2007/10/16(火)22:07
【国民年金保険料の着服】公務員には不逮捕特権が付くのか?
昨11日の毎日新聞は、「国民年金保険料28万円余を着服した旧田尻町の元職員を刑事告発しない方針を決めた大崎市の伊藤康志市長は10日の定例会見で、同町が告発しないと決めた2001年当時、「社会保険庁側と充分に協議、相談した。同庁は当時の資料を掌握しているはずだ」と述べました。その上で、自治体に代わり告発の準備をしている社保庁から当時の資料提供などの具体的な協力・相談があれば、その時点で対応したいと述べた。」と報じています。
ちょっと待って頂きたい。『業務上横領』は、刑法第253条で、業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する、とあります。
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◆告訴:刑事訴訟法第230条
犯罪の直接被害者は、犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求めることができる。
◆告発:刑事訴訟法第239条
1.犯罪があると思うときは、被害者でなくてもだれでも犯罪事実を申告して犯人の処罰を
求めることができる。
2.国家公務員または、地方公務員は、その職務を行う上で犯罪があると思ったときは、
その事実を申告しなければならない。
◆手続:刑事訴訟法第241条
1.告訴または告発をするには原則として検察官または司法警察員に、書面または口頭により、
特定の犯罪事実について犯人の処罰を求める意思と告訴人または告発人が、誰であるかを
明らかにしてこれを行う。
2.告訴または告発が口頭でなされたときには、それを受けた検察官、または司法警察員は、
告訴または告発を調書に作らなければならない。
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上述の通り、『業務上横領』の罪は、横領金を返還すれば許されることにはなっておらず、また、その職を退いたからと言って、訴追をまぐがれるものではないことは明らかです。いつから公務員には不逮捕特権が付くようになったのでしょう。また、何故、国民に対して充分納得できる説明がなされないのでしょう。そのことが起きたこと自体、謝罪と説明責任が果たされる必要がありますが、大崎市の伊藤市長は、自治権がどうのこうのと述べているだけです。刑法はいつから市長が判断するようになったのでしょうか。我々国民には全く理解できません。
市長は自治体の長でありながら刑事訴訟法第239条2項を知らなかったですまそうというのでしょうか。国民年金は、国の制度であり、自治体は収納窓口でしかありません。そこの職員が横領しているのに、報道においての表現は、何故、「着服」なのでしょうか。これは公務員によるりっぱな【業務上の横領行為】そのものです。何故、見過ごすようなことが許されるのか、全く理解できません。
私達国民からすれば極めておかしな行為であるにも関わらず、立ち消えになって行くのを、ただ、だまって眺めているしかなのでしょうか? いったいこの国の公(おおやけ)の汚れ方はなんなんでしょう。これで教育がどうの、道徳がどうのと語る資格があるのでしょうか。結局、自民党政治があまりに長きに亘って行われた結果、いまや、公的職務(警察も含め)にある人達の腐敗は極みに達してしまい、回復不可能な状況に到ったことを物語る証左と考えます。皆さんは、どう考えますか?