2007/06/22(金)13:16
モノクロ
モノクロの世界で、
彼女は下を向いていた。
「飛び降りようかと思って」
と、無表情でたんたんと言う。
下を見ると、そこはビルの屋上だった。
「え!待って!なんで!なんでそうなるの?」
意外だった。
まさか、そこまで追い詰められているとは、
予想もしてなかった。
「だって、何もかもうまくいかないし、
この先も不安だし、楽しくないから」
そう言われて、私はやっと気がついた。
「ごめんなさい。
ないがしろにしてごめんなさい。
大切にしないでごめんなさい。」
そう言いながら、泣きじゃくりながら、
私は彼女を抱きしめていた。
必死で彼女を引き止めた。
ごめんね…ごめんなさい…
一通り泣いて、気がつくと、
私のほうが抱きしめられていた。
「大丈夫。あなたならできるよ。」
彼女は、キラキラした笑顔で
私にそう言った。
とたんに世界は色つきになり、
彼女は小さな妖精の姿になって、
空の彼方へ、飛んでいった。