『梁塵秘抄』 または ”わしふぃーるど”

━『バベットの晩餐会』

 

■心にも美味しい映画!「バベットの晩餐会 (1987) 」■

 


『バベットの晩餐会』 -Babette's Feast-(’87年 デンマーク 102分) 
監督・脚本◆ガブリエル・アクセル 出演◆ステファーヌ・オードラン/ボディル・キュア/ビァギッテ・フェザースピール
※1987年のアカデミー賞最優秀外国映画賞、1988年の英アカデミー賞外国語映画賞





19世紀後半、ユトランド半島にある侘しい海辺の村に暮らす、ルター派の敬虔なキリスト教徒である老姉妹マーチーネ(ビルギッテ・フェダースピール)とフィリパ(ボディル・キュア)には、バベット(ステファーヌ・オードラン)というフランス人の召使がいた。牧師で預言者であり、また、ある宗派の創始者であった彼女たちの父親は、今はもう亡くなっているが、父の教えは二人の心にしみ込んでいた。老人宅に食事を配達したりと、彼女たちは僅かな収入で善行を行っている。尊敬と畏れを持って父を崇拝していた信者たちは今ではもう少なくなっていたが、時々老姉妹の家に集って、聖書を読んだり亡き牧師を称えたりしていた。



姉妹が若い頃は、花咲く果樹と謳われるほど美しかった。彼女たちは社交界に出なかったので、村の若者たちは二人を見るために教会を訪れたるほどだった。そして、二人の娘を伝道活動の担い手だとみなしていた父親は、彼女たちに求婚に来る若者たちをことごとく断った。美しい二人の娘に二人の男が恋をし、彼女たちも一瞬は恋心を抱いたが、ふたつのカップルは結ばれることがなかった。二人の男たちは、その後の人生を遠く離れて生きたが、彼らの心の中にはいつまでも変わることのない恋心が静かに燃えつづけていた。



妹のフィリバに恋したのは療養のため村を訪れたパリの大歌手アシール・パパン。海岸で佇む彼の耳に、賛美歌を歌う美しい歌声が入ってきた。それは妹のフィリパの歌う声だった。その美声と才能に驚き、レッスンが始まった。すっかり歌とフィリパに酔いしれているパパンは、彼女が自分と一緒にパリに行き、二人で活躍することを夢見たが、そんな華美な生活に恐れをなしたのかフィリパはレッスンを止めてしまい、ババンは傷心のままパリへ戻ってしまう。
一方、姉のマーチーネは軍人のローレンスに求愛されていたが、煮えきらないマーチーネ態度にローレンスはマーチーネを諦め身を引いてしまう。しかし、マーチーネとの出会いはローレンスを変えた。マーチーネを忘れる為、いつか一角の人物になってやると、軍務に没頭したローレンスは将官の地位にまで上り詰めマーチーネとの再開をのぞんんで晩餐会にやってくるのだった。
この映画の前半は淡々と美しい姉妹の淡く切ない恋や敬虔に倹しく生きる様が描かれ心休まる思いがします。そして、彼女たちを愛するパパンとローレンス、二人の存在がこの物語の大きな伏線となっています。



1871年9月のある夜。嵐でずぶ濡れになった女性がマーチーネとフィリパの家を訪ねてきた。雨に打たれて衰弱しているその女性は姉妹に手紙を渡した。
それはあのアシール・パパンからだった。その手紙には、史上初のプロレタリア革命であるパリ・コミューンで支持派として戦い、夫と息子を殺され、自身も危うく命を失うところだったというその哀れな女性バベットを、姉妹の家に置いてもらえないかということが書かれていたのだった。35年間のパパンのフィリパへの変わらぬ想いも綴られていた。バベットは、パリを追われた女性だが、もとはカフェ・アン グレーズのシェフ、「食事を恋愛に変えることができる女性」と形容されるほどの女性料理人だった。



「食事を恋愛に変えることができる女性・・・情事と化した食事においては、肉体的要求と精神的要求の区別がつかない。」そう称され、厨房の天才と謳われた女性シェフ、バベット。バベットの料理をみていると「料理はアート」という言葉が自然に思い浮かびます。いい材料にいいワイン。火加減、微妙な味付け、美しい盛りつけ。これらによって完成されてゆく料理。一皿のご馳走には美味が凝縮されていて、そこにはバベットの心が現れています。舌と目の芸術家であるバベットが厳選された素材から次々と魔法のような1品を作り上げ、一度だけ、生涯にたった一度だけのこの先二度とないだろう豪勢な晩餐会を繰り広げるのです……。



バベットがやってきてから14年の月日が流れ、姉妹は、父の生誕100周年を祝う晩餐会を開くことを計画していた。そんな折、バベットにフランスからの郵便が届いた。なんと彼女は一万フランの宝くじが当たったのだ!
 バベットは姉妹に初めて願い事をした。それは、フランス式の料理で牧師の生誕100周年を祝う晩餐を作らせてほしいというものだった。バベットが費用を出すというので、姉妹は反対したが、自分が今まで頼み事をしたことがあったでしょうかと言うバベットの言葉に、彼女の願いを聞き入れることにした。バベットはたった一度の豪華な晩餐の準備のために8日間の休みを取った。



フランスからバベットが戻ってきた。ウズラや海がめなど、今まで見たことも無いような食材が老姉妹の家に運ばれた。恐ろしげな海がめの姿を見て、マーチーネは怖い夢を見た。魔女となったバベットの料理を食べた信者達が次々と倒れる夢だ。マーチーネは慌てて信者を集め、何を食べさせられるかわからないと泣きながら晩餐会のことを話した。気持ちが離れ離れになっていた信者たちだったが、このときは一致団結した。晩餐会では味覚が無い様に振舞おう、食事の話は一切しないでおこうと固く誓ったのであった。



この晩餐会の料理やワインは、どれも素晴らしいものばかり。しかし村の信者たちは何が出てきても料理のことは一切話さないと約束を交わしてからテーブルに就いていた。そして、その席に村の人間じゃない将官が一人。あのマーチーネを今も愛するローレンスだった。出席者の中で唯一バベットの料理の価値のわかる人間だった。将官は、かつてパリの最高級レストラン、カフェ・アンブレでバベットの創作料理、フォアグラとトリュフのソースがかかったウズラのパイを食したことがあったのだった。将官が料理を本当に美味しそうに食べて、絶賛するが、村の信者たちは、困ってしまって急に天気のお話を始めたりする様が可笑しい。
食事が進むうちに彼らの心が段々と豊かになってゆき、村の信者たちの表情は明らかに美味しさに溢れ「満足顔」になっている。そして最後には、素晴らしい至福感と新しいものを受け入れることの喜びを知っていく。そして星降る空の下、幸福な気持ちで満たされている信者たちは、手をつなぎ、輪になって賛美歌を歌った。



かつてフランスで名シェフとして腕をふるっていたという隠された過去を持つ主人公バベットの贅を尽くしたフルコースメニューは、アペリティフのアモンティリャード(シェリー)に海ガメのスープ、ヴーヴ・クリコ1860にキャビアのドミドフ風、クロ・ヴージョ1845にウズラのパイケース、サラダ、チーズ、ドルチェ、フルーツ、コーヒー、食後酒にフィーヌ・シャンパーニュ。
「食こそ、歓びであり、文化である」
ラスト、自分たちの為にそんな大金を使ってしまったバベットに向かって、一生貧しいままになると心配する老姉妹に、バベットは「貧しい芸術家はいません」と答えるバベットの名セリフ!が素晴らしい!バベットは芸術家としての自分の矜持にかけて自分を燃焼尽くそうとしたのでしょう。

バベットはやっとこう言った

「あの方々はまるでお二人には理解することも信じることもできないほどの費用をかけて、育てられ躾けられていたのです。私がどれほど優れた芸術家であるかを知るために。私が最高の料理を出したとき、あなた方をこの上なく幸せにすることができたのです。
・・次善のものに甘んじて満足せよなどと言われるのは、芸術家にとっては恐ろしいこと。耐えられぬことだとおっしゃったのです。芸術家が次善のもので喝采を受けるのは、恐ろしいことなのです。芸術家の心には、自分に最善を尽くさせてほしい、その機会を与えてほしいという、世界中に向けて出される長い悲願の叫びがあるのだと 」



原作者アイザック・ディネーセンは、男名のペンネームを持つが物語作家として評価の高いデンマークの女流作家。本名をカレン・ブリクセン(1885 - 1962 )というデンマークの貴族女性で、デンマークの紙幣に顔が印刷されている国民的作家。映画化されたディネーセンの作品では、1985年のアカデミー賞作品賞受賞作、「愛と悲しみの果て」がよく知られていますが、その原作「アフリカの日々」は、永遠の青春小説「ライ麦畑でつかまえて」の主人公ホールデンの愛読書としても名前が挙げられています。晩年は、胃が牡蠣とシャンパンしか受け付けなくなったといわれ、1962年に栄養失調で亡くなっている。

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