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EiliPrivate~思索の森…奇蹟を求めて~

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2005年12月28日
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カテゴリ:現世
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 僕たちの綾浪レイ

 あそこを出てから1年後くらい経ったころだろうか…僕は、あそこの<同窓生>に誘われて、ある会合に出席していた。会合といっても、何か仰々しいものではなく、ただ秘かにアンダーグランドに、あそこのことを話し合える場の共有を示しているにすぎなかった。。。僕らにしか解らない世界を、僕らは集団で<ひきこもり>集会を開いていたのである。。。(あの頃の彼らとさえも、もう7~8年会っていないが…)当時のそれぞれの視点から見た、教祖・麻原についてのエピソードから、事件寸前のある種の末期的な匂いをどう嗅ぎ分けていたのかを…それぞれに話し合うのだ。

 ただ、僕はその時、一瞬警戒した。。。そこには、普段会うことはない人物が一人座っていたからである。
 「この方は…?」僕がそうつぶやくと、新しい脱会信者のことかという想像を打ち砕き、一般の方であるという…

 (おいおい、こんなところに連れてきちゃっていいのかよ・・・)
 僕の心配をよそに、その少女は、僕に向かって挨拶した。。。
 「いつも、TVで拝見してます…○○さん。」(※僕に関するどんな報道なのだ…と気にかかったのは言うまでもない。)

 僕の知らない人が僕のことを知っている…この経験のない違和感を僕は味わっていた。
 「はあ…」

 彼女はいわゆる「敵対勢力」ではないよ…と友人にたしなめられ、僕は彼女の目の前に座ることになる。

 不思議な少女だった。年は20歳になったばかりだそうだが、どこをどう見ても高校生くらいにしか見えない。
 それでいて、その風貌には、かなり僕らには見慣れた一種の「陰り」ににた枯葉の匂いを漂わせていた。
 あの時流行っていた「エヴァンゲリオン」の~綾浪レイ~にそっくりな子だった。。。

 深く知り合うこともなく、その日は別れた。
 しかし、その後1年近くに渡って、毎月1度は開かれる会合に、彼女は常に現れていた。。。

 「あ、オウマーの方ね…」という僕の反応は、失礼なものだった。

 TVで教団批判を繰り広げていた僕に向かって、信者でもなんでもない彼女は、このように反論していた。
 「…でも、村井さんは、そういう人ではなかった…私には解るの。ああいう瞳をした人が、どんなものを見つめていたのかを…だから、○○さんも、教団に対しては、いろいろあるけれど、直接の上司だった村井さんのことは、そう感じていないでしょ?本当は。」
 「あなたが、ニュースステーションに出てた時に、ちょうど私は見ていた。。。その番組を。それで村井さんは、刺された。その時の彼の、何が起こったのかを気に止めない様子に、胸を痛めてしまった。。。本当に遠くのものを見ていた人。あの人は…それをあなたもお感じになっていたのでしょう…。」

 「本当はどんな方だったのかを教えてくださる…?」

 僕は面食らった…報道機関にも鬼のように質問を受けていたぼくだけえども、この唯一気さくに話し合えるはずの「隠れ家」においても僕には、尋問のようなものが続いた。。。

 「まあ、話せないことないけど…寸前まで僕は彼の事を見ていたし。。。それにあの(刺殺された)日だって、僕は、本当は…(駆け寄っていきたっかたよ!)」と口をつぐんでしまった。

 これが、僕の社会との接点における、もうひとつの洗礼でもあった。。。


 本当に、真相を紐解かなければならない…それは単に刑事事件としてでなく、精神性として。

 しばらく彼女とは、いろいろなところでばったりと会い、交流を続けていたが、ある日、彼女がリストカットをして現れてから数日後、彼女は失踪してしまった。本当にその後もう、10年近くになるが、生きているのか死んでいるのかさえも…解らない。

 彼女の境遇に何があったのかは、詳しくは知らない。しかし、これに関しては僕の友人が実は秘かに彼女のことを想い続けており、その彼女の生い立ちに問題があったことを知らせてくれている。。。

 驚いたことに、その当時会合に集まっていた男性の9割近くが、彼女ただ一人に対して、恋をしていたのである。
 そういう感じは…なんとなく僕も気付いていた。
 彼女と別れたあと、僕ら男連中は、更に会合を開き、僕らのアイドルと化していた「綾浪レイ」の変化身について、思いのたけを口にせずにはおれなかったのだから、始末に終えない。。。

 今となっては、淡い思い出だな…これも

 ところで当時の彼女は、幾分まんざらではない気をおこしながらも、戸惑っていた。そして精一杯その周囲から示される愛情に気付かぬ振りをした。それは、彼女の目の前のしぐさや、声の調子によってその心の揺れ動きが、包み隠さぜに現れていた。この彼女の挙動も実際に目の前にすると、実に可愛らしく、僕らのフェチシズムを刺激せずにはおれなかった。

 しかし、ある日を境に、耐えられなくなったのだろう…僕らの前から、忽然と姿を消した。
 彼女を一番気にかけていた、僕の友人は、当然だろうが、ショックで、完全な鬱に陥ってしまった。2年くらいは抜け出せずにいただろう。。。

Eili ...

kareha2





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最終更新日  2005年12月28日 15時52分09秒
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