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2009年08月29日
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カテゴリ:漢詩 日記

                       ごくちゅう    さく  はしもとさない
            獄中の作 橋本佐内

     にじゅうろくねん ゆめ  ごと  す       かえり   へいせき  おも    かん ますます おお
   二十六年 夢の如く過ぐ。  顧 みて平昔  を思えば感  滋   多し。

       てんしょう   たいせつ かつ  しんせつ         どしつ なお  ぎん   せいき  うた
     天祥 の大節  嘗て心折 す。    土室 猶 吟ず正気の歌。

詩文説明
二十六年の生涯はまるで夢のように過ぎてしまった。過ぎ去った日々を振り返れば、感慨はいよいよ多い。かの文天祥の守り抜いた節義には常々感服していたが、いまこうして文天祥と同じように土室の中に囚われていると、土牢の中で悠然と正気の歌を吟じていた人となりが、ますます慕わしく思えるのである。
   獄中作 橋本左内
左絵は詩文に沿って入牢中の橋本左内の絵を作ったものです。

作者略伝 
橋本佐内(1834~1859)洋学者。名は綱紀。通称左内、南宋の岳飛(武将)を慕い景岳と号した。越前国福井城下の常磐町に藩の外科医を営む橋本彦也長綱の長男として生まれた。7歳で漢籍、詩文を学び、10歳にはすでに「三国志」に通じた。12歳の時、済世館にて漢法医を学び、翌年には父の診察・手術の補佐をした。15歳で不朽の名文と云われる「啓発禄」を書いた。大阪緒方洪庵に蘭学・西洋医学を学ぶ。父の死後、家督を相続。藩主の許可を得て江戸に遊学。蘭学・漢学を学ぶ。藩邸に入ることにより藤田東湖・西郷隆盛らと接した。

化学・兵学・英語・ドイツ語の文献にも目を通し,藩校運営において町人にも門徒を開き洋書習学所を開く。藩主春嶽の侍読兼御用掛となり、春嶽の手足・頭脳となって動き国事に携わる様になった。春額は幕閣体制改造論を唱導、水戸の徳川斉昭・薩摩の島津斉彬らが賛同した。これらの諸公は一橋派と呼ばれる。左内は一橋派の開国論と一橋慶喜擁立運動に全力を傾け、攘夷論を唱える梅田雲浜・頼鴨(がい) らの説得に回ったが、井伊大老の登場で一橋派の政策は挫折、安政5年、藩主春嶽は失脚、左内は捕われ幽囚の身となり翌年伝馬町の獄に投ぜられ10月7日斬首の刑となった。

南千住小塚原回向院に埋蔵された。回向院に墓石建立され、明治22年靖国神社に合祀され、昭和7年足羽山公園に銅像建立,これは第二次大戦中回収されたが昭和38年再び公園内に建てられた。
          獄中作
           
回向院橋本左内廟地図と墓(荒川区南千銃-33)
回向院住職は行路病死者や刑死者の供養の為に建てたが文政5年相馬大作事件の首謀者相馬大作と関良助が斬首・獄門されてからは国事犯を埋蔵する事になった。安政の大獄で処刑された吉田松陰・頼三樹三郎・橋本左内ら8名・桜田門外で暗殺した18名の志士・老中安藤信正を襲って負傷させた7名の志士らの供養塔がある。近代的な建物で門の右手に橋本左内の墓が小堂宇の中に安置されているが墓碑銘は風化が激しく文字は読めない。
獄中作 橋本左内
 
                 橋本左内寓居跡と碑
文天祥(南宋の忠臣)1236~1282.
裕福な家庭に育ち苦労知らずに育ち21歳で進士主席となる。国が元の大軍に攻められ、滅亡へと向かう宋の臣下として各地でゲリラ活動を起し奮戦したがついに元に捕えられた。フビライより才能を惜しまれ、何度も元に仕えるようにと勧誘されたが、獄中「過零丁洋」「正気の歌」の詩を残し、忠節を守り降服を辱とし断って刑死した。文天祥が捕らえられている間に首都臨安(杭州)が陥落した。
※天祥の大節=橋本左内は、文天祥の国への節を貫いた心に感服。

岳飛(1103~1141)
南宋の将軍であった。金と戦い連戦連勝の武人ぶりであったが、金と繋がりがあり講和を結びたいと思う宰相秦檜によって毒殺される。死後人々が彼を敬愛したため、南宋の朝廷が死んで63年後王号を追贈された。
左内・岳飛・直弼・文天祥4人_パノラマ 3.jpg
   橋本左内像    井伊直弼画像     左内が感服した文天祥画像 
      右端、岳飛像(橋本左内が慕い、岳の字を使って、号を景岳とした)

 






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最終更新日  2009年08月30日 06時12分17秒
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