『梁塵秘抄』 または ”わしふぃーるど”

━畑中純「まんだら屋の良太」

 

■聖ならぬ、精なる性!畑中純の世界、不滅の金字塔「まんだら屋の良太」■
セックスレスの日本は好か~~~ん!
 


「まんだら屋の良太」月子と良太



「セックスレスの日本は好か~~~ん!」
性を無視して生は語れないんでないかい?



 九州九鬼谷温泉の旅館“まんだら屋"を舞台に、そこの一人息子と彼の仲間たちの青春を描く名作「まんだら屋の良太」。『漫画サンデー』に1979年より十年間にわたって連載され、1981年、第10回漫画家協会賞を受賞した。全53巻にわたる大作であり、アシスタントを使わずの驚異の連載は300回を悠々と越えた。
 主人公、良太は高校三年生。九州・九鬼谷温泉の旅館“まんだら屋"の一人息子。彼は性に対する興味は人一倍で、思春期真っ盛り。自慰行為とのぞきにあけくれる毎日。義理人情に厚く、涙もろい良太が温泉街という小さな世界で行き交う人の並みの中で成長していく物語。
 九鬼谷温泉という温泉街を去来するわけありの人々を活写して人生を覗き見る畑中純の手腕は、文学性の強いストーリー漫画の王道を往くもの!連載300回にわたって膨大なキャラクターを描きわけ、傷つき哀しみを背負った人間曼荼羅模様の面白さは他に類を見ない。しっかりした人物設定があってこそ、スラプスティックでナンセンスな、エロい人情噺的騒動は生き生きと可笑しみを増し、心から泣き笑いするうちに、彼らの哀しみに共感しうるのです。 私は、いわゆる青年(成年)コミックをほとんど読んだことがありませんでした。しかし、ここ10日ばかしで名作とされる「まんだら屋の良太」を入手し、寝しなにその量と質に圧倒されながらも感嘆しつつ読み耽るという幸福を存分に味わいました!「まんだら屋の良太」は性をテーマにしたものでありながら、さながら大人のファンタジーとも言える性と生が共存する(当たり前だが。)懐かしき異郷物語です。
「まんだら屋の良太」自選傑作集が全10巻(前期・後期各5巻)で発売されているが、前期は入手困難。




 上記がマンガ、下が版画。ほとんど手書きで書かれた作風は、一見汚く見えるが、土着的で開放的な描線であり、性を大らかに描く野太さがあり、人間をまるごと描くことにつながっている。大人のメルヘンともいうべき畑中漫画の魅力を十二分に発揮した名作。




「『まんだら屋の良太』の主人公である良太の、吹き出しの中のセリフを読んでいると、畑中さんが並の文学好きでないことが分かります。というより、畑中さん自身が文学者であることが分かるといった方が当たっているだろうな。いま、こういう味わいの文学はすっかり影をひそめてますから、すべて愛読しています。
 良太と月子の関係は、スケベを突き抜けた抽象的な男と女のロマンみたいで、本当に不思議な世界だと思ってます。これをどう結着させるつもりなのか...たぶん、ジーンときたあとパッとすかされるんじゃないかと思いますけど。九鬼谷温泉世界は、すさまじい文学空間といったイメージ。どうしてこんなに多彩な人物を登場させることができるのか...やっぱり畑中さんがすばらしい文学者という証拠でしょう。元文芸編集者の尾てい骨で言えば、畑中純さんの書く小説は絶対に面白いと思いますね。伊藤整が好きだなんてことも聞いてますし、まだまだ畑中世界は奥深いんじゃないかな。」

-村松友視-



「一言で言えば、芸術マンガとエンタテイメントがよく融合しているマンガですね。それが作為的でなく、畑中さんのゆがんだプロセスとからんでいるし、また明治以降の近代人のプロセスともからんでいる。
近代人ってのは、土俗社会から抜け出して文学者なり思想家になることが理想だったんですが、その内容が空虚だと自覚した時に、生活者や庶民の前に屈服した。そこで屈服せずに、その両者をいかに整合させていくかに近代日本の思想的課題があるんですが、奇しくも畑中純という個人のなかで実現されたところが、とても興味深いですね。
 九鬼谷は一種の”土着せる桃源郷”なんです。近代的自我にめざめた人のユートピアはいろいろあって、共産主義とか、自立した個人の自由で平等な理想郷とかあるけど、九鬼谷は空中楼閣でない”土着せるユートピア”です。
九鬼谷をミクロコスモスとして構築するなかで、文化人類学の最近の問題もうまく出ている。まさに大人のための高級娯楽です。」
-呉 智英-



「良太には、日本の中世の狂言の太郎冠者の趣きもあるけれど、太郎冠者は一応すっかり成人して家内も居るという人物像で作られているが、良太には大人とも子供ともつかない中途半端なところがあってそれが良太の魅力になっている。その点で良太はむしろ”イタリア喜劇”の道化ハーレクインを想わせるところがある。」
-山口昌男-

 

ヒロイン秋川月子の艶姿!小倉城南高校三年生で17歳。永遠のセブンティーンだ!



「スケベって概念を導入しないと性を語っても全然ダメな時代。『まんだら屋の良太』はスケベについて語る格好のメディアだ。」
-糸井重里-



欲望おもむくままの良太!実は良太なりの美意識をコントロールし一番理解しているのは、やっぱり月子姫!

 

 

 



《まんだら湯》
「まんだら屋のある九鬼谷温泉はどこだ、といまだに聞かれることがあります。生まれ育った福岡県小倉の南部の山あいに創作の舞台を設定しました。全くの架空の土地だとボク自身の気持ちがこめにくいし、実在の場所に限定すると制約がでてきそうです。あらゆる作品は、経験プラス想像力で成り立つということでしょう。若き日に熱中した宮沢賢治のイーハトーヴォやウィリアム・フォークナーのヨクナパトファー郡にヒントを得ました。賢治はイーハトーヴォをドリームランド岩手県だといっていたかと思います。フォークナーの全作品はヨクナパトファー・サーガと呼ばれています。サーガとは「譚(タン)」とか「物語」という意味らしいです。
 九鬼谷温泉は畑中純の理想郷です。まんだら湯は羊水であり、再生の湯なのでしょう。
みなさんにとってもそうであることを願っています。」


「版画まんだら」畑中純(桜桃書房1999) から転載させていただきました。





「まんだら屋の良太」自選傑作集後期の5巻には、自選集を記念して行われた特別対談「まんがと生活を語る」が収録されている。お相手はなんとあのつげ義春氏!30ページにわたり互いの創作の秘密にまで迫るディープな対談はマンガ・ファン必見!




《名匠、畑中純(はたなか・じゅん)》撮影:斎藤亮一

1950年3月20日、福岡県小倉に生まれる。高校卒業後、東京デザインカレッジ・マンガ科に籍をおく。その後いくつかの建築関係の職に就き、74年に1枚マンガ集『それでも僕らは走っている』を自費出版。77年『月夜』でデビュー。さまざまな肉体労働や会社勤めをしながら漫画家修行を積む。79年雑誌「漫画サンデー」で「まんだら屋の良太」の連載がスタートし、ロングセラーとなる。同作品は81年第10回漫画家協会最優秀賞を受賞した。83年から宮沢賢治作品の版画化にとりくむ。




《主な著作》

『まんだらやの良太』週間連載開始(実業之日本社「マンガサンデー」)
『百八の恋』、『おばけ』(講談社「モーニング」
『理想館』、『天多磨月夜』(小学館「ビックゴールド」
『愚か者の楽園』(新潮社「小説新潮」)
『ガキ』(潮出版「コミック・トム」)
『玄界遊侠伝・三郎丸』(実業之日本社「マンガサンデー」)
『良太』(文藝春秋「コミックビンゴ」
『ガタロ』(青林堂「ガロ」)
『山猫通信』(西日本新聞)
『極道モン』(創雄社「実話時代」)、他




版画集に『どんぐりと山猫』(筑摩書房)、『版画まんだら』(人類文化社)、他
現在『大多摩月夜』『ガキ』『良太』『夢日和版画館』を連載中。東京都調布市在住。



問題作!桃色遊戯?!公序良俗に反する?!『百八の恋』
主人公の百八という煩悩そのもののような少年の天真爛漫な性体験を真正面から描き、性欲を通して命の溌剌を描いた快作!講談社のモーニングコミック連載中から物議をかもし、途中から別作品の掲載になり、単行本化されましたが、4巻から”成年コミック指定(左上の表示)”になってます。




『コミック版 谷崎潤一郎作品 鍵』
谷崎潤一郎のエロティシズムの世界をコミックの世界で天衣無縫に描いた秀作!



『ガキ』
畑中純の自伝的名作!
「二十四歳の時だった。輝ける青写真はとっくに踏みにじり、やっと一枚マンガ集を自費出版しただけのマンガ家の卵は、年末に帰郷して魚町商店街を歩いていた。そしてシャッターの降りた楽器店の前で、リヤカーで古本を売っているオバチャンに遭遇したのだった。私は貸し本流れらしい山の中から『九州の山々』という本を百円で買い、声をかけた。
七番畑中純を記憶していたようで、マンガ家になろうと努力している旨伝えると
「アンタ、マンガ好きやったけね、うちのお客さんで一番好きやったけね。そうねえ、頑張りなさいよ」

と励ましてくれた。オバチャンんお笑顔をその時初めて見た。その場を辞し、少し離れた場所からしばらくオバチャンを眺め、私は深く頭を下げた。(あとがき から)」




『私の村』
ダム建設に揺れる村を舞台に詩情豊かに描く、友情、恋愛、喜び、怒り、そして闘い...
「私の成すべきは、水と共存した土地を一種のユートピアとして描き出すことだ。もちろんそこは善意と永遠の生命が寝そべった、ふやけた理想郷ではない。書き出せばキリのない様ような悪徳を、だから人間って面白いんだよ、と引き受けて、そしてそれらを消化しながら、より大きな喜びを産みたいと思う。。(あとがき から)」




『愚か者の楽園』

荒れた野もいつか花実よ桃の園

「人間の欲望には限りがありませんから、その辺は色んな夢を見ながら進むことにして、とりあえず、ささやかでも自分の役割を自覚し、大切な人たちと時々笑いあえる場所があれば、そこはもう、愚者の園などではなく賢者の園といってもいいでしょう。」

林檎を食べて楽園を追放されたのはアダムとイブ、桃の実をたった一つ食べてしまったが為に愚者の園にから取られてしまった男、しがない中年の只野小吉は、勤務先の倒産、家庭の崩壊で都会を脱出。失格者の烙印をおされ流れついたのは、性と生の理想郷! 九州の満麿温泉、桃絵と出会って恋におちた…。『小説新潮』に連載され世のおとうさんに大いなる感動を与えた名作!CAT-Oさんの座右の書!




『大多摩月夜』
大多摩市役所の観光課長である夢野凡作は、若い頃に描いていた夢をあきらめ大多摩の地で毎日を楽しく暮らしている。そこに都心から登校拒否の甥っ子の雄一が訪ねてくる。カッパ・ファン必見!




-『コミックばく』の表紙も多く手がけた。(つげ義春「紅い花」)-



『銀河鉄道の夜』



宮沢賢治の描く心象風景に心を慰められた畑中純氏が、版画で賢治の世界を表現。
注文の多い料理店の全十作品、セロ弾きのゴーシュ、風の又三郎、猫の事務所、ツェねずみ、クねずみ、よだかの星、氷河鼠の毛皮、飢餓陣営、洞熊学校を卒業した三人、月夜のけだもの、土神と狐、蛙のゴム靴、雪渡り、やまなし、オッペルと象、詩(報告、小岩井農場、春、永訣の朝、雨ニモマケズ)、銀河銀道の夜の31作品・版画70点。

「不景気は進行する一方で、将来の不安に押しつぶされそうな現在、子供も青年も大人も皆等しく傷つき疲れています。なにか疲れを癒しイラ立ちを沈める薬はないものか。あります。現在の流行としての、企業戦略としての卑しい癒し共が束になっても敵わない絶対の本物、宮沢賢治の作品集が一番の薬です。(畑中純)」


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<宮沢賢治>

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宮沢賢治の描く心象風景に心を慰められた畑中純氏が、版画で賢治の世界を表現。
注文の多い料理店の全十作品、セロ弾きのゴーシュ、風の又三郎、猫の事務所、ツェねずみ、クねずみ、よだかの星、氷河鼠の毛皮、飢餓陣営、洞熊学校を卒業した三人、月夜のけだもの、土神と狐、蛙のゴム靴、雪渡り、やまなし、オッペルと象、詩(報告、小岩井農場、春、永訣の朝、雨ニモマケズ)、銀河銀道の夜の31作品・版画70点。


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『月夜のでんしんばしら』
Copyright Jun HATANAKA
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『猫の事務所』
Copyright Jun HATANAKA
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『風の又三郎』
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『風の又三郎』

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『雨ニモマケズ』

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『木版画 どんぐりと山猫』

賢治作品を愛してやまない畑中純氏が賢治作品の中でも、とりわけ好きな「どんぐりと山猫」を、荒削りなモノクロの木版画で、文章すべてに至るまでを彫りあげた、異色の賢治絵本。実に6800字の格闘であった。


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<かねた一郎>



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「まんだら屋の良太」自選傑作集特別限定版、良太の刷りおろし版画!





いざ行かん賢者の園へ・・・!

ekato

 九鬼谷温泉の泉質は?は効能は?....ご自分でお確かめあれ!.....。U^ェ^U


hardy1
「友情」  フランソワーズ・アルディ

雲の向こうから友達がやってくる  太陽と雨をカバンに詰めて
彼らが創り出す優しい友情の季節 四季のなかで一番美しい季節
友達の優しさは美しい風景に似ている
渡り鳥のように舞い戻る人々 彼らの心に刻まれる無限の優しさ
でもその瞳には悲しみの色が宿る 
だから彼らは私の家に温もりにやってくる あなたも来てくれるきっと必ず

あなたは再び雲の彼方に立ち去る 別の表情でもう一度微笑みながら
あなたの周囲に優しさを与える 仲間が悲しみを隠したい時も
人生の意味が分からない時も 自分が何者なのか分からない時も
理解してくれる友が一人でもいたら そんな時はあなたの家に行こう
私の心が温まる あなたの燃やす炎で ........

・ジャン・マックス・リヴィエール(詞)ジェラール・ブルジョワ(曲)




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