カテゴリ:予測
地球温暖化のエセ科学 に関する感想の続きです。 田中氏は、こうも書く。
(注:田中氏は「塵」という言葉を使っているが、文脈から「エーロゾル」と置き換えられると思われる。「エアロゾル」とも言ったりするが、「IPCC第4次報告書政策決定者向け要約書」日本語訳で「エーロゾル」という言葉を使っているようなので、ここでは「エーロゾル」で統一する。)
2001年の第3次報告書全文においても第5章のまるまる全部50ページ以上の紙数を使ってエーロゾルの効果は触れられている。今後公表される第4次報告書の全文には、同様以上のボリュームでエーロゾルのことには触れられるであろう。 以上のように「IPCCには無視されている」というのは全く事実に反する。田中氏は、いつものような新聞等へのリンクさえ行っていない(実際、そのようなリンクは難しいであろう)。
(参考1)1月29日の日記でも取り上げらているように、エーロゾルの効果を使って人工的に地球の温暖化を防ごうとする考え方もある。私には、火事が起こっているのにクーラーをガンガンにかければ暑くなくなるというような考え方に思えて、うまくいくとは思えない。
(参考2)上の図でもわかるように(大きなエラーバー)エアロゾル効果を見積もるのはなかなか難しい。 このことについて科学者達は真摯に取り組んできたし、これからも努力するだろう。例えば、行本 (2007)(”地球温暖化予測の最近の20年間の進展." 天気 54(2): 111-114)では、以下のように述べられている。 大気中のエアロゾルが気候に与える影響はSAR以降次第に重要視されるようになってきている。一般にエアロゾルは、一部の種類を除き、日射を反射することで地表に対し冷却の効果(直接効果)を持ち、温室効果気体の増加による温暖化を緩和する働きを持つ。 また、エアロゾルは雲の凝結核として働くものがあり、雲粒の数密度に影響して雲の光学的特性を変化させる効果(第1種間接効果)や、雲水・氷晶から降水への変換効率に影響して雲の寿命を変化させる効果(第2種間接効果)を持つ。これらを直接・間接効果を通して、人間活動により排出されるエアロゾルが気候変化に関わってくるため、モデルでこれらの効果を適切に表現しなくてはならない。 SARでは地表面アルベドを増加させることで硫酸エアロゾルの直接効果を簡易に表現した実験(Mitchell et al. 1995)が用いられた。TARでは多くの機関でエアロゾルの効果を入れた実験が行われたが、直接効果のみがほとんどで、ごく一部(MPI,HadCM2 と CCSR/NIES2)で間接効果が導入された。TARまでは硫酸エアロゾルのみ外部条件として与える扱いで、その他の種類(海塩、鉱物ダストや黒色炭素など)は含まないものが大多数であったが、AR4では多種類のエアロゾルをインタラクティブに扱うモデルが現れはじめている。 (注:SARは1995年第2次報告書。TARは2001年第3次報告書。AR4は2007年第4次報告書)
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最終更新日
2007.03.11 23:45:04
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