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テーマ:愛しき人へ(903)
カテゴリ:旅行
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母の少女時代の面影 母の生まれた場所は、房総半島南端、白浜の野島崎灯台のすぐ近くであったという。 その海岸は、白浜と名がついているにも関わらず、砂浜ではなく、むしろ岩場。磯の海岸だった。 海岸沿いに芝生が生えており、その奥に松林が生い茂るという、海岸としてはちょっと珍しい風景だったようだ。 そのことは、観光センターの人に聞いて、確認が取れたが、現在は…松林は跡形も無かった… ちょっと残念そうに、母は歩いていたが、徐々に思い出してきたようだ。。。 灯台前の険しい岩場を目にして…その岩の形は覚えている…と。 しかし、その岩場では実際には遊んでいない…もっと別の形の岩場だったというのだ。。。 親父と僕は、母の言葉「ここではない…」ということを受けて急遽、車を走らせ、海岸線を嘗め回した。。。 親父:「どうだろう・・・ここは?」 何箇所か、車を走らせては止まり、当時の彼女が遊んだといわれる海岸を目指した。。。 母:「あの頃は、私は2~3歳の幼児だったのよ…こんな険しいところに来れる訳は無くて…もう少し緩やかな芝生の斜面のある岩場だったのよ…わかるかしら?ここにも来てたかもしれないけれど…」と歯切れが悪い。 ここも違うようだ…、また車を走らせる。。。 何度も見ていると、どこも同じような複雑な形をした磯なので、正直特定するのは難しいのでは…と思っていた。 数時間たっただろうか…なかなか特定できなかったので、僕らは今度は生まれた病院を探すことにした。 しかし病院名など覚えていないという…ああ、ばあちゃんでも連れてこればよかった… でも目印は覚えていると。「岩見館」というらしい。。。その旅館の裏手にある病院で生まれたのだ。 充分な情報ではないか…早速、観光センターへ。 しかし、そこは年数が経ったためか、廃業になっていた。今は取り壊され、そこにはスーパーが代わりに立てられたと。 残念である… せめて、当時の面影の建物だけでもあればよかったのだが… 僕らはしかたなくその跡地に向かった。。。 そこへ行けば母も何か思い出してくれるだろう… 向かった先には、東京では耳慣れぬスーパーの名前が掲げられてあり、当時の風情は木っ端微塵に崩れ去っていた。 ただ・・・そこは、僕が先日クリスマスの日にこの地域に来たときに、なんかおにぎりでも…と立ち寄ったスーパーだった。 (うぐ、なんだここだったのか…ちょっと幻滅、でもちょっと偶然かな) しばらく呆然と3人で眺め、諦めて振り返った時、そこには、緩やかな斜面のある芝生にこじんまりとした磯の海が開けていた。 おや・・・ここなのでは? しばらく彼女を一人で歩かせていると… 母:「そう…こんな感じだった。。。こんな感じで、ここだけには砂があった・・・」 母:「私は小さい頃に、岩場だらけでごつごつして嫌だと言うと、父(祖父)が砂をわざわざ取ってきてくれたのよ…」 それが、ここだったのではないかと… 母:「岩場のくぼみにはまってしまって出られなくなって、満潮になってしまい…死ぬかと思ったのは…こんな感じかしら…」と 母の少女時代が蘇ってきた… そしてまた、この前の「波打ち際の少女」の詩で書いた少女とは、彼女の事だったのではないかと…感じてならなくなった。 Eili ... ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月03日 16時13分07秒
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