━『フォロー・ミー』ミア・ファロー

 

■隠れた名作「フォロー・ミー」!映画の妖精!ミア・ファロー(Mia Farrow)■

 


「アリス (ALICE 1990)」



Donovan,Mia Farrow,George Harrison,Paul McCartney and John Lennon
with Maharishi Yogi.

キャロル・リードの名作「フォロー・ミー」に主演したミア・ファロー。役柄はカリフォルニアでヒッピーの群れに身を投じたこともある娘が、英国の上流階級に属し地位も財産も申し分ない一流会計士チャールズ(マイケル・ジェイスント)と結婚したが、元々自由人のベリンダには、夫の仕事一辺倒の生活には息のつまる毎日だった。馴れない社交や、上流人の生活をのがれて、人間らしいささやかな愛と自由を求めて、浜辺で夕陽を眺めたり、サファリ公園でイルカを見ていたり、イーストエンドのパブで踊ったりしていた.....。ドノヴァンやビートルズの面々と一緒にマハリシヨギのアカデミーへ。写真のミアファローの本当に嬉しそうな顔ったらないですね。






■『フォロー・ミー (1972)』■
監督: キャロル・リード 脚本: ピーター・シェイファー 音楽: ジョン・バリー
出演: ミア・ファロー/トポル/マイケル・ジェイストン/マーガレット・ローリングス



 
「第三の男」を監督した名匠キャロル・リードが作った心暖まる佳作にしてじわじわの傑作!脚本は、「アマデウス」「エクウス」のピーター・シェイファー。ピーター・シェーファーが書いた1幕物の芝居の台本を彼自身が脚本化した。なんといまだ未DVD化!



 
 知識豊富な仕事人間で一流会計士のチャールズ(マイケル・ジェイスント)は、妻のベリンダの不可解な行動に疑問を抱いていた。浮気しているのではないか、という疑いにつきまとわれていたからだ。チャールズは私立探偵のクリストフォルー(トポル)に妻の調査を依頼する。
 ベリンダは夫チャールズと住む世界の違うことに違和感を感じて、小さな失意を積み重ねていたのでした。ベリンダは日毎に無口になり、毎日朝早くからひとりでどこかに出かけ、夜遅くまで帰ってこなくなったのでした。ベリンダはただ単に、日常の倦怠を散歩によって紛らわせていただけだった。



 ジョンバリーの切なく美しい音楽をバックに、妖精のようにロンドンの名所旧跡を自由に歩き回るベリンダの後を追いかけまわす不審な人物、真っ白なコートを着た私立探偵クリストフォルー(トポル)が尾行する。忘れ得ぬ名キャラ、名演!トポロが扮する探偵がいつも食べていたマコロンというお菓子はたまごボーロのようなものらしい。





 
ベリンダは、探偵の尾行に気づいて以来、最初のうちは彼を気味悪がっていたが、次第に彼のやさしさと愛情にあふれたまなざしに心ふれあうものを感じるようになり、次第に探偵自身に好意を抱いていく……。語ることのない、みつめあうだけの追跡。無邪気な追いかけゴッコの共犯者として日々を重ねるごとに彼ら二人の間に次第に生まれていく心の絆。この件が、素晴らしく、トポルの人懐っこい笑顔と、やさしい眼差しに出会うと、思わず心がなごんでいつになくウキウキしてきます。U^ェ^U



 
10日後探偵クリストフォルーはチャールズに報告をした。彼女にやましいところがない、だが“恋人"がいるかもしれない、と。その報告を受けたチャールズは、ベリンダを怒鳴った。彼女は“家庭には愛が必要なのにこの家にはしきたりだけしかない。"と悲しそうにつぶやき自分の潔白を語った。“ただ、見知らぬ男が、いつも私をつけてきて、いつか心のふれあいを感じるようになったのは事実だが"と。
 ささいな疑惑から夫婦間の危機が生じる様を描く。最後に夫が取った行動とは...。さりげなく、爽やかな幕切れが、非常にここちよい後味を残す。ロマンティックなラブ・ストーリー。



 
ミア・ファローは、決して美人ではないと思うのですが、チャーミングですよね。どこかしら不思議な雰囲気がある個性派女優で、ある種、ファンタスティックな女優でもあります。ニューシネマの台頭と共に、「風変わり」と表現される女優たちが続々と登場し、その中でミア・ファローはセンセーショナルな話題をまいた「ローズマリーの赤ちゃん」(68)で、スターらしからぬ不安定な顔つき体つきで登場し、一躍有名になりました。「ジョンとメリー」「フォロー・ミー」ウディ・アレンの名作群「カイロの紫のバラ」「ハンナとその姉妹」「ラジオ・デイズ」「セプテンバー」「私の中のもうひとりの私」「アリス」と..あげたら切りがないくらいです。ウディ・アレンと公私にわたるパートナーとなり数々の名作を撮るが、養子への性的虐待、養育権をめぐってトラブル、裁判となり、別離。残念哉!醜悪な修羅場を繰り広げ、裁判はミアの勝訴となる。この顛末は最後尾に掲載しますがTVの芸能ゴシップお好きな方にだけお薦め...夢見る夢子ちゃんは、読まない方が良いかも~です。

 


非売品ORIGINAL SOUND TRACK『FOLLOW ME』
なんと!ジョン・バリー・ファン・クラブ謹製のお宝CD!(private use only)
A rare John Barry score, issued in Japan, this soundtrack was taken from the film of Peter Shaffer's stage play starring Mia Farrow and Topol. The music is an interesting blend of easy listening strings and vocals and a harder groovy edge not present in much of Barry's work. The haunting theme is reprised throughout the score.





  ■映画の妖精!ミア・ファロー(Mia Farrow)■

 
1945年2月9日、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。父は映画監督のジョン・ヴィリアース・ファロー、母は女優モーリン・オサリヴァン。9歳の時、小児麻痺で病床につくが克服、18歳の時、舞台“The Importance of Being Earnest”で女優デビュー。1964年テレビドラマ・シリーズ『ペイトン・プレイス物語』に出演、注目を集める。同年『バタシの鬼軍曹』で映画デビュー、1968年『ローズマリーの赤ちゃん』が世界的にヒット、 ハリウッドを代表する人気女優となる。
 将来は尼僧になりたいと心を固めながら、やむない事情で女優として働きはじめる。そこで出会うフランク・シナトラ、音楽家アンドレ・プレヴィンとの恋。やがて訪れる破局、混乱。逃げるようにしてインドへ旅立ち、ビートルズとの出会い、映画界への復帰、戦争孤児・障害児の養子、ふたたびの恋、そして……。ウディ・アレンとの十年間は、ロマンスから長い悪夢に変わり、養子に性的虐待するウディ・アレンとの裁判沙汰、醜悪な修羅場、ダリ、ビートルズとの交遊……など、映画よりも劇的な半生……。




1959年「大海戦史」「バタシの鬼軍曹」
1968年「殺しのダンディー」「ローズマリーの赤ちゃん」
     「秘密の儀式」
1969年「ジョンとメリー」
1971年「見えない恐怖」
1972年「フォロー・ミー」「ジャン・ポール・ベルモンドの交換結婚」
1974年「華麗なるギャツビー」
1976年「ジュリア/幽霊と遊ぶ女」
1978年「アバランチ/白銀の恐怖」「ウエディング」
     「ナイル殺人事件」
1979年「ハリケーン」
1982年「サマーナイト」
1983年「カメレオンマン」
1984年「ブロードウェイのダニー・ローズ」「スーパーガール」
1985年「カイロの紫のバラ」
1986年「ハンナとその姉妹」
1987年「ラジオ・デイズ」「セプテンバー」
1988年「私の中のもうひとりの私」
1989年「ウディ・アレンの重罪と刑罰」「ニューヨーク・ストーリーズ」
1990年「アリス」
1992年「ウディ・アレンの影と霧」「夫たち、妻たち」
1995年「マイアミ・ラプソディー」
1998年「エクスタシーをさがして」
2001年「ジ・イノベーダー 革新者」
2002年「くたばれ!ハリウッド」







■「カイロの紫のバラ (THE PURPLE ROSE OF CAIRO 1985) 」■
監督/脚本■ ウディ・アレン
出演■ミア・ファロー/ジェフ・ダニエルズ/ダニー・アイエロ



 古き良き30年代、熱心に映画館に通いつめるることで孤独を癒していたウエイトレス、セシリア(ミア・ファロー)に、ある日スクリーンの中から映画の主人公が語りかけてきた。銀幕を飛び出し、現実世界へ降り立ったその主人公は、ウェイトレスを連れて劇場を後にする。



30年代のニュージャージーを舞台に映画に生きがいを求める人妻の姿を夢と現実を織りまぜて描き、映画ファンの夢をかなえてくれたウッディ・アレン!自身の出演なしに脚本・監督したファンタステイックなラブ・ロマンスの傑作!



30年代半ば、大恐慌の波がまだ鎮まらない不況のニュージャージー。夫のモンク(ダニー・アイエロ)は失業中で、かわって妻のセシリア(ミア・ファロー)が、レストランのウェイトレスをやって生活を支えていた。



彼女の夫は仕事もなく、酒を飲んでは暴力をふるうばかりで、満たされない。自らもウエイトレスの仕事では、お客さんの注文を間違える、うっかり皿を割ってしまう……、ウェイトレスの仕事も満足にできないドジな女、ヘマばかりしていつも怒られてばかり...。



ぶらぶらと遊び歩いてはセシリアからチップを奪い取ってゆくモンクには何の期待もない毎日だが、彼女には、心の支えとなる楽しみがあった。それは、映画を見ることで、好きな映画は何回もくり返して見ていた。夫に一緒に観に行こうと誘っても断られ、一人映画館へと足を運ぶシシリア。上映中の映画は『カイロの紫のバラ』。



日常生活ではさえない主婦が、映画館の暗闇のなかに逃避して、夢を見る...。
映画には、夢のような恋物語が......憧れの俳優と手に手を取っての逃避行...この映画はそんな映画ファンの心理をよく表現してるなあと思いました。.....これって映画のやさしさ?



 
セシリアは、もう、「カイロの紫のバラ」という映画に夢中になっており、登場人物の一人である冒険家トムに一目惚れ!何と今日は5回目だった。そのことに気付いた映画の主役のトム・バクスター(ジェフ・ダニエルス)は、なんと映画のスクリーンから抜け出し、客席のセシリアに語りかけたからさあ大変!



 
「この映画が好きなんだね。前にも2度来てただろう。」
 しかし、そのため「カイロの紫のバラ」はドラマ進行が止まってしまい、失神する観客。 「戻れ!」と叫ぶスクリーン上の共演者はウロウロ、セリフも関係なしに、勝手に言い争いを始めて大混乱になってしまいます。
 スクリーンから抜け出してきたトムに「映画は?」と訪ねるセシリア、「もうやめた。2千回も同じ芝居やってらんないよ」とトム。 二人は劇場を抜け出し外に行ってしまいます。
 トムが出現した、この場末の劇場は、映画館から主演俳優が暴走し始めちゃうという奇想天外なことになったということで一躍、名所となってしまいます。この、登場人物がスクリーンから飛び出すという発想が面白い。これは、「キートンの探偵学」が元ネタになっていますね。




 
当のトムは、セシリアの純な心にうたれ、恋をしてしまう。そこへ、トム・バクスターを演じた役者ギル・シェバード(ジェフ・ダニエルス)も現われて、自分のスキャンダルになるからトムにスクリーンの中に戻るよう説得しようと、セシリアの前に現れたものの、彼もセシリアに恋してしまい話はややこしくなる。スクリーンから出てきたトム・バクスターと、彼を演じたギル・シェファードの両方から求愛されて、有頂点の時を過ごすセシリア。



ギル「お前は本物の人間じゃないんだぞ。ぼくが創ったんじゃないか、早くスクリーンに戻れよ」
トム「いやだ、ぼくは現にここにいる。セシリアと一緒でなきゃどこにも行かないぞ」

...セシリアは現実に存在する俳優のギルを選んだのです.....。主演俳優はやはり自分の居場所、スクリーンに帰り、「夢」は終わります。ギルはセシリアにいっしょに旅立とうと誘う。



 
ギルといっしょに旅立とうと決意したセシリアは家に帰り、ののしるモンクに別れを告げてギルとの約束の場所に向かった。しかしギルはひとり飛び発った後で、残されたセシリアは、まっすぐ家に帰る気になれず、またとぼとぼと劇場に行った。
 すでに「カイロの紫のバラ」は終わって「トップ・ハット」に変わってしまっていた。しかし、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの「チーク・トゥ・チーク」のダンス場面、ジンジャーの羽根の衣装、アステアの洗練、2人の夢のようなダンス。踊りを見るうちに、いつしか、またセシリアの瞳に輝きが甦えるのだった。ああ、映画っていいなあ!名場面です!U^ェ^U



 
映画そのものへのオマージュ、映画への愛を感じる作品。映画を観ている時間ぐらい、観客は<虚>の世界である映画に同化していたいもの。映画と現実は違う、そんなことは百も承知の上。すべての映画ファンの夢を映像という形で見せ、夢の続きへといざなってくれるウディ・アレン。ミア・ファローを愛し、彼女を主演に据えた作品を撮るようになって、かつてみられた神経症的ないらつきが消え、かわってやさしさと穏やかさが見られるようになりました。その映画に対する溢れんばかりの愛情に最敬礼です。映画を楽しむことの原点に立ち返らせてくれる映画です。
 心から映画を愛する世界中のすべての人への、ウディ・アレンからのささやかな、それでいて極上のプレゼント。 「世界中がアイ・ラヴ・ユー」!





■「ローズマリーの赤ちゃん」(1968・米)■
監督:脚本:ロマン・ポランスキー 原作:アイラ・レビン 
撮影:ウィリアム・A・フレイカー 音楽:クリストファー・コメダ
出演:ミア・ファロー/ジョン・カサベテス/モーリス・エバンス/ルース・ゴードン



 
「水の中のナイフ」「反撥」「袋小路」「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督のハリウッドデビュー作品です。このサイコホラー作品のヒットにより、映画界はオカルトブームとなり、「エクソシスト」をはじめとする多数の作品が生まれました。
映画の舞台は、ジョン・レノンの住まいであり1980年12月8日にジョン・レノンが玄関前で射殺されたあの建物、ダゴダ・ハウス!私にはもうそれだけで完全にトラウマ映画。ホラー・オカルト映画の体裁をかりた心理的恐怖劇の傑作!とにかく妊娠よる情緒不安定と恐怖によって、可憐なローズマリーが徐々に神経症的にやつれていく様が実に怖い!それに、この映画の翌年の1969年8月8日、あの忌まわしい惨劇「チャールズ・マンソン事件」が起こり、ロマン・ポランスキーの妻であったシャロン・テートは惨殺されている。シャロン・テートは臨月も近い妊婦であった。



 
ミア・ファローの怯えが圧巻で、周囲がすべてグルだと気づいた彼女は逃げ出しますが、誰ひとり信じてくれる者も無い中、ついに出産、さて生まれた赤ちゃんは……。



 
マタニティ・ブルーによる不安定な心理状態にあるローズマリーの妄想に駆られたかのような言動と、冷静沈着な夫の対比が心理的恐怖感を盛り上げ、怪しい隣人カスタベット夫妻の不気味な存在感がじわじわじわじわ重く圧し掛かかってきて心理的に物凄く怖くなってくる!この真綿で首を締められるような、じりじりとした閉塞感こそ本作の真骨頂。



 
主演のミア・ファローは、その繊細でエキセントリックな容姿があいまって当たり役でした。当時、彼女は30歳も上のフランク・シナトラの奥さんでしたが、家庭に入らないファローはシナトラに離婚され、以後、音楽家やウディ・アレンとの結婚、離婚があって実子、養子を合わせ13人の子持ちなのだとか。







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映画と対話するために.....。!U^ェ^U



 
ウディ・アレンは1992年、ミアが前夫で指揮者・作曲家のアンドレ・プレビン氏と結婚している時に養女に迎えたスーン=イ・プレビンと関係をもったことが発覚し、夫婦関係は完全に破局した。ミアが偶然、アレンの自宅でスーン=イのポラロイドのヌード写真(足を大きく広げたヌード写真など)を発見したのだ。
 ミアがスーン=イに「いつからの関係か?」と問い詰めると、「高校3年から」と
答えたという。激怒したミアは彼女に襲いかかり、彼女の顔を殴った。そして、ミアは我が子と永遠の別れをすることになった。親権争いの裁判でアレンは息子の訪問権だけ。ウディとミアの間には養子を含めて3人の子供がいたが、ミアは1992年、アレンが当時5歳の養女ディラン(現在の名前はマローン)に性的虐待を加えたとして訴え、2人の激しい親権争いが始まった。ミアのアレンに対する攻撃は容赦なかった。結局、裁判でアレンは自分の血のつながったただ1人の息子シーマス君(当時の名前はサッチェル)に裁判所命令による監督の下でしか会うことができなくなった。
彼は一貫して養女に対する性的虐待を否定したが、彼に対する汚名と不名誉は消すことのできないものとなった。

 アレンはスーン=イと1997年に結婚し、養女を迎えているそうな。






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「ハンナとその姉妹」

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ウディ・アレンは映画の力を心底信じている作家、映画へのオマージュは多い。この「ハンナとその姉妹」では、アレン演じるTVプロデューサーが、マルクス兄弟の映画によって死の恐怖から救われるし、「ボギー!俺も男だ」も、映画評論家の主人公が、幻のボガートとの対話の中で、もう一度自分を肯定できるようになる物語だ。

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