場で自分の立場は考えずに正しいと思ったことを普通に上司に述べる、左遷を左遷とも思わず食の追求としてプラスに考える、って「包丁ざむらい」はかなりの達人だなと思った。

・隆慶一郎「破行の剣」

・柳生の話、史実は知らないが小説としては面白い。白土三平のコミックに出てきそうな話。嫌いではない。

・久坂部羊「シリコン」

・既読で不快な読後感は覚えているけど内容は忘れてしまっていた、いいかげんな豊胸手術に被害にあった女性の話。悪い奴らは罰せられたかもしれないが、すっきりしない。好きではない。

・藤田宣水「特殊治療」

・交通事故で瀕死の状態から回復、あこがれていた女性が人間でありヒルであった、彼女と結婚する?・・嫌になって途中で読むのをやめた。初めから再読したときにはあまり違和感なく読めた。読んでいる自分の精神状態に影響されるのかと思った。ホラー小説なのかな?

・遠藤周作「共犯者」

・不倫の話、たぶん35年以上ぶりによむ遠藤周作作品だけど、イマイチだと思うのは世の中が変わってしまったせいかもしれない。

・馳星周「長い夜」

・日本に住んでいるアジア人の話、著者のこの世界の話にはあまり関心がないかも?

・氷室冴子「病は気から」

・男の人とああなることを「オマカセする」と表現するとか軽いタッチが良かった。

・このアンソロジーの中で一番関心を持った著者だったのだけどもう亡くなってるんですね、という言うことはやっぱり本当は重い病気だったのだったりして・・・とか思ったりもする。残念!

・三島由紀夫「怪物」

・三島由紀夫なんて成人してから読んでないと思うので40年以上ぶりとなる。このアンソロジーになければ読むことはなかったはず。主人公の斉茂(なりもち)が脳卒中で倒れる場面の出だしから読みにくいなと思ってしまった。だいたい主人公の名前の読み方からすでに難しいし・・とは言え、自分が生まれる10年も前に書かれた小説だから当然であって三島先生のせいではないのだ。

〇松平斉茂のこの最後の策謀は裏切られた。今時めずらしい人道的な檜垣は、頬一面に醜い引きつりのある女と敢然と結婚した。斉茂は二人の結婚後1週間後に再度の脳溢血で急逝した。(小説の最後)

・三島由紀夫は「最後の1行が決まるまで書けない」と語っていたといわれる作家。自己中心的で残虐に人を馬鹿にして陥れることばかりしてきた主人公が脳卒中で動けなくなってしゃべることもできない弱者の立場になる。最後のあがきで娘の顔に火傷を負わせたものの、今まで馬鹿にしていた檜垣という善良な男と娘の結婚という、思い描いた悲劇とは違う結末を知って死を迎えたというオチ。そう考えれば、確かにこの結末に収束するように物語が組まれていたのだなという気がする。

・脳卒中などで閉じ込め症候群になった人から見た世界の小説っていうのは、今書かれても面白いテーマになると思う。着眼点が先進的だったのではないかと思う。
(心に残った作品でもないのに何だかコメントが長くなってしまった。さすが、三島由紀夫なのかもしれない)

・渡辺淳一「薔薇連想」

・渡辺淳一は大学に入ったばかりの頃(つまり40年以上前)に一時ハマって読み漁った作家であったが、同時に途中で嫌になってしまい全く読まなくなってしまった作家。なので、このアンソロジーになければ読むことはなかったはず。

・解説で最も絶賛されているので読んでみれば、梅毒をうつされた美しい劇団の女性が、周囲の男たちに感染させていくハナシ。薔薇とは梅毒の症状の一つ「薔薇疹」のこと。もう勘弁してくれ!やっぱ渡辺淳一は好きでなくなった昔の恋人的な作家だ。







Last updated  2020.02.09 17:22:44
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2020.01.25
・エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座講座のを主催する小澤先生が青少年向けに書いた本。今年(2020年)の1月に名古屋で開催された講座に2年半ぶりに参加したときに購入した。

2020.1.22読了


・小澤先生のパワーには全く恐れ入ってしまう。クリニックで在宅緩和ケアを中心にした医療を展開する傍らで、といいうか現在はおそらくこっちがメインなんだろうけど、毎週のように全国を飛び回って講習会を開催し、講演会もこなしながら、その上さらに子どもたちに向けた「いのちの授業」まで展開している。まさに、小澤先生に共鳴した周りのスタッフや全国つづ浦々の人々の協力があってのことだろうと思うのだけど、数年の間でこれだけ広がってきたということは、それだけ求められているということの裏返しなのだろうか。

・「いのち」の問題や「不登校」、結局ルーツや解決(穏やかになる、分かってもらえたと思ってもらえるかなどかな?)は共通なのかもしれない。

・この本を読んだ青少年がどう感じるのかは全く予想できないし、ちょっとネガティブな予想が浮かんだりもする。でも落ち込んだり落ち込みそうになったときに真剣に悩んだ人たちには共感して次の一歩を踏み出すヒントになるのかな?とも思う。なにせ、青少年たちとの関りが全くない今日この頃、娘や息子ももう中年、職場の若者たちは宇宙人かと・・・

・講座のおさらいをするにはちょうど良かった。
・講座の内容を予習・復習するには​「死を前にした人にあなたは何ができますか​」が超お勧めです。






Last updated  2020.01.25 19:04:43
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