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青い地球の事件簿

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2007.03.04
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カテゴリ:予測

ジャーナリストの田中宇氏が興味深い記事を最近書いている。

地球温暖化のエセ科学
http://tanakanews.com/070220warming.htm

この記事に関してはいろいろ述べたいことがある。
今回は以下の部分について見てみよう。

無視されてきた太陽黒点説
IPCCの報告書では、温暖化の原因は、二酸化炭素など温室効果ガスの増加に集約されており、他の原因については少ししか議論されていない。だが、最近の研究で、実は二酸化炭素よりも太陽黒点の活動の方が、温暖化に関係しているのではないかという説が有力になっている。
 これはデンマークの学者ヘンリク・スベンスマルク(Henrik Svensmark)らが10年以上前から研究しているもので、以下のような説である。宇宙は、星の爆発などによって作られる微粒子(荷電粒子)で満ちており、微粒子は地球にも常にふりそそぎ「宇宙線」として知られている。大気圏にふりそそぐ宇宙線の微粒子には、その周りにある水蒸気がくっついてきて水滴になり、雲をつくる。ふりそそぐ宇宙線が多いほど、大気圏の雲は多くなる。(ほかに雲の水滴の核になるものとして、地上から舞い上がった塵の微粒子がある)
 太陽は、黒点活動が活発になると、電磁波(太陽風)を多く放出し、電磁波は宇宙線を蹴散らすので、地球にふりそそぐ宇宙線が減る。宇宙線が減ると、雲の発生が抑えられ、晴れの天気が多くなり、地球は温暖化する。逆に太陽黒点が減ると、ふりそそぐ宇宙線の量が増え、雲が増えて太陽光線がさえぎられ、地球は寒冷化する。世界史を見ると、太陽黒点が特に少なかった1650年からの50年間に、地球は小さな氷河期になり、ロンドンやパリで厳しい寒さが記録されている

過去にも、太陽の活動と気温の変化を結び付けられるかという研究は行われてきた。しかしながら、観測される太陽の活動の変化にともなう日射量の変化では、量的にまったく説明できないとされてきた。スベンスマルク氏の説が新しいのは雲の形成と宇宙線を結びつけることで、従来の説の弱点を補強するところにある。

いろいろと文献も読んでみたが、スベンスマルク氏氏の理論は興味ぶかいものの有力な説とまではいっていないというのが妥当なところであろう。最近の関連する記事としては

Kanipe, J., 2006: Climate change: A cosmic connection. Nature, 443, 141-143

が、この説の紹介として興味深かった。スベンスマルク氏の説はいろいろ疑問もあるけれども、議論の成否はさておき、科学的な大規模な実験としてCLOUDという計画が進んでいますよという記事だ。

CLOUD計画に関してはこちら(英語)
http://cloud.web.cern.ch/cloud/

宇宙線が水蒸気に影響を与える可能性があることだけを考えるならば、上記のKanipe氏の記事にも出てくるが、物理の歴史に詳しい人ならば、霧箱のことを思い出していただければ、それ自体はよく知られた現象であることがわかるであろう。

スベンスマルク氏の2005年の論文もざっと眺めてみたが、私には十分にこの論文を説明する力量はないことを認めた上で、温室効果を否定するというような大きなことをを書いてある論文ではなく、(よい意味で)地味なある特定の実験の結果を報告してあるような印象を受けた。この論文だけで、黒点説が証明されたとはいえないであろう。

小氷期に関しては、太陽の活動とのかかわりは指摘されているものの、他の要因にかんしても議論されている。

たとえば
http://web.sfc.keio.ac.jp/~masudako/publ/geosci/liac/text.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B0%B7%E6%9C%9F

 

非常に問題なのは以下の点である。

田中氏は以下のように書く。

だが、IPCCの報告書は、いまだにこの新説を無視している。

これは事実であろうか?実はIPCCの報告書にはスベンスマルク氏の説はちゃんと取り上げられている。下記は2001年の報告書の該当部分へのリンクである。

http://www.grida.no/climate/ipcc_tar/wg1/246.htm

結論としては、科学的なディスカッションの後、現段階では十分な証拠はないとして、温暖化の主要な原因として退けてはいる。しかしながら、「無視」というのは実態を反映したものではなく、せいぜい「認めていない」と書くべきものであろう。田中氏の書き方では、科学者が政治的にスベンスマルク氏の意見を隠しているという誤解を与えかねない。また、ジャーナリストとしては、新聞の意見記事などにリンクするよりもまず、1次資料へとリンクを張るべきであっただろう。

私自身の考えを述べれば、黒点説なの新たな要素を提唱し、その是非を検討するのは科学的に健康的なことであると思う。これからも研究が進んでほしい。しかし、このような説がことさらに取り上げられるときにいつも疑問に思うのは、「こういう説でも最近の温暖化は説明できる可能性がある。だから、二酸化炭素が温暖化を起こしているのではない。」という論理の飛躍である。二酸化炭素に温暖化する働きがあるということは物理的に(黒点説よりもはるかに)証明された現象であり、二酸化炭素が大気中に増えているというのも観測事実である。にもかかわらず、地球上で二酸化炭素で温暖化が起こらないとするならば、何か原因があるはずであり、その理由も提唱することが必要とされる。

さもなければ、こう考えられるであろう。仮に、今後研究が進むことで、黒点説でも温暖化を説明できるとしよう。そうであれば、より一層厳しいの二酸化炭素の規制が求められる。なぜなら、気候には、温室効果ガスと黒点変化の2重のリスクがあることになる。黒点変化のリスクのほうはとりあえず人類にはどうしようもないから、温室効果ガスに関するリスクにはせめてどうにかしなければならない、と。


田中氏の文章に関しては他の部分も今後、取り上げてみたい。

(メタンの増加に関しては昨年の10月10日の日記で取り上げている。)

 参考

地球温暖化はエセ科学か
http://www.yasuienv.net/GWPoliticsTanaka.htm

 

「地球温暖化のエセ科学について」in田中宇の国際ニュース解説、について
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/stopglobalwarming/9179.html

 

 






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最終更新日  2007.03.04 21:27:13
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