宝物探査士・榎本晴彦 百年のBLOG

2014/08/02(土)17:54

ジュエリーについて思うこと。

ジュエリー(141)

ジュエリーの魅力のひとつは、その永続性にあります。もう少しくだけた言い方をしますと、ジュエリーはずっと残るものです。ただし、すべてのジュエリーが永く残る訳ではなく残るジュエリーである為にはいくつかの条件が必要になってきます。 まずは素材としての化学変化、経年変化が極めて少ないということ。これが永く残る上での大切な要素になります。例えば上写真のジュエリーは実際に100年以上経ったものですがここで使われている素材は金、銀、ルビー、スピネル、そしてダイヤモンドです。これが鉄やガラスを素材にしたものであれば残る確率はぐっと下がってくるでしょうね。そして、ジュエリーに永続性を持たせるには「素材」という要素だけではまだ不十分です。そこでさらに必要になるのは「デザイン」と「制作技術」です。才能ある作家が思いを込めて、ちゃんと作ったものでないと後世にまで残るということはなかなか難しいのです。 即ちアンティークジュエリーとは良い素材を使って、優れた美しいデザインと確かな技術で仕立てられたものであると言えます。敢えてもう一言付け加えるならば、時の洗礼を受けても尚、現在まで残ってきたという運の強さを持ち合わせたジュエリーであるとも言えるでしょう。 我々が現代に制作されたジュエリーをご紹介する際には、この先の100年にまでそのジュエリーが残り得るかどうかを重要な判断基準にしています。もちろん運という不確定な要素が介在するので絶対というのはあり得ませんが100年後にアンティークと呼ばれる可能性がなるべく高いジュエリーを紹介するのが我々の務めであると思っています。人は年齢を重ねるにつれ、様々な経験をしながらその魅力、人間性を醸成させてゆくものです。同時にお気に入りのジュエリーは様々な人生のストーリーをその身に少しずつ刻んで時間をかけて熟成されていく。ジュエリーに刻まれた小傷のひとつひとつは人生の年輪そのものです。いつかアンティークと呼ばれる未来へと思いを馳せながら、ジュエリーと共に変遷の過程を楽しむ。これはとてもお洒落でロマンティックなライフスタイルなのです。

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