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2006/06/20(火)09:25

「モナリザ」の模写か、習作か なぞの絵画公開

芸能・文化・アート(51)

 米北東端メーン州ポートランドのポートランド美術館が、所蔵の油絵「ラ・ジョコンダ」の展示を始めている。レオナルド・ダビンチの「モナリザ」と構図がそっくりで、1510年以前の作品とされる。1503~07年作とされるモナリザの完成後間もない模写か、ダビンチ自身による制作過程の習作ではないかと言われるが、作者はわかっていない。映画「ダ・ヴィンチ・コード」の公開とあいまって、そのなぞが美術ファンを引きつけている。  ラ・ジョコンダは、モナリザの別名。美術館のキャリー・ハスレット学芸員によると、作品は縦64センチ、横54センチ。モナリザに比べて幅が1センチ長く、縦は13センチ短い。モナリザはポプラ材だが、こちらはキャンバスに描かれている。  構図、背景ともそっくりで、腕の組み方も同じだが、モナリザが両手ののったひじかけまで描かれているのに対し、ジョコンダは右手の下が切れている。頭の上の空間も少なく、全体としてモナリザをアップにしたような印象がある。体の角度も微妙に違う。  モナリザにはいくつもの模写があることが知られているが、この作品はハーバード大による絵の具などの精密な解析の結果、1510年以前に描かれたものだとされる。モナリザの制作時期と重なる上、モナリザの神秘的な微笑が見られないことから、模写ではなく制作過程の習作ではないかという説がある。  ダビンチは左利きだったとされるが、背景の川の描き方からジョコンダも左利きによる作品の特徴があるという。作品は1983年に美術館に寄贈された。50年代までスイス人が所有していたことがわかっているという。  ポートランド美術館は、保存状態が悪いことや、作者が不詳なこと、同美術館が近現代画の展示を中心にしていたことなどから、この絵を展示していなかった。数年前に絵についての講演を開いたところ好評だったことと、「ダ・ヴィンチ・コード」の公開もあって5月18日から9月5日まで展示することにした。  ハスレットさんは「この絵については、あまりに情報が少なく、結局ダビンチが描いたのかどうか、なぞのまま残る可能性が高いのではないか」と話している。(参考=朝日新聞6月19日)

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