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テーマ:山登りは楽しい(12031)
カテゴリ:山
箱館山での雪上訓練、このページは後編です。前編からお読みください。 昼からは、あまり経験したくはありませんが、雪崩に襲われ仲間が埋没したケースを想定しての探索訓練。写真はアバランチビーコンを使って、仲間が埋まった場所を特定しているところ、埋まった仲間がつけていたビーコンが発する電波を、残りのメンバーが受信状態に切り替えたビーコンを頼りに50mレンジから感知し、30mレンジ、10mレンジと順々に的を絞って接近していることを確認、2mレンジが使える地点まで近づいたら(写真の状態)腰を落とし雪面にビーコンを近づけて探索します。 半径2m程度まで的が絞れたら、ビーコンは置いて直ちにゾンデ探索開始。ゾンデとは、写真の受講生が持っている接続式の金属棒でプルーフとも言います。探索メンバーは横に並び、定められたルールで雪にゾンデを突き刺し、遭難者を探します。雪崩れに埋められた場合、15分以内に掘り出せば生還率は90%を超えますが、それ以後の生還率は激減(窒息するケースが激増)、25分で半数が死亡、35分後には75%が死亡するとのことです。とにかく一刻を争って掘り出さねばなりません。 ゾンデで雪ではない感触があったら、感度のあったゾンデをそこに立てたまま、その周囲をスコップで掘ります。 スコップで勢いよく掘り進んで、ゾンデの先端から30センチ(ここにあらかじめマークをつけておきます)が雪から出てきたら、直ちにスコップを捨てて、遭難者を傷つけないよう手で雪をかきだします。何か見えてきましたね。 ついに救出! あ、ビーコンを入れた黄色いザックが遭難者です。「お~い、大丈夫かあ!」「しっかりしろよ!」と大きな激励のかけ声。ん~、なかなか迫真の訓練でした。(^_^)v 今回は、組み合わせを変えて4回、探索訓練を行いましたが、探索チームに見えないように隠して埋めたザックを、いずれも5~7分程度で掘り起こしました。実際の雪崩のデブリはもっと手強いですが、メンバー全員がビーコン、ゾンデ、スコップからなる雪崩対策「三種の神器」を持参しており、十分訓練を積んでいれば、埋設地点の特定自体は数分で可能なのです。くれぐれも備えを十分にして、助けられる命をあたら失うようなことだけはなくしたいものです。 次は、滑落に備えた確保の訓練です。ちょうど良い写真がなかったのですが、雪の中にデッドマンを埋めているところ。さらにスノーバーを埋め込んで、この二つから流動分散でアンカー(セルフビレイ=自己確保)を取りました。(個々の言葉の説明はリンク先参照) 次にピッケルを雪の中に打ち込んで片足でしっかり踏んで立ち、ピッケルの首の部分に繋いだ短めのテープにカラビナをセット。これにメインザイルを通して肩がらみで確保します。これが「スタンディング・アックス・ビレイ」と呼ばれる、雪原での最もオーソドックスな確保スタイルです。(残念ながら写真がない、誰か撮ってないかなあ…) で、確保体制ができたところで、その効果を確かめるため、受講生には確保する人と斜面を落ちる人を交代でやってもらうのです・・が、雪がグザグザで仰向けになろうが前転しようが斜面に飛び込もうが、どうしても落ちていかない。・・・なんてのは織り込み済みなのであって、ここでそりの登場です。そりに滑落者を乗っけて斜面に送り出し、猛スピードが出た当たりでザイルが伸びきって確保者に来る衝撃を体験。ザイルを徐々に絞る操作でこの衝撃が和らぎ、女性の力でも十分止められることを体感で理解してもらいます。
ザイルが張ると、滑落する人はそりから落ちて吹っ飛びますが、皆さん、雪まみれになって落ちてくださいました。こうして、雪に慣れることも訓練の目的のひとつでしたが、それは十分達成されたと思います。 さて、このほか、滑落停止の訓練などをやって15時過ぎに雪上訓練は終了。無事、和歌山に帰り着きました。次は本番ですね。(^_^)v お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年02月05日 22時36分30秒
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