『梁塵秘抄』 または ”わしふぃーるど”

━ヴェルナー・ヘルツォークの世界

 

■ニュー・ジャーマン・シネマの旗手、ヴェルナー・ヘルツォーク■
怪優クラウス・キンスキーはダチだぜ!




ヴェンダース、ファスビンダーらと70年代以降のドイツ映画に世界を瞠目させたニュー・ジャーマン・シネマの旗手ヴェルナー・ヘルツォーク(1942~)。『アギーレ 神の怒り』や『フィツカラルド』ではアマゾン奥地のジャングルを、『コブラ・ヴェルデ』では、アフリカという未開の地を舞台にその映像世界を繰り広げ映画ファンの度肝を抜いた。静謐を湛えた風貌とは裏腹に、都市や世界のあらゆる辺境で、凄まじいまでロケを敢行した数々の作品は、彼の映画世界が他のどんな映画ともまったく違った志向を持った唯一無二の映画世界を構築した偉大な映像作家である事を証明している。

『私が映画館へ行くようになったのはかなり遅くなってからだった。他の人たちが何をやってるのかなんて興味はなかった。私に影響を与えたのは音楽であって、他の人の映画や文学ではない。』



容貌怪異とはこのことなり。ギョロッとしたでっかい目に狂気の光。でも、あのナスターシャ・キンスキーのオ・ヤ・ジだよ!

ヘルツォークの作品の中心に、荒ぶる狂気、伝説の俳優クラウス・キンスキー(1926~91)がいた。ヘルツォーク監督は、彼を多くの自作に起用した。『フィツカラルド』『アギーレ・神の怒り』『コブラ・ヴェルデ-緑の蛇』『ヴォイツェック』『ノスフェラトゥ』。いずれもキンスキーの誇大妄想的な狂演が長く心に残り、傑作の誉れ高く興行的にも世界的にヒットした。『キンスキー、我が最愛の敵』は、静と動の二人の鬼才の出会いから確執の連続に至る宿命ともいえる長年にわたる交流を描いた映画であり興味深い。



また、ヘルツォークの映画と音楽のコラボレーションに密接にかかわっていたのは、ドイツのジャーマン・プログレッシヴ・ロック界唯一無二の存在、ポポル・ヴー(フロリアン・フリッケによるユニット)であった。彼の音楽はヘルツォークの目指す宇宙的存在論、絶対的神に対峙する人間の精神を見事なほど象徴的に表現している。




「コブラ・ヴェルデ(1987)」



自分の王国を築くために山賊から、奴隷商人へとアフリカに渡ったコブラ・ヴェルデ。主人公の野望のままにパワー全開するキンスキーとの最後の仕事となった。




「アギーレ・神の怒り(1972) 」

開巻、アンデス山脈の峠を越えようと苦渋するスペインの征服者たちの姿を遠景ショットで撮ったシーンにポポル・ヴー(フロリアン・フリッケによるユニット)のまさに幽玄ともいえるシンセサイザーが霧のように流れる.....。
1560年、アマゾンの黄金郷をめざすスペイン分隊の困難な旅の末路を、自然描写から神話的世界への遡行を見事に収めたトーマス・マオホの撮影が凄い!ポポル・ヴーの音楽、キンスキーの名演で壮大に歌いあげる。『地獄の黙示録』にも影響を与えた。監督・脚本はヴェルナー・ヘルツォーク。撮影はトーマス・マウフ、音楽はポポル・ヴーが担当。出演はクラウス・キンスキー、エレナ・ロホ、ルイ・グエッラ、デル・ネグロ、ペーター・ベルリング、セシリア・リヴェーラなど。



1560年末、インディオたちが語る伝説の国、黄金郷エル・ドラド発見のためスペインの征服者たちがアマゾンの奥地めざしてアンデス山脈最後の峠を越えていた。峻険な山道、処女林、沼地が彼らを待っている。隊長ゴンザロ・ピサロは、周囲の状況、地理を調査するため40人ほどの分遣隊を組織し、ペドロ・デ・ウルスア(ルイ・グエッラ)を分遣隊長に任命した。副官はドン・ロペ・デ・アギーレ(クラウス・キンスキー)。兵士の他にウルスアの愛人イネス(エレナ・ロホ)、15歳になるアギーレの娘フロレス(セシリア・リヴェーラ)、僧ガスパル・デ・カルヴァハル(D・ネグロ)、貴族のドン・フェルナンド・デ・グズマン(ペーター・ベルリング)も一緒だった。1561年l月4日。三隻の筏に分乗したアギーレたちは、エル・ドラドめざして川を下り始めた。一隻が渦に巻き込まれたが、助けることもできず、ただながめているだけ。ようやく救助に行った時には、兵士はインディオに惨殺されていた。8日、増水のため筏が流されてしまい、アギーレは新たに筏を作るように命じた。しかし、ウルスアは本隊へもどることを主張。アギーレはウルスアを射つ。負傷したウルスアは反抗もかなわず、アギーレはグズマンをエル・ドラド国の皇帝に任命した。もち論、彼はアギーレの傀儡にすぎなかった。12日、新しい筏に全員が乗り込んで出発。途中、川べりの村が燃えていたので上陸した。彼らが見たのは人間の骸骨が散乱する異常な風景であった。20日、流れがとまり、兵士たちは物心両面で衰弱し始める。24日、男女二人のインディオが接近してきた。友好的にみえたが、カルヴァハルがさし出した聖書を二人が放り出すと、スペイン人は二人を惨殺。食糧が底をついた。グズマン一人が食事を楽しんでいたが、やがて彼も兵士に首をしめられて死亡する。アギーレはウルスアを処刑した。人喰い人種と戦い、その際中に、イネスは自ら森の中に消えてゆく。2月1日、インディオの放つ槍、矢のため兵士は続々と生命をおとす。ただ一人、アギーレだけがエル・ドラドを夢みていた。22日、熱病が兵士たちを襲う。姿をみせぬ敵の奇襲により、カルヴァハルもフロレスも死亡。ただ一人の生存者となったアギーレは、むなしく自分に語りかける。「これほど偉大な反逆があるだろうか。やがて新世界のすべてを奪おう。神の怒りである俺は、神話の通り自分の娘と結婚して、地上にかつてなかった大帝国を打ちたてるぞ」と。





「フィツカラルド(1982)」

ペルーのジャングルの奥地にオペラハウスを建てる、途方も無い夢に生きるフィツカラルドを、オペラの名曲を背景に綴る娯楽大作。カンヌ映画祭監督賞。本作を支えた?ヘルツォークVSキンスキーによる危険度100%の裏舞台は『キンスキー、我が最愛の敵』で暴かれた。

■■■ヴェルナー・ヘルツォーク(Werner Herzog)■■■



■ヴェルナー・ヘルツォーク(Werner Herzog)■

『映画をつくることは絶壁を登るようなものだ。岩を登っていこうとすると、岩は登ってくる人を振り落とそうとする。映画は映画をつくろうとする人を同じように振り落そうとする。』


  1942年、ミュンヘンに生まれ、少年時代をバイエルンの農園で過ごす。大学で歴史、文学、演劇学を専攻。留学したピッツバーグでは追放処分をうけたり、メキシコで密輸をしたりと若い頃から、彼にはエピソードが多い。
 64年、カ-ル・マイヤー賞を受賞した自筆脚本「狼煙」をもとに、長編第一作として発表した『生の証明』で、ドイツ連邦映画賞を受賞し一躍注目を浴びる。『カスパー・ハウザーの謎』でカンヌ映画祭の審査員特別賞を受賞。世界的に知られる性格派俳優クラウス・キンスキーを起用した『アギーレ・神の怒り』で、興行的ヒットも成し遂げ、名実ともにニュージャーマン・シネマを強力に牽引する監督として、内外に知られるようになった。以後、ジャンルや手法を越えて、意欲的に新作を発表。
 90年代にはオペラの演出も手掛け、映画からは距離をおいていたが、クラウス・キンスキーとの長年に渡る交流をテーマにした『キンスキー、我が最愛の敵』を発表し、世界中の観客を改めて魅了した。



神に選ばれし無敵の男(2001)
キンスキー、我が最愛の敵(1999)
彼方へ(1991)
コブラ・ヴェルデ(1987)
緑のアリの夢見るところ(1984)
フィツカラルド(1982)
ノスフェラトゥ(1978)
シュトロツェクの不思議な旅(1977)
カスパー・ハウザーの謎(1975)
アギーレ・神の怒り(1972)
小人の饗宴(1969)



「小人の饗宴(1969)」

施設に閉ざされた小人たちの大反乱。小人、猿、鶏、らくだたちが呼び起こす不安感と、奇妙な「かわいさ」は圧巻。しか処女作からしてこれだもんな?!



フリークス映画として物議をかもしたが、弱者への愛と共感に満ちた金字塔的傑作。ポポル・ヴー(フロリアン・フリッケによるユニット)とのコラボレーションの衝撃的な出会いでもあった。



「ノスフェラトゥ(1978) 」

1922年フリードリヒ・ウイルヘルム・ムルナウがブラム・ストーカーの「ドラキュラ」をもとに映画化した無声映画の代表的傑作「ノスフェラトゥ」へのオマージュ。中世ヨーロッパに蔓延するペストと「死の舞踏」。不老不死という永遠の孤独の闇に閉じ込められた宿命を背負う愛に飢えた吸血鬼。その吸血に伴うエロス。そして、犠牲的献身愛によって、美しい人妻とともに滅びた吸血鬼であったが、邪悪な魂は、皮肉にも無垢な登場人物に乗り移って永遠の放浪を続けるのだ・・・。日本では制作から7年を経てようやく日の目を見た作品。イザベル・アジャーニの美しさと佇まい(吸血鬼に噛み付かれた一瞬の表情に御注目)がこの映画の雰囲気を厳かにしている。また、オランダデルフトでのロケでは日曜日に働いてはいけない"日曜法"や街路へネズミを1万匹も放とうとして、オランダ政府と一悶着起こしたエピソードもある。



「カスパー・ハウザーの謎(1975)」

隔離され、言葉も知らず育ったカスパー・ハウザーは、突然捨てられ、誰からも持て余され、王族の隠し子としてサーカスの見世物に供される。サーカスを逃げ出し、ある紳士の元でようやく穏やかな日々を送るが…。実話から荘厳なフィクションを導くヘルツォークの本質を鮮やかに示す、最も秀れた感動作。カンヌ映画祭審査員特別賞ほか受賞。原作は種村季弘氏の訳。

99998

「ヴォイツェック」

ビューヒナーの著名な未完の原作を映画化。愚直な射撃兵の滑稽で悲しい生き様を描く。共演のエーファ・マッテスのカンヌ助演女優賞受ワに、キンスキーは嫉妬しなかったとか。

7

「神に選ばれし無敵の男(2001)」

1932年、ナチスが台頭し始めたドイツ、ベルリンを舞台に、千里眼を持つ男ハヌッセンと、怪力を持つ男ジシェ。2人の正反対の「無敵の男」が、ヒトラー政権の台頭により導かれていく、それぞれの運命を描いた実話。

■■■“世紀の怪優”クラウス・キンスキー■■■



■“世紀の怪優”クラウス・キンスキー(Klaus Kinski1926/10/18-1991/11/23 )■

1926年10月18日ポーランド、ダンツィヒ生まれ。没年1991年11月23日。
父はオペラ歌手だった。16歳でドイツ軍に入隊して第二次大戦に参加。終戦後にドイツで演劇を始める。50年頃から詩の朗読や自身のショーで名が知られるようになるが、観客を挑発するなど、奇々怪々な言動でも有名だったという。48年には映画デビューしてヨーロッパを中心に活躍。マカロニ・ウェスタン全盛時には悪役としてその名を馳せた。「アギーレ/神の怒り」でイメージを一新して演技派としての地位も確立。以降は「ノスフェラトゥ」、「フィツカラルド」とヴェルナー・ヘルツォーク監督と対立しながらも問題作を作り続けた。最初の妻との間に生まれた娘がナスターシャ・キンスキー。二人目の妻との間に生れたニコライ・キンスキーとは「パガニーニ」で共演している。91年、老衰のために死亡した。

 

寺山修司『上海異人娼館〈チャイナ・ドール〉』



■■■ポポル・ヴー(POPOL VUH)■■■



(左)「ノスフェラトゥ」
(右)「アギーレ/神の怒り」

■ポポル・ヴー(POPOL VUH)■



■フロリアン・フリッケ(Florian Fricke :Moog synthsizer, organ, Fender-piano)■



Holger Trülzsch African & Turkish percussion
Frank Fiedler Moog synthsizer-mixdown
Popol Vuh(Florian Fricke) piano, cembalo
Conny Veit electric & 12 string guitar
Robert Eliscu oboe
Djong Yun soprano vocals
Klaus Wiese tambarine

ドイツのプログレッシヴ・ロック・グループ「POPOL VUH」。 フロリアン・フリッケによるユニットとして60年代末から活動。バンド名はマヤ文明の教典に由来。最初期のムーグ・シンセを全面的に使った電子音楽サウンドに打楽器はタブラやカリンバのようなパーカッションを使い、サウンド・エフェクトとして自然音を使っているので、ミニマル・ミュージックの手法を使っているが決して冷たくは感じない。71年の1stアルバム『Affenstunde』において、ムーグ・シンセの音色で西洋文明と南米/東洋神秘主義との奇跡的な融合を実現させたといえる。後に「ムーグ・シンセサイザー」を私の敬愛するクラウス・シュルツに譲り渡したという逸話が残っている。フリッケ自身も楽器をムーグ・シンセサイザーからピアノへ変えるという変化をみせている。
そしてポポル・ヴーはアコースティック・サウンドへ変化するも独自の神秘瞑想的な作風は維持される。すべての宗教の根本は同一であるという信念のもとに作られた『Hosianna Mantra』(72年)や、旧約聖書をモチーフにした『Das Hohelied Salomos』(75年)など、宗教色濃厚な問題作を多数輩出。深層心理をえぐるセラピー効果満点の沈静音響は、ニューエイジ/アンビエントの原形でもある。これぞ、原始宗教(風)音楽の極み。クラウスシュルツやタンジェリンドリーム、クラスター、クラフトワークなどのドイツ電子音楽の中においてもいずれとも異なる唯一無二の音楽性をもちヨガや瞑想にも最適だ。映画監督ウェルナー・ヘルツォークとの映像と音楽のコラボレーションが名高い。

2001年12月フリッケ逝去。





(左)73年発表の第三作「Hosianna Mantra」(「hosianna」とは神を賛美する声、「mantra」はヒンドゥー教で呪文のこと。)
(右)72年発表の第二作「In Den Gärten Pharaos」



■■■ナスターシャ・キンスキー(Nastassja Kinski)■■■



■ナスターシャ・キンスキー(Nastassja Kinski)■

容貌怪異な父親から生まれたとは思えない美しい女優ナスターシャ・キンスキー。
鳶が鷹を産んだ!18歳の時に、マルチェロ・マストロヤンニと禁断の愛で結ばれる娘を演じた『今のままでいて』の演技というより実際に恋仲であったということだが恋する女の愛らしさ美しさは感動的ですらあった!マタ、惜しげもなくさらしてくれた美しい肢体はもっと感動的で号泣ものであった。長じてヴェンダーズの傑作『パリ、テキサス』での美しい覗き部屋の女も忘れがたい。
ekato

近日ナスキン大特集UPよ!U^ェ^U








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