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カテゴリ:故郷
初夏のある日、秋に同級会をやるのだ、今年は筋目の年だから帰って来いよと、一時帰国していた私に友人らが云った。中学のクラスのことである。 卒業以来45年の歳月が流れていた。我が母校では3年間同じクラスである。
そのためにだけまた帰国することなど出来るであろうかと、いささか危ぶみはしたが、 かっての面影を濃く残すのもいたけれど、当然ながら直ちには判別しがたいのもいたわけである。 しかしそれぞれが素敵な年輪を経ているのであったし、また問わず語りに夫々の来し方を聞けば、かって紅顔の少年少女であった頃の面影がたちまちに浮かんでくるのだった。 私はと云えば、此処に載せた、ウィーンから日本海側にある自分の生まれたこの父祖の地へ戻り、さらに瀬戸内海側の、そこで育った県都へと足をむけたのだ。 永く日本を離れているのだから、40年45年ぶりに会う友人が何人もいた。 「45年の歳月を飛び越えて、あんなに楽しい時間が持てるなんて、人生もすてたもんやないね」 と、そこに移り住んでから永くたつらしい古都の言葉の柔らかな響きで、こう云いやって来た友がいた。そう、 確かにそんな時を持ったのだ。 人生の半分以上を祖国を離れて暮らし、今また古巣ウィーンに戻ってからあの集いを思い浮かべれば、何故かもう遠く過ぎたことのようでもある。
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