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カテゴリ:★パパの闘病記録
今日は、気が向いたので、パパの走馬灯について…
先日、パパのギターのエピソードは伝えたね。 実際、どれくらいの時間をかけて語ったのか、全く覚えていない。 数十分の事だったのか、数時間の事だったのか… 多分、その日の朝の事だと思う。 いつもの様に子供たちを小学校に送り出し、早々に渋滞を我慢しながら病院に到着。 その頃には、私は眠れないと言うか、眠る時間も惜しんでいろいろやっていた。 この日も朝4時起き。。 病院に到着したのが7時半頃だったと思う。 この日は義母と下の義妹が泊まり込んでいた。その前の日は上の義妹が泊まり込んだ。 (私たちは、週末に子供たちと一緒に毎週泊まり込んだ。) 病室に入ったら、義妹と義母が泣きながら主人の背中をさすっていた。 どうも、痛み止めが効かなくて、一晩中そうしていたらしい。 そして、「私がまだこない」とずっと待っていたらしい。 泣きたくなった。でも、三人で泣いたら仕方ないから、笑って、「困らせちゃだめじゃ~ン」って言った。 主人も笑った。ほっとした。 子供が生まれてからずっと、入院し始めた頃も、私の事はずっと「まま」と呼んでいた。 でも、この日、「あんた」と呼ばれた。 もしかして、私の記憶が欠如し始めているのかな?って思った。 でも、私の顔を見て、笑って、「言い残す事をいったほうがいいかぁ?」って言った。 まだ、妻であると認識があったみたい。再びほっとした。 「なにをいってるの~、治して家に帰るんでしょ!?」って、笑って返した。 「もういいよ、かえろうよう~」って言った。多分、これがまともな言葉を交わした会話の最後。 その後は、ちょっと覚えていない。 多分、今思うにその後、走馬灯のように…がくるんだと思う。 順番も覚えていないが、パパの記憶は、ほとんどが学校での記憶だった. 私は会話に参加したが、パパの記憶と会話していた。 その1 パパは、学校では物理を教えていた。その関係なのかは?だけどと当人もよく言っていたが、 学校でのパソコン関連もパパがかなりしきっていたらしい。 毎年の授業の先生の配組をするソフトも作成し、それを相手に格闘するのも主人の役目だった様。 それを、毎年度末、学校に泊まり込む勢いでやっていたのを覚えている。 主人も、それはかなり強烈に覚えていたようで、その時の記憶がよみがえってきた。 「ちがう~それじゃあ、こっちで授業が出来ないだろう!俺に同じ時間にあっちとこっちに授業しろと言うつもりか!わがまま言うな!皆がわがまま言ってたらどうしようもないだろう~」 と叫んだ.私は、「今は病気を治すんだから、それは他の先生に任せたら?」っていった。 それでその話題はおわった。 その2 ギターの事 その3 「みんな、円陣組んで!」右手を主人がさしだした。すぐにバレーボールの事だと分かった。 多分、試合がある時はいつもそうして、気合いを入れて望んだんだろうね。 主人が何やら叫んだ。わたしにはわからない。 機会があったら、いつも試合のとき手を合わせて皆でなんて言っていたのか、生徒さんたちに聞いてみたいと思う。 その場にいたのは私たちだったけど、「いいから組んで!」と言った。 で、わからないまま皆で叫んで…主人が「これでよし!おわり!」と言った。 「おわり!?」 その4 両手をバイクのハンドルを持つ形をし、「ぶん、ぶん、ぶ~ん」と言って、ふかす音マネ。 「みんな乗ったか?子供たちは乗ったか?あんたも乗ったか?」 子供たちは始め躊躇していたが、私は、便乗。「ぶん、ぶん、ぶ~ん」と一緒に乗る。 「よし、いくぞ!」と言って、「ぶ~ん」とバイクが走り出した。布団の上。子供たちも乗った。 右に曲がり、左に曲がり、長いドライブ。 止まった。「よし、これでよし!おわり!次は?」と言った。「おわり!?」 子供たちには言った事はないが、主人はバイクが大好きで、 「老人になって二人きりになったら、サイドカーに乗ってくれるかな?」って長女が生まれたばっかりの頃に言われた事がある。 アメリカンタイプのでかいバイクに乗るのが夢だった主人。 恥ずかしいけど、仕方ないなんて思ってた。 でも、パパは私たちとバイクに乗った事は一度もない。 この時は、私たち家族の未来と彼は話していた。 …まだ、まだある。 でも、パパは一つ話すたびに、「これでよし!」「コレは終わり!」「次は!?」って言ってた。 私は、この言葉で、パパが自分の走馬灯の記憶と会話しながら、自分の未来と会話しながら、 自分の死が間もなくということを認識していたんではないかと思えて仕方なかった。 でも、私は、この時も、まだ復活すると信じ、疑っていなかった。 でもコレが山場だと感じた。 パパが語るすべてが、私にはちゃんと分かったことが、妻で良かったと思った。 もう一度、「まま」って呼んで欲しかったが、かなわなかった。 涙が止まらない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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