000000 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【お気に入りブログ登録】 【ログイン】

環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール


コジネンコ

フリーページ

カレンダー

お気に入りブログ

美ヶ原のスノートレ… kiki2406さん

しょうのページのア… shchan_3さん

ぼたんの花 ぼたんの花さん
福山医療生協九条の会 や~っぴょんさん
ゆうこと5にゃんの… ゆうこ8838さん
2010年12月20日
XML
テーマ:ニュース(74298)
カテゴリ:社会

 昨日19日、反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんの話を聞く機会があった。あの年越し派遣村の村長を務めた人と紹介した方が、当時のテレビニュースをご記憶の向きにはなじみ深いかもしれない。長身痩躯、柔らかな物腰と意志的な表情が印象的な方だ。

CIMG3008.jpg 湯浅誠さん 

 氏を和歌山県かつらぎ町に招いたのは和歌山県高等学校教職員組合の支部組織。教育現場に無用の混乱を招くとして同組合などが反対してきた主任制が強行導入されたことに抵抗して、その主任に任用された教員が主任手当をカンパ、それを資金源に定期開催している「教育文化のつどい」に、今年は湯浅氏の講演を企画したのだった。

 高校生の就職難は超氷河期の厳しさと言われる。ただでさえ就職口が少ない和歌山県、それもさらに紀ノ川中流域の農村部の高校とあればなおさらのことだ。教え子の行く末を案じる教師らの思いが、この講演会を実現させたのだろう。

 東京での年金支給額切り下げに反対する話し合いが長引き(その直後、菅政権は切り下げを強行した)、1時間ほど遅れて会場に到着した湯浅氏だったが、早速壇上に上がるや、用意した資料を基に、淡々と語り始める。演題は「反貧困~全員参加型社会へ」。口調は穏やかで言葉もきわめて平易だが、内容は多岐にわたりしかも深い。考え込まされることや新たな発見が随所にあった。そのすべてを再現することは不可能だが、コジローには以下のようなことが特に印象深かった。

 まず、日本社会がすさまじい勢いで変化しているということ。例えば国民生活の状況を測る物差しとして使われる「標準世帯」は夫33歳、妻29歳、子ども4歳の核家族だが、そうした家族はいま「標準」と言えるほど普通に存在するか。30歳~34歳男性の未婚率は90年国勢調査で32.6%だったものが5年ごとの調査のたび上昇し05年調査では47.7%に達した。今年10年調査の結果が出れば確実に50%を越えるだろう。つまり、31歳男性は結婚していないケースが今はむしろ多数派なのだ。

 さらに31歳で4歳の子どもがいるなら27歳には結婚していなければならないが、25歳~29歳の未婚率は間もなく80%に迫る勢い。要するに、コジローらひと世代前の青年時代の経験や記憶は今はもう完全に化石であって、現代の青年たちが置かれた状況を解釈する道具としては使い物にならない。彼らは私たちとは全く別の世界に生きている。そのことを理解せずに何の解決策も見いだせるはずはないと湯浅氏は静かに語った。

 第二、こうして突然と言っていいほどの速度で別の世界が出現したのはなぜか。湯浅氏の説得力に満ちた話を再現する余裕はないが、ひと言でいうなら日本的福祉のシステムが瓦解したからだ。かつて、というのはつまりコジローらの世代までだが、日本における福祉の提供者はまず企業であり、次いで家族であり、そして最後に国だった。この点が、国が社会保障の主役であるヨーロッパなどの福祉国家との決定的な違いだ。

 ここからはコジローの言葉で書くが、終身雇用、年功序列賃金、労使協調の企業内組合を構成要素とするいわゆる「日本的経営」を行う企業に福祉を委ね、そのぶん国家の責任を出来る限りサボタージュしてきたのが、日本的福祉の姿だった。ところが、バブル崩壊を機に、企業が一斉にこうした出過ぎた役割を投げ出したことで、元々お粗末だった国家福祉の地金が露わになり、加えて小泉竹中流の構造改革がただでさえ貧困だった国家福祉をさらにボロボロに痛めつけて、このような急激な社会変化を作り出したということだ。

 第三、ではどうすれば良いのか。湯浅氏は当たり前のように語られる「働かざる者食うべからず」の論理を斬る。それは、すでに今はない企業福祉の論理としては通じたかもしれないが、いまは「働けば食える」とすらいえない。ワーキングプアは知られる言葉になった。日本では自殺に追い詰められるほどの貧困層だって必死に働いている。働いてすらも食えない。これは倒錯ではないのか。本当は働かなくても、いや働けなくても、生存だけは保証することこそが国の役割ではないのか。そうした意味で、働くことと生きることを分離しなければならないと湯浅氏は言うのだ。

 日本国憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「.国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めている。だがしかし、考えてみれば、この条文は改憲勢力が目のカタキにする9条以上にコケにされてきた気がする。会場を後に帰路を急ぎつつ、そのことを何度も考えさせられた湯浅氏の講演だった。

Z.gif ←ランキングに参加してます。ワンクリックご協力を。







最終更新日  2010年12月20日 23時22分14秒
コメント(2) | コメントを書く

Copyright (c) 1997-2018 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.