総合型地域スポーツクラブを考える
2000年9月に文科省がスポーツ振興基本計画を策定し、その具体的施策として総合型地域スポーツクラブの設立・育成を進めている。全国的には、すでに2,000をも超えるクラブが設立されているんだけど、ここ沖縄ではまだ馴染みのあるものではない。みなさんも総合型SCって何?と思うかもしれない。それはしょうがないことだと思う。なぜなら、行政の動きが遅いからである。総合型SCは2010年までに各市町村に少なくても1つは作らないといけないといけない。だけど、2005年現在、沖縄では2クラブしか設立されておらず、来年の設立に向けて助成を受けることが決まっているクラブは4つである。総合型SCは、住民主導型のクラブで受益者負担が基本である。これまで、自分達で草野球やママさんバレーをしている人たちにとっては、会費を払ってスポーツをすることには慣れているかもしれない。しかし、行政が行っている健康教室などでは無料なのが基本であり、それに慣れている人にとっては、受益者負担の感覚は乏しい。つまりは、お金を払ってまで運動したくないということだ。以前、スポーツ人類学で著名な稲垣先生が研究室を訪れたあの言葉を思い出す。「舞踊や空手などを習う時はお金を出す感覚があるのだけど、スポーツを習うことにはお金を出す感覚がほとんど無い。だって、スポーツは気軽にできて、一緒にやりながら教えてもらうことが子どもの頃から当たり前だから。」確かにそうだと思う。バスケが上手になりたかったらバスケしている友達に習えばいいし、他のスポーツでもそうだと思う。少し上手い人に教えてもらえばいいのである。それに、スポーツを教える塾や習い事はほとんどない。水泳や体操教室くらいではないか。サッカーにはクラブの感覚があるけど、バスケの習いごととかは聞いたことが無い・・・。少し極端な話になったかもしれないけど、普段あまり運動やスポーツをしていない人にとって、スポーツするのにお金を出すことには抵抗があるのかもしれない。俺だって少し抵抗がある。俺にもどこか運動やスポーツはどこでもできる感覚があるから・・・。でも、地域の人たちで集まってスポーツをする。こういったことは今ではほとんど見られない。町内会でも、人を集めることが大変だと思う。地域の連帯感はほとんど無いに等しくなっている地域が増えているのは事実だね。そういった地域では、間違いなく教育力は低下している。近所の人にもあいさつしない人が増えているし。こういった現状を打破するためには、地域の人たちが自分の力でスポーツを行う場所を作る。そして、お年寄りこどもまでいろんな人たちが集まって運動する。そうすることで、自然と会話が生まれ、地域の連帯感は深まっていくのである。そして、こういった場を作っていくのが総合型SCなのである。確かに、これは理想像なのかもしれない。実際にここまでできた地域はあるのか、身近に感じてみないと分からないことである。だから行政の人たちも動こうとしない。仕事も増やしたくないし、面倒なことはしない。行政肌だと非常に感じる。でも、住民に理解してもらうにはかなりの時間が必要なのは明白である。だからこそ、行政が率先して設立に向けて動いて欲しい。それも、行政に課せられた責務である。2010年まであと5年を切っているが、沖縄ではどれほどの地域に総合型SCができるだろうか?各市町村に1つは難しいと今は思う。でも、もしこの総合型SCが成功すれば、将来の日本がより良くなるかもしれないと思う。単純かもしれないけど、総合型SCを考えながら、その効果に期待したいと思う。