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嘔吐112.

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March 22, 2007
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カテゴリ:Lily

三回目の刹那を感じ、僕は咄嗟に自分の呼吸が出来なくなることを覚悟した。判る、解ってた。こんな風に同じことを何度も重ねるから、僕は君に馬鹿だと言われるんだ、って。

そうして自分に対しての嫌悪感から逃げるように布団から這い出すよりも、涙を流すことの方が早かったことに吐き気がした。
もう、本当馬鹿だなぁ「金子麻衣」は。嫌悪で一杯の涙を吐き出して自嘲気味に。それでも苦笑せずにはいられないような親しみを込めて。ああもう、本当に駄目なんだからなぁ。

ごめんねと想うよりありがとうと想うより、それらを伝えられないことを苦しく想った。寂しいと想うより、君が寂しさに駆られていないかと、僕にしては珍しい想いを「人間に」抱えた。そうして色んな思考を味わう内で、僕がどれだけ君を好きで、僕がどれだけ安易な夢を観て馬鹿をして、君を穢していたのかを思い知った。



夢の中で、君はいつもの笑顔を向けて僕をあしらってくれていた。「**」「******」「****」「****、**」夢の中の君の唇は、まるで天国のように温かだった。だから目が覚めてからも僕は余計に哀しくなったのかもしれない。

触れさせた試しもない癖に、僕は夢の縁取りをなぞってる。
君は僕が望んでも望まなくても、きっと此処にはいないんだろう。此処に君はいられない。僕は君を辿れない。



夢は、観れば観る程僕を弱くさせた。

(似たようなものかもしれないけれど)人としてではなく、一つの形質として。僕としての形が、まるで涙が滲んでいくように崩れていく。僕の形が滲めば滲む程、「私」としての形質も滲んでく。滑稽だった。一種の悦楽性さえ感じてた。これがいつものつまらない夢なら。君のいない夢なら。

君がこんな風に僕を蝕んでいくことがもっと早く解っていたなら、僕はせめて君に(一度だって)好きだなんて言わなかったのに。君の眠れない夜を嘆いたりもしなかったのに。(後悔を唱えないのが僕の役だったのに、僕は一体何処にいったんだろう?)だけどそれでもすきだなんて、僕はなんて馬鹿を言うんだろう。

嗚呼、もう本当に馬鹿だなぁ、「僕ら」は。


呼吸が出来ない。父さん、母さん。僕は呼吸ができない。
如何して僕は夢をみることを憶えてしまったのだろう。如何してこの嘆きは僕の意識にはたらきかけてくれないのだろう。如何して僕は僕を好きになれないのだろう。僕の意識がはたらかない。

碧。

もうこれ以上君を僕の夢の中で穢したくない。もうこれ以上、君を穢してしまったと嫌悪感に塗れるような、そんな傲慢な夢を刻みたくはない。君はいつまでも、僕のような奴に穢すことの出来るような人じゃあない。

だからさよなら。ごめんね。だいすきだよ、ずっと。





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Last updated  March 22, 2007 03:50:07 PM
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