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カテゴリ:新作
モノクロの世界で、
彼女は下を向いていた。 「飛び降りようかと思って」 と、無表情でたんたんと言う。 下を見ると、そこはビルの屋上だった。 「え!待って!なんで!なんでそうなるの?」 意外だった。 まさか、そこまで追い詰められているとは、 予想もしてなかった。 「だって、何もかもうまくいかないし、 この先も不安だし、楽しくないから」 そう言われて、私はやっと気がついた。 「ごめんなさい。 ないがしろにしてごめんなさい。 大切にしないでごめんなさい。」 そう言いながら、泣きじゃくりながら、 私は彼女を抱きしめていた。 必死で彼女を引き止めた。 ごめんね…ごめんなさい… 一通り泣いて、気がつくと、 私のほうが抱きしめられていた。 「大丈夫。あなたならできるよ。」 彼女は、キラキラした笑顔で 私にそう言った。 とたんに世界は色つきになり、 彼女は小さな妖精の姿になって、 空の彼方へ、飛んでいった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.06.22 13:16:27
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