環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

2007/12/04(火)09:22

●別府で「第1回アジア・太平洋水サミット」開幕●

環境(172)

 一般のマスコミではほとんど報じられていないが、バリのCOP13と同時進行で3日、アジア・太平洋地域の首脳が集まり、「水の安全保障」をテーマに話し合う「第1回アジア・太平洋水サミット」が大分県別府市で始まっている。 参加は49の国・地域から約300人。キリバスやパラオなど、気候変動による水不足や災害にさらされている南太平洋の島しょ国、同じく地球温暖化に起因する氷河の後退から、氷河湖の決壊などの災害や干ばつが懸念される中央アジアの国々など、現に水を巡る巨大な脅威に直面しているだけに、出席したこれらの国々の代表(大統領や首相本人が演壇に立っている)の訴えは真剣そのものだ。 後退するヒマラヤの氷河の様子を宇宙からとらえた写真を見たことがある。地球温暖化が氷河の溶解を加速し、後退する氷河の舌端におびただしい数の氷河湖が形成されていることが見て取れた。いずれ、これら氷河湖は決壊して恐ろしい土石流を引き起こし、自然のダムの役割を果たしていた氷河が消えた後は、下流域に恒常的で深刻な水不足を招くことになるだろう。 ヒマラヤの氷河を水源とするのは、揚子江、メコン川、ガンジス川・・・ つまり、世界で唯一、米作を中心とする持続可能は農業が営まれている地域であり、であるが故にまた世界最大の人口を抱えてきた地域だ。地球温暖化が、これらの地域に間違いなく引き起こすであろう災厄の規模は、想像を絶するものとなるだろう。IPCC第4次評価報告書は、温暖化の影響についてのシミュレーション分析に基づき、気温上昇の程度ごとに累乗的に増加する水ストレス人口を、億人のオーダーで数え上げている。 別府に集まった参加者の視線は、もちろんバリにも鋭く向けられている。そのバリに問われているのは、億人単位の犠牲を見殺しにしないヒューマニズムだと思う。 ←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を

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