『梁塵秘抄』 または ”わしふぃーるど”

ピロスマニ



ゲオルギー・シェンゲラーヤ 監督作品 『ピロスマニ(1969年 ソ連作品)』



ロシアの“アンリ・ルソー”ニコ・ピロスマニ(Niko Pirosmani,1862-1918)
<ニコ・ピロスマニ略歴>
1862年 グルジア共和国のカヘチの農家に生まれる。
放浪をしながらプリミティブな画風の絵を描き続ける。
グルジアの自然、風俗、伝統儀式に始まり時には歴史上の人物をとりあげた民族色の強い画風はグルジアの魂そのもの。
特に鹿、ライオン、きりんなど動物を描いた作品は出色で、静ひつさが漂う画風が特徴。



死の数年前ロシアで初めて、民衆画家として紹介されるが、酷評され、生前認められることはなかった不遇の芸術家。自分で作った絵の具で、油布やトタン板、ボール紙などに、人物・風景・動物・静物などを2000点あまりも描き続けた。
1948年 孤独と貧困の中で世を去る。



近日、日本でもピロスマニの画集が出版されるそうです。



【ピロスマニ(1969年)Pirosmani / Пиросмани】

監督 ゲオルギー・シェンゲラーヤ
脚本 ゲオルギー・シェンゲラーヤ / エルロム・アフブレジアニ
撮影 コンスタンチン・アプリャチン
美術 アフタンジル・ワラジ
音楽 ワフタング・クヒアニチェ
出演 アフタンジル・ワラジ(職業俳優ではない実在の画家!) / ボリス・ツィプリヤ



グルジアの国民的画家ピロスマニ(1862~1918)は、居酒屋やレストランの壁を飾る絵を描いては、その日の食事や酒に替えて生活していたという放浪画家で、映画では、悲劇的な生涯に苦悩するピロスマニの清廉な芸術家の魂が、トビリシの美しい街並み、酒場やカフェ、村人の生活などを背景に描かれた、知る人ぞ知る名作!寒色を基調とした色調で静謐に描かれ、全てのショットが一枚の絵を見ているよう。まさに、これぞ、私的愛すべき映画のベスト!1974年シカゴ国際映画祭ゴールデン・ヒューゴ賞 / アゾロ国際映画祭最優秀伝記映画賞 / 1978年キネマ旬報ベストテン4位



グルジアは「モスクワの台所」というほどに気候温暖で野菜やくだものが豊富で、商売上手なグルジア商人とか黒海に面した素晴らしい保養地がある国。反面この映画の舞台となる荒涼とした砂漠の中には12~13世紀にかけて最も栄えていた岩窟修道院が数多くあります。その岩壁には無数の庵や聖堂、礼拝堂などが散在し、その壁面には美しく素朴なフレスコ画が描かれています。天使や鳥、魚、子羊に乳をあげる羊、獅子などのプリミティブな浮き彫りが有名です。並列的にモチーフを配置するピロスマニの画面はピロスマニの描き方というのは、フレスコ画の手法にとてもよく似ていて素朴な味わいがあります。





ピロスマニは奉公先の地主の家を逃れて放浪の途についたが、何をやっても巧くいかず職を転々と変えていく。やがて、疲れてトリビシに舞い戻り旧友のドミトリーと共に「チーズやミルクの店」を始めるが、貧しい村人に施しを与えたり、やはり、ピロスマニは商売には向いてないのであった。



 

おまけに自分の結婚式からも逃げ出す始末。





ある日、ピロスマニの絵はその地にやってきた画家の目にとまり、中央画壇へ紹介されるが、モスクワでは彼に対して冷淡で異端視され、アカデミックな画壇からは酷評された。



深く傷つき故郷グルジアに帰り絵を描き続けるが、生前はその才能を世に認められることもなく、貧困のなかで生き、孤独と流浪のうちに、トビリシで56年の生涯を終わっている。

 



「女優マルガリータ」

再び放浪の旅に出た彼は絵筆をとって手当たり次第に絵を描き、それで何とか食い扶持を稼ぐのであった。そんな彼の前にカフェの踊り子マルガリータが現れる…。マルガリータはフランス人の踊り子でグルジアに1905年に来てニコ・ピルスマニに会った。ピロスマニは彼女の美しさに魅され、彼女に文字通り”花の海”を贈ったという話は有名である。



ロシア歌謡として加藤登紀子さんが歌った「百万本のバラ」は画家ニコ・ピロスマニがモデルとなっている。



♪百万本のバラのモデル!恋するピロスマニ




 『百万本のバラ』
(作詞・作曲:A.Voinesenskij.R.Pauls/訳詞:加藤登紀子)

小さな家とキャンバス 他にはなにもない
貧しい絵描きが 女優に恋をした
大好きなあの人に バラの花をあげたい
ある日街中の バラを買いました
百万本のバラの花を 
あなたに あなたに あなたにあげる
窓から 窓から 見える広場を
真っ赤なバラで うめつくして・・・・・

ある朝彼女は 真っ赤なバラの海を見て
どこかのお金持ちが ふざけたのだと思った
小さな家とキャンバス すべてを売ってバラの花
買った貧しい 絵描きは
窓の下で彼女をみてた



百万本のバラの花を
あなたは あなたは あなたは見てる
窓から 窓から 見える広場は
真っ赤な 真っ赤な バラの海・・・・・・

出会いはそれで終わり 女優は別の街へ
真っ赤なバラの海は はなやかな彼女の人生
貧しい絵描きは 孤独な日々を送った
けれど バラの思い出は 心に消えなかった



百万本のバラの花を
あなたに あなたに あなたにあげる
窓から 窓から 見える広場を
真っ赤なバラでうめつくして・・・・・

百万本のバラの花を
あなたに あなたに あなたにあげる
窓から 窓から 見える広場を
真っ赤なバラでうめつくして・・・・・

楽天日記『加藤登紀子』も合わせてご覧ください。



「どれほどの酒をおれは飲むのだろう。チビチビやり命を引きずるか・・・一気に飲み干し最期を早めるか迷っているのさ・・・」

酒におぼれた芸術家の生涯がどんなに薄汚れた惨めなものであっても、その創作行為と残された作品は気高く純粋。



━飲めニコラ 飲んで忘れろ 深刻に考えるな 世の中に歩調を合わせるんだ うまく折り合いをつけるのさ

「わかってはいるが おれにはそれができん
人生がおれを飲みそこなって のどに引っ掛けてしまったのさ」



酷評を受け失意のうちに再び故郷グルジアへ戻ってきた彼に、街の人々は手のひらを返したように冷たい。やがていつか、白髪まじりのニコ・ピロスマニ・・。旧知の酒場の主人に、復活祭のための絵を頼まれる。
「もう描けんよ。手がいうことをきかん」と断るピロスマニだが、、「仕上げるまでは出さん」と倉庫のような部屋に監禁されてしまう。・・・



復活祭の準備で賑わう人々、「そうだ、ニコラのことを忘れていたぞ !」。
あわてて鍵を開けた部屋には、出来上がった大きくて見事なグルジアの町と河の風景の絵があった。







「ニコラ !」と呼び止める声がするが、片手をあげだけで振り向きもせず彼は無言で立ち去る。それでも変わらぬ信念で絵を描き続けた彼は数々の傑作を生み出しながら、一人貧しい小屋の中で一生を過ごした。





復活祭の日、「ニコ」と呼ぶが返事がない。ドアを開けると死んだように寝ているピロスマニがいる。
 「なにしてるんだ」
 「死ぬところさ」
 「ばかなことを言うな、復活祭だぞ、起きろ」 ・・彼を乗せた馬車は石畳の上を走り去る。



この映画のラストシーン!
全編セリフも少なく音楽も少なく、ゆっくりとしたテンポの展開で悲劇を叫ぶでもなく、ことさら劇的にも描かず、胸に沁みてとても余韻が残る終わり方・・・。静かながらもずっしりと心に残る名品であります。



ekato

「ピロスマニ」はレンタルビデオ店にはほとんどないが「見た人は、見てない人より絶対豊かになれる。こういういい作品に多くの人が触れられるよう、公立図書館のように、映画を文化として収蔵し、いつでも見たり、借り出したりできる施設やネットワークづくりが日本にも必要」と熱く訴える。
(映画監督 小栗 康平さん )





 

 

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