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環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

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2010年12月28日
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テーマ:ニュース(99405)
カテゴリ:ジャーナリズム

 年の瀬、わがNPO事務所は昨日で仕事納めだ。いま深夜、外では台風並みの強風が吹きすさび、電線がもがり笛となって悲鳴を上げている。各地で竜巻警報も出ているようだ。さて、先日、韓国の挑発的な軍事演習についての報道をめぐり、NHKの国家主義的偏向を批判したばかりだが、今日、また気になるニュースに接した。

 日本一の米どころ、新潟の大規模農家をモデルに取り上げ、今年の猛暑が米作りに与えた影響をルポしたニュースだ。着眼点は悪くない。これからさらに進む温暖化は食料生産に確実に打撃を与える。今年の猛暑はその前触れともいうべき現象だから、それが与えた影響を丁寧に拾い上げることは、社会への警鐘となるだろう。たしかに報道する価値ある素材だ。だが、今回は勉強不足が玉に瑕だった。

 で、そのニュースだが、まず猛暑が米の収量を減少させた事実を伝える。これが影響の第一で異議なしだ。次いで、米の等級が著しく落ちたと伝える。例年90%を越えていた新潟米の一等米比率がなんと20%台にまで一気に暴落し、これにあわせて米卸業者が農家に支払う代金も下げられた。ニュースは売り上げが1000万円も減った大型農家にマイクを向け、この先どうしたらよいのか…と嘆く映像に添えて、「収穫減と味覚低下のダブルパンチで農家は大変だ」といった趣旨のコメントが流れた。

 このニュースのどこが悪いか。米穀検査での等級落ちを味覚の下落と誤解している点だ。米の等級と味覚は無関係で、一等米が二等三等米より美味いということは全くない。通称米穀検査は農産物検査法に基づき、「農産物の公正かつ円滑な取引とその品質の改善とを助長し、あわせて農家経済の発展と農産物消費の合理化とに寄与することを目的」(第三条)なんてタテマエで実施されている制度だ。この検査を受けなければJAS法が定める米の産地や産年、それにコシヒカリやササニシキといった品種の表示はできない。

 この検査の一環として等級を判定するのだが、一等二等などという等級別の品位の基準は、心白米や腹白米、胴割米、それに着色粒の混入度合いの程度で決められている。つまり評価基準は外観だけだ。味は関係ない。実際の官能検査でも、等級による味覚の差はないことが何度も実証されている。ついでに言うが、この外観の検査は採取サンプルの目視という原始的、といって悪ければ素朴な方法のみ。人間の目で見るだけだからボーダーラインの判定は結構微妙だ。栄養価でも等級による差はないし、玄米段階の着色粒など精米すれば消えてしまう。

 といった次第であるので、等級の表示はもちろんできるのだが表示してもあまり意味がないし、二等米や三等米などと正直に書けば消費者は絶対的に敬遠するに違いないので、店頭に並ぶ米袋に等級の表示は普通していない。つまり、消費者はその袋の中にどんな等級の米が入っているか判らず買っており、実際それで何の不都合もない。ではなぜこんな意味のない検査が続くのか。ハッキリ言わせてもらう、米の流通業者が農家から買う米を値切るのに便利だからだ。

 この際なのでもう一点、この検査が日本の稲作における農薬使用量を増やしていることも指摘しておこう。例えば、先に書いた着色粒は主としてカメムシの食害で発生する。ならば、着色粒による格落ちひいては米の値崩れを防ぐには、殺虫剤をふんだんに使用すれば良いということになるからだ。ゆえにというべきか、農薬を使用しない有機栽培米に一等米はまずない。というより有機農家は馬鹿馬鹿しいので検査自体受けない。政府買い入れ米を除けば米穀検査は任意であり無検査米の流通も自由だ。ただ、自ら栽培しながら、品種も産地も産年も表記できない。と、これまたアホみたいな話なのだ。

 NHKのニュースからちょっと離れて寄り道をしてしまったが、ことほど左様に現行の米穀検査には問題が多い。先に引いた農産物検査法の条文をもじれば「大手米穀流通業者による米の不当かつ日常的な買い叩きを助長し、あわせて農家経済の破綻に寄与すること」甚だしい制度なのであって、ニュースで報じるなら、これが気候変動に起因する農家の窮状をさらに激化させる役割を果たしていることをこそ伝えるべきだと思うのだ。ついでながら、鳴り物入りで稲作対象に導入された戸別所得保障制度も、保障された金額分の値引きを強要されて流通業者に巻き上げられ、貴重な国費を投じながら農家経済改善の役には立っていない。ホント、政治はなんとかせんかいと言いたい。

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最終更新日  2010年12月29日 08時43分31秒
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