「じゅぽんのつぶやき」『七話』第七話 前回までのあらすじ 「じゅぽん」という、小狸がつぶやく、一家と「樹囁庵」の物語。 「じゅぽん」は、親父が聞かせてくれた「じっちゃん」の若き日の活躍を、床に入って思い出していた。 後に皆から「明神騒動」といわれる、狐一族との争いである。ボクは、益々興奮して、親父が話してくれた。、その時の顔色や話し振りまでも思い出していた。 第七話 「じっちゃん」の呼び名は「サブ」。 「サブ」は、組頭たちを前に、地図を描いた。(ページの地図を参考) そして、声をひそめて、 「駄場への別れ道(A)に奴らの好物の「蜂蜜」を置くのだ。そして、その道の両脇へ、ススキの穂を、20本ばかり立てておく、いいな、これは、上組の仕事としてもらう」「よっし、分かった」上組の頭は、頷いた。 「そこへ、上組の若いものを二人配置してもらおう」と「サブ」が言うと「えっ」と驚いて「何がなんでも、二人とは、少な過ぎるんじゃないか?その二人、やられてしまうぞ」と訴えた。 「いやいや、一人でもいいくらいなんじゃが、伝令の役も必要じゃから、二人にしたんじゃよ。 「狐一族に、賢い「ゴン」がいる以上、大丈夫じゃ。心配せんでもええわい」自信あり気な「サブ」の顔は、にんまりと薄笑いを浮かべていた。 続けて、 「中組の連中は、昨日までに、小狸連中に遊びながら掘らせていた、炭焼き窯の後ろに穴がある、じゃが所詮、小狸らが堀った穴、お前さんたちで、もっと、広く深く仕上げてくれ」 「よっしゃ、分かった。きゃつらがすっぽりと入る大きさよのー」 中組の頭はにっこりと笑って「サブ」を見た。 「サブ」も笑いながら「そうじゃ、いい勘しとるぞ」と答えた。 「それから、その窯の後ろに、ススキの穂を10本くらい立てておいてくれ」「よし、それも分かったぞよ」と言いながら、外で待っていた中組の連中を引き連れて、炭焼き窯へと向かって行った。 「残りの者は、空き缶とタラノ木を持って、わしと一緒に来てくれ」そういうと「サブ」はみんなの先頭に立って、外に出た。 明日は、満月、前夜の月も、昼間を思わすような輝きを放っていたそうです。 もうその頃には、狐の一族も、警戒し始めていたそうで、穴掘りは、小狸たちが、遊び半分でやっているという偽装をしていたと聞きました。 耳の鋭い狐たちに気付かれないよう、手まねで、てきぱきと指示する「サブ」につられ、皆も無言で、動きまわったようでした。 駄場への別れ道を20メートルくらい入った場所に、綱を張り、空き缶の束を二つその両方の先に、吊るして置いたそうです。 次に、炭焼き窯の跡に行き、先ず、空き缶の束を、窯口から運び入れ、辺りの枯草などで、入り口を塞いでおいたそうです。 勿論綱の先は、木陰まで引っ張っていました。 次は、タラノ木を束ねたものを、綱でしばり、木の枝に結びつけました。 束は五束あったそうです。 残りのタラノ木は、上組が掘った穴の中に、投げ込んでおいたそうです。 で、この続きは、第八話でつぶやくことにいたします。 Next Back ジャンル別一覧
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