― 碧 虚 堂 ―

2008/06/13(金)11:01

改めて小話 2

小説類(36)

※ワンピ50巻未読な方には訳分かりません。 ご注意下さ~い。 と、とても身勝手な妄想の続き書き直しです。 2 サンジの声をウソップがいち早く聞きつけ、ゾロは『被害者の会』メンバーに担がれてチョッパーの元へと運ばれた。 「いつの間に…こんな酷い怪我…!」 異様とも言えるゾロの状態に船医のチョッパーも言葉を無くす。ゾロが優先で怪我の手当てが始まった。 「オイオイ!何があったんだよ!?ゾロ、あんなになっちまって―――」 事態が飲み込めないウソップが問い掛けるが、サンジは黙ったままで運ばれて行ったゾロの方を見ていた。 「サンジ!お前、知ってんだろ?真っ先にゾロ探しに行ったって事は…」 「知るかよ」 問い掛けの途中、吐き捨てるような口振りでサンジが答えた。 「俺は何も知らねェ。あの野郎があんな事になった理由なんざ、これっぽっちも…!!」 何も知らない。 その悔しさと怒りとがない交ぜの不快な感情は、行き場の無いまま言葉になって堰を切る。 「………」 普段の二人がケンカした時とは違う、サンジが本気でゾロに怒っていると分かって、ウソップは口を噤んだ。 「―――おめェの怪我はどうだ?」 ウソップと同じくサンジの只ならぬ様子に気がついていたフランキーが、ゾロの話を避けて尋ねる。ポタポタと水のようにサンジの服から滴り落ちてくる血に、サンジも同様の大怪我を負っているのではと懸念しているようだ。 自分も随分と怪我を負ったが、ゾロのものに比べればまだ重症と言えない。 「…この血は俺んじゃねェ。アイツのだ」 腕組みして自分を見下ろすフランキーの視線で、サンジは言わんとしている事を察した。さっきとはうって違って、落ち着いた喋り方へと戻る。 つい頭に血が昇った為に、ウソップに噛み付くような言葉で返した事を反省した。 「悪ィ、ウソップ」 一言だけ謝って踵を返す。 目的も無くフラフラと歩いていたら、先程までゾロが立っていた場所まで戻ってしまった。 「………………」 おびただしい赤が地面に広がっていた。時間が経って鮮やかな色も黒く変色し始めている。 よくもまぁ、これだけの血を流しておいて生きていたものだと妙に冷めた頭が思った。 (生きて…んだよな) 俯いて、自分の手を見つめた。微かに震える掌に力を込める。 そのままそこに座り込んで小一時間経った頃、 「サンジ君」 不意に背後から声を掛けられた。 「ナミさん―――」 走ってきたのか、ナミは息を切らしていた。ナミもサンジ達と同様に怪我だらけなのに、サンジを探しに来た様だった。少し考えるような素振りを見せてから、 「まだチョッパーの手が空かないんだケド……被害者の会に医者が居たから。サンジ君も早く診てもらって」 そう言うと、チラリとナミの視線がサンジの背後に移る。血の跡が残るこの場所でゾロを見つけたことを察したのだろう。 不意にナミが眉を顰めたのを見て、サンジはそれから逸らすように手を振って話し出す。 「いや、俺よりナミさんとロビンちゃんが先に」 「ロビンはもう診てもらってるし、私は軽い方だから」 「ケド…」 引き下がらないサンジに、ナミは「いいから」と念を押す。 「分かった。ありがとう、ナミさん。それとゴメ―――」 「謝らないで」 言葉の途中でピシャリとナミがサンジの謝罪の言葉を制止した。サンジを見つめるナミの眼差しは強い。 「ゾロに何があったのか私は知らないけれど、サンジ君に何の非も無いことくらい分かってるつもり。だから謝ったりしないで」 「………」 「見つけてきてくれてありがとうね」 サンジの言動をナミはちゃんと見ていたようだ。ゾロがやった「何か」に、サンジが怒っていた所も。 未だゾロの行動には納得がいかないものの、ナミにそう言われてサンジは肩の力が僅かに抜けた気がした。 「ああ」 「じゃあ、早く行って」 柔らかく笑ってナミはサンジを医者の元へと促す。 サンジはもう一度、ナミに「ありがとう」と告げた。 続く ●ウチのサンジは怒りっぽい。 ごめんなさい。私みたいだ。 二人の世話やくお姐さんぽいナミが書きたくて追加。 まだ続きます。

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