環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

2008/07/02(水)09:03

●原油暴騰・災い転じて福となす智恵を出せ●

環境(172)

 原油価格の高騰はとどまるところを知らず、石油元売り各社の卸売価格値上げを受けて昨日1日、多くのスタンド販売レギュラーガソリン価格は1リットル180円を超えた。同日報道されたIEA(世界エネルギー機関)の報告によれば、途上国の需要増に産油国の増産が追いつかないことから需給の逼迫は今後も継続、中期的に原油価格のさらなる高騰は避けられないという。レギュラーガソリンの店頭価格は年内に、またハイオクガソリンは来月にも1リットル200円の大台を超えると見られている。 このあおりで、交通や消費のスタイルに変化が起き始めている。元々車なしで十分暮らせる東京では自家用車を手放す人が増え、その人たちが続々と新規加入したことで、カーシェアリング(会員制のレンタカー)の会員数が一気に2倍以上に増えた。また、この夏のバカンスは車での遠出が敬遠された反面、JRが人気で東海道新幹線は運転本数を過去最高に増発する勢い、長距離高速バスも絶好調だ。 こうして加速する自家用車離れは、消費行動の変化も招いている。マイカーでの来店を前提に立地した郊外の大型ショッピングセンターや飲食チェーン店で売り上げが激減するのを尻目に、これまで苦戦を強いられてきた都心や住宅地内の小規模店舗や飲食店が、ジリジリと売り上げを回復させている。 地球温暖化を防ぐには、エネルギー多消費型のライフスタイル転換が必要…とはよく言われることだが、個人の努力でできることには限界がある。例えば、路線バスも1日2往復しかないような所に住んで、化石燃料を燃やして二酸化炭素を出す乗り物に依存するなと言われても実行は不可能だ。ライフスタイルの転換は社会と町作りの課題であり個人の心がけの問題ではない。 そうした、ライフスタイルの基盤となる町作りのモデルは「コンパクトシティ」といって、コジローなりにごく簡単なイメージで紹介すれば、歩くかせいぜい自転車でいける範囲で仕事や買い物、趣味、自己実現などの基本的ニーズが完結するヒューマンサイズの町作りが理想。国立環境研究所が温暖化を克服できる日本社会像をまとめた共同研究レポート「日本低炭素社会シナリオ」でも、コンパクトシティの建設はその重要な柱に位置づけられている。 現在の原油価格高騰には、単なる需給の逼迫だけでなく投機資金の流入という要素もあって腹立たしい面はもちろんあるのだが、もしこれがライフスタイルの転換に繋がり、やがてコンパクトシティの建設に向かうとすれば、悪いことばかりでは終わらない。要はこの事態を正面から受け止め、災い転じて福となす、国と地方の両方における主導的な政治の役割が求められているということなのだろう。 ←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る