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カテゴリ:お勧めBOOK
蝿の王1978年01月/文庫343p
◇内容◇ 南太平洋の孤島に、飛行機で不時着した少年たち。だが、その島で野性にめざめた彼らは殺りくをくり返す…。極限状況の中の新しい秩序とその崩壊を通して、人間と社会のあり方を風刺する恐怖の寓話。 ***************************** 十五少年漂流記のような勇気と友情冒険物ではございません(*_*;) 一体何人が漂流したのか、結局わからなかったのですが25名くらいかな。 少年たちは"善で理性あるリーダー"ラーフと"凶暴性の強いリーダー"ジャックと2派に分かれます。 最初、皆で選挙ごっこでリーダーに決めたのは、もちろんラーフ。 彼はまず第一に、この島で守っていくべき決まりを作ります。 汲んだ水の置き場所、小屋を建てること、それから・・・山の上で24時間ノロシを焚くこと。 沖を通る船が、ノロシをみて救助にきてくれるように。 しかし、守っていたのも数日で、小さな子供はで海で泳いだり果物を食べたり。 最初こそは、ほほえましい光景なのですが、何もしないで遊んでいる彼らが煩わしく感じてきます。 狩猟隊長をしていたジャックが、豚をしとめ権力を徐々に表していきます。 ある日、ノロシの当番の子が豚に気をとられ、火を消した間に船が通り過ぎました。 「救助を待ち、助かりたければノロシをあげ続けろ!」というラーフ。 「この島で生きて豚肉を食べたいなら俺につけ!」とジャック。 もはや理性はラーフ数名しか存在せず、 ジャックのグループは顔に色をつけ理性を閉じ込め豚ヲ殺セ、喉ヲキレ、血ヲ絞レ と歌いダンスをし続ける。 そのうち、島内に"獣がいる、蛇が居る、寝ている間に物音がした、海からあがってくる・・・"と 見えない闇の恐怖がやってきます。彼らは、豚の頭を"闇の獣”に生贄だと祭り上げます。 その豚の頭は、闇の支配者であり、悪の象徴でもあるのです。。 仲間を殺され一人となったラーフは、最後まで理性を保ち、でもジャックたちの仲間に 笑って入れてもらえたらどんなに楽だろうと思い、物語は最後を迎えていくのです。。。 ***************************** <総評>人間性の奥に潜む“善と悪”に深く切り込んだ作品に88点 "正義は最後には勝つ"なんて誰がいいだしたのか。。そう思わなければ救われないからなのか。 ノロシをあげ続ける→発見される→皆で無人島を脱出 こういう、単純なことさえも閉鎖された環境では、通用しないのか。 理性と秩序、誇りと正義を貫くラーフは、結局一人になる。みんなジャックの凶暴性を恐れ、 権力に屈するのだ。これを読んで私の中で思った台詞が「弱肉強食」だ。 何が正義で何が悪なのか、理性をすて蛮人と化して生きるのか!? それでは人間ではなくなる。はやり、強い者が勝つのか!? それこそ舞台は無人島だが、内容はとても現実的な物語だ。 ラーフは「大人ならどうするだろうか」と常に考えていた。 そんな風に考えてくれてるなんて、事件が耐えない現実の大人として少し恥ずかしく思う。 そして、フィクションなのだが、この中に少女がいなくて本当良かった。 いたら、もっとおぞましい展開が待ち受けているだろうから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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