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カテゴリ:時事
ニューヨークで旅客機が、ラガーディア空港を離陸約3分後にハドソン川に不時着しました。(1月15日午後3時半頃 : 気温マイナス6度、水温4度) 素晴らしいのは、乗員・乗客155名全員が救出され死亡者ゼロだったという事だと思います。旅客機の不時着事故で全員無事救出というのは史上稀なことですね。 まず賞賛すべきは、この旅客機を操縦していたチェスリー・サレンバーガー機長の冷静な判断力と、卓越した操縦技術による不時着水敢行、そして乗客への最終の安全確認行為だと思います。サレンバーガー機長(57才)は、飛行時間1万9千時間、約30年前は米空軍でF4Fファントム(戦闘機)の飛行経験を持つベテランパイロットです。 次に賞賛すべきは、ハドソン川での沿岸警備隊、通勤用フェリー、地元ボランティア等による迅速で献身的な救助活動だと思います。 事故の原因はバードストライクによるもので、2基あるエンジンの両方供がストップしたという事です。ここでいうバードストライクとは、野鳥がターボファンジェットエンジンに吸い込まれ、エンジンが破損してしまうことです。 管制より指示された最寄りのテターボロ空港への着陸が不可能と即座に判断した機長は、川幅の広いハドソン川へ、橋に接触しないよう目視での着水を見事な腕前で成功させました。 日本でも多くの空港が、ニューヨークのように沿岸部で野鳥の生息地と重なっており、毎年墜落事故には至らないものの、多くの被害が発生しています。 相手は鳥なので衝撃はほとんど感じられませんが、機内の与圧システムや空調機はエンジンを動力源としているので異臭がないか、パイロットは客室乗務員に確認を行います(乗客には気付かれないように)。離陸時は回避できる範囲で野鳥を避け、着陸時は着陸復行(やり直し)を行うこともあります。 今回のようにエンジン2基がバードストライクに見舞われ、ほぼ同時に停止するのは珍しいことです。事故機はエアバスA320でエンジンが2基の双発機です。 推進力を失った旅客機は、高い降下率で高度を下げ失速し易くなります。今日のように離陸後1分に満たない低い高度で発生した場合、1秒たりとも無駄な時間は許されません。 乗客に衝撃防止姿勢をとるよう機内アナウンスし、機を最後まで安全にコントロールし続けたこの機長は、グレートキャプテンの中のグレートキャプテンといえるでしょう。
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