環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

2008/11/06(木)11:43

●世界が選んだ大統領=オバマは戦争中毒を治療できるか●

政治(100)

 日本時間の今夜7時から米国大統領選挙の投票が始まる。明日中には大勢が判明する見通しだ。下馬評ではバラク・オバマが優勢と伝えられるが選挙は水もの、投票箱が開くまで分からない。ところで、経済誌エコノミストが「世界の大統領選挙人」という面白いサイトを提供しているので、紹介しておこうと思う。ぜひ前記のリンクをクリックして訪ねてみて欲しい。 周知の通り、米国大統領選挙では、州ごとの投票で最も多くの得票(実際には共和党か民主党かの二者択一しか選択肢はないが)した政党が、人口を基本にして各州に配分された大統領選挙人を総取りし、こうして勝った州で獲得した選挙人数の総和で勝敗が決まる。だから前回選挙では、有権者の投票数で上回ったゴアが選挙人数でブッシュに負ける(かなり違反もあったようだが…)という倒錯も起こる。 先に紹介したサイトは、この大統領選挙のシステムを真似て世界各国に人口比例の大統領選挙人を配分、インターネットで投票を呼びかけている。コジローも喜んで投票したことは言うまでもないが、すでに本番よりひと足早く投票は締め切られており、結果はご覧の通り、選挙人の数にして9115人対203人でバラク・オバマの完璧な圧勝だった。 得票をもう少し詳しく見ると、大票田では中国(選挙人1900人)でオバマ支持が83%、インド(同1588人)では同じく87%、さらに本国アメリカ(同432人)でもオバマ支持は81%と圧倒的。ヨーロッパの主要国ではオバマ支持が軒並み90%を越え、184人の選挙人が配分された日本でもオバマ支持が86%に達した。マケインには気の毒だが、ブッシュのアホさ加減にこれ以上つきあいきれないという世界の空気がありありと読める。ジョン・マケインが辛うじて制したのはコンゴとアルジェリア、そしてイラクとキューバだけだ。 半ば戦争状態が継続しているイラクのこの評価をどう見るかは迷うところだが、多くの人たちに意外なのはキューバだろう。キューバに対する国際法違反の頑迷な経済封鎖に固執し、カストロ暗殺すら企図した無法者ブッシュの後継者を支持するとは一体どういう訳だ? 実は、イラクからの早期撤退を掲げるオバマは、あろうことか、返す刀でキューバへの侵攻に言及したことがあるのだ。つまりキューバの人々が消去法でマケインを選ぶには正当な理由がある。 オバマの本心は分からない。しかし米国の指導者になるほどの人物には勇気がなければならず、その勇気を示すのは軍事行動にほかならないというのが、この国のありようなのだ。度し難くも迷惑千万な戦争中毒といわざるを得ないが、イラクからの撤退で「チキン」(弱虫のこと)呼ばわりされ、有権者に見捨てられるのを避けるため、オバマはキューバ侵攻を口にした。オバマは「変革」を掲げるが、その変革には今のところ戦争中毒の治療は含まれていないようだ。 恐らく、オバマはマケインよりははるかにマシだろう。少なくともブッシュほど無惨にひどくはないに違いないし、もしかしたら地球温暖化や世界の平和、そしてグローバリゼーションをめぐる対応で、大化けする可能性もなくはない、…と期待もある一方で、キューバ発言がはしなくも物語るように、アメリカという国に骨がらみにまとわりつく悪弊から一歩も出られない可能性も大きい。 …ともあれ、いまは結果を待とう。 ←ランキングに参加してます、ワンクリックでご協力を

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