|
テーマ:愛しき人へ(908)
カテゴリ:詩
. ~亨君と秋の姫さんへ捧げます~ . . 亨君は、獄中で どのように過ごしていたのだろうか… . 彼の心の中に何が去来し その心臓にどように時間が流れたのだろうか… 彼の頭に鳴り響く音階は 果てしなく陰鬱な短調の旋律だったのだろうか . 僕は今日少しだけ 知られざる彼の姿を知る 手がかりを得ることができた . 彼に届いていた奇跡的な手紙のお相手の <生の文字>を目にすることができたのだ… . 亨君が目に留めた文字だ! . 亨君にとって世間の人は触れえぬもの 己から会いたいとは言えぬほどの層の隔たり . 未知の世界ともいえるほどの人から 手紙が届くのだ… 会ったこともない、会えるはずもない人から その驚きは、隠せなかっただろう… . . . ああでも、この手紙は実に7年後に彼のもとに届くのだ… . 彼に手紙を出した女性は、返信の来なかった年月に 失意も感じた事だろう… 理由は一切知らされることがないわけだから… . 返事を書かなかったのではない… 7年もの間、囚人に届けられることさえなかったのだ . この制度が実に残酷だ… 罪を犯した人間には、自分に届く手紙を受け取る権利さえもない というのだろうか… . 手紙は読ませてもらえない代わりに 誰から来たかだけは知らされるそうだ… 彼の頭に、彼女の名前が錨を降ろす . 二審が確定すると、逆説的に、彼に自由が与えられた 彼はだいぶ前に出された手紙を ようやくにして手渡され 開封し読むことができたのだ… . . そして彼は7年ぶりにこの化石を紐解き 手紙の主に返信することから 交流が始まる… . . . この時、彼の心の中の音階は変調したのだと思う . 彼女は、突然にして仕舞いこんでいた 過去からの手紙の返信を 受け取る… . まるで、前世の手紙が今届くほどの衝撃を受けただろう… 届いていたのかもわからない 読んでくれていたのかさえ分からない 渡されることさえなかった事実をこの時知るのだ . そして、この7年を振り返り 戸惑いと畏れも幾ばくか感じながら 封を開ける . . . そこには大きく整った文字があった 彼の人柄を表す形だった . そして、彼にとっても 彼女の小さな文字は、独特で 吸い込まれていったに違いない . . . 同じ時代に居ながらにして 遠く離れた惑星間で通信しているかのような 二人のやり取りは . 僕らの普段している交流の 何十倍もの濃度が込められる… . 死刑囚…いつ刑が執行されるかわからぬ あやふやな生を . 仮初の姿としてとどめながら 僕達の心には大きな存在として刻印される . 彼らの交流は 深く 碧く 奇跡的にも 微笑ましい… . 亨君の体に鳴り響く音階は この瞬間にだけ軽やかで優しいものに なっていた事だろう . . . Eili ...
. . . お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[詩] カテゴリの最新記事
手紙無事に届いたようで安心致しました。そして、このように書いていただき恐縮です。
ただ少し事実と異なる点がありますので訂正させていただきますと、 死刑確定してから届いたのではなく、二審が終結してからです。 つまり豊田さんの場合2004年8月ですが。逆に、確定死刑囚になってしまったら、決まった人しか交流できないのですよ。 接見禁止時に、私の名前だけは知らされたと思いますが、その時はスルーだったと思いますよ^^; 教団関係者と思われて 差し入れも拒否されていたので。 手紙を読まれる前までは信頼されてませんでしたから(^_^;) 私と文通してるときも、教団関係者から差し入れがあり毎回拒否してると書いてありましたし。 あと、豊田さんの文字が大きすぎるので 私の文字は普通だけど小さく見えるだけかと 笑 (2019年03月08日 10時13分58秒)
にしても、読まれていない可能性が高いと思っていたので、本当に驚きましたね、、
優しい音階になられていたのなら嬉しいです (2019年03月08日 10時26分07秒)
秋の姫さんへ
そうでしたか、二審確定後ですね、後で修正します。年数は7年でなく、8年でしたっけ… (2019年03月08日 11時45分17秒)
Eili...(v2019)さんへ
ありがとうございます。私も当時は大変驚きました。 空白が長かったので、「今では関心のあり方も違うかもしれませんが」と書いてきてくれていました。 もし引越しとかしていたら、豊田さんからのお手紙は届かなかったと思いますので、良かったです、、。 おそらく、そのタイミング(二審終了)で、私以外の方、教団の方とかからの手紙も入ったかもしれませんね。 (2019年03月08日 12時45分07秒) |
|