『梁塵秘抄』 または ”わしふぃーるど”

2004/08/26(木)07:21

■フランソワ・トリュフォー『アントワーヌ・ドワネルの冒険』■~映画に愛をこめて~【後編】

■フランソワ・トリュフォー『アントワーヌ・ドワネルの冒険』■ ~映画に愛をこめて~【後編】 Francois Truffaut(1932-1984) トリュフォーの最愛にして最後の恋人ともいわれたファニー・アルダン。 私はこの方のお顔の下半分がダメでしたが、「8人の女たち」でやっと見直しましたァ。 ●フランソワ・トリュフォー● 1932年2月6日、パリ生まれ。 1950年よりアンドレ・バザンのもと「カイエ・デュ・シネマ」などで映画批評を書き始め、1954年に16ミリ短編『ある訪問 Une visite 』を監督。1956年、映画を発表できなかった時期のロベルト・ロッセッリーニの助手として仕事をする。1957年、製作会社レ・フィルム・デュ・キャロッスを設立し、配給会社コシノール社社長令嬢のマドレーヌ・モルゲンステルヌと結婚。初の35ミリ短編『あこがれ』(原題『いたずら小僧ども』)を監督。1959年のカンヌ国際映画祭でフランス代表作として上映された長編第一作『大人は判ってくれない』で監督大賞を受賞し、脚光を浴びる。この作品の主人公アントワーヌ・ドワネルを主人公にした連作『アントワーヌ・ドワネルの冒険』は計5本作られる(短編『アントワーヌとコレット』・『夜霧の恋人たち』・『家庭』・『逃げ去る恋』)。自作以外の出演作に自ら製作したクロード・ド・ジヴレーの『のらくら兵62年 Tire-au-franc 62 』(1962)、スティーヴン・スピールバーグの『未知との遭遇』(1976-78原題『第三種接近遭遇』)がある。1984年10月21日、癌のため他界。 ■主要監督作■ 『あこがれ』(1957-62) 『大人は判ってくれない』(1959-60) 楽天フリマ出品中!VHS『ピアニストを撃て』(1959-60)も合わせてご覧ください。 楽天フリマ出品中!VHS『突然炎のごとく』(1961-62)も合わせてご覧ください。 『アントワーヌとコレット』(1961-62 オムニバス映画『二十歳の恋』の一篇) 楽天フリマ出品中!VHS『柔らかい肌』(1963-64)も合わせてご覧ください。 『華氏451』(1966) 『黒衣の花嫁』(1967-68) 『夜霧の恋人たち』(1968) 『暗くなるまでこの恋を』(1968-69原題『ミシシッピーのシレーヌ』) 『野性の少年』(1969-70) 『家庭』(1970) 楽天フリマ出品中!VHS『恋のエチュード』も合わせてご覧ください。 『私のように美しい娘』(1972) 『アメリカの夜』(1972-73) 『アデルの恋の物語』(1975原題『アデル・Hの物語』) 『トリュフォーの思春期』(1975-76) 『恋愛日記』(1976-77) 『緑色の部屋』(1977-78) 『逃げ去る恋』(1978-79) 『終電車』(1980) 楽天フリマ出品中!VHS『隣の女』(1981)も合わせてご覧ください。 楽天フリマ出品中!VHS『日曜日が待ち遠しい!』(1982-83) も合わせてご覧ください。 <アンドレ・バザン(1918-1958)> 映画批評家。1918年生まれ、1958年没。 わずか40年の生涯であったが、1940年代から50年代のフランスで、先進的な映画批評を書き、映画界に大きな影響を与える。  アンドレ・バザンはトリュフォーの人生と映画の恩師、つまりトリュフォーにとってすべての意味での恩師です。トリュフォーを少年鑑別所から、次いで軍隊から救いだしてひきとり、彼の後見人となり、「真の」父親になって、「映画」にみちびいてくれた恩人です。1958年11月10日、26歳のトリュフォーがついに念願の長篇映画第1作『大人は判ってくれない』にクランクインしたその撮影初日に、アンドレ・バザンは危篤におちいり、その夜(すでに翌朝になっていましたが)、息をひきとります。40歳の若さでした。 65年には敬愛するアルフレッド・ヒッチコックに50時間ものインタビューを行い、「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」として出版している。 68年、アンリ・ラングロワがシネマテークを解雇された事件をきっかけに、シネマテ-ク擁護委員会を作り抗議運動を起す。同年、5月革命の流れの中で、ゴダールらとともにカンヌ映画祭を中断させる。カンヌ映画祭粉砕のマニフェストを読みあげるトリュフォーとゴダール。 ◇ヌーベル・バーグ【Nouvelle Vague】◇  1950年代後半のフランスで新人監督らにより流行した映画の新しい表現運動。パリという都市の、シネマテークのような自主映画上映会やカイエ・デュ・シネマのような映画批評雑誌など、その周辺に集まった若者たちの小さなグループの間で産声を上げた。彼らはスタジオの中に閉じこめられていた映画を光りあふれる屋外へと解放し、手持ちカメラと即興的演出で感情表現を重視した創造的な映画を次々に制作しました。 トリュフォーは伝統的なフランス映画を切り捨てた「フランス映画のある種の傾向」という論文を「カイエ・デュ・シネマ」誌(1954年1月号)に発表したため、“フランス映画の墓掘人”と恐れられるようになった。  「勝手にしやがれ」(1959)のジャン=リュック・ゴダール、「大人は判ってくれない」(1959)のフランソワ・トリュフォー、「獅子座」(1959)のエリック・ロメールらが次々にデビューし、フランスの週刊誌「レクスプレス」が、それまでのフランス映画の伝統のカラを破った彼らを「ヌーベル・バーグ(仏語で新しい波の意味)」と呼んだことが、名前の由来です。 ヌーベル・バーグはその後アメリカン・ニュー・シネマを始め、世界の映画史に大きな影響を与えました。 <ネストール・アルメンドロス(Nestor Almendros)1930-1992> 映画史上最も美しい映画!といわれるテレンス・マリック監督の『天国の日々』の撮影監督で知られるネストール・アルメンドロスは、フランス映画ヌーヴェルヴァーグの同世代たちの活躍を映画評論家活動をしていたキューバで知り、フランスに飛び、ヌーヴェルヴァーグに参加した。トリュフォーの下記作品、エリック・ロメールの『海辺のポーリーヌ』、『ソフィーの選択』、『青い珊瑚礁』ほか数々の美しく、透明感のある映像を撮影した。どんなシーンも絵画のように美しくしてしまう方ですが、惜しくもエイズで亡くなりました。  トリュフォー作品では『野性の少年(1969) 』『家庭(1970) 』『恋のエチュード(1971)』『アデルの恋の物語(1975) 』『恋愛日記(1977) 』『逃げ去る恋(1978) 』『緑色の部屋(1978)』『終電車(1980)』『日曜日が待ち遠しい!(1982) 』の9本で撮影を担当した。ローソクと自然光の佇まいが美しい『緑色の部屋(1978)』、石油ランプによる「ソフト・ライト」の『恋のエチュード(1971)』など本当にネストール・アルメンドロスのカメラは絵画的で美しい。 「アルメンドロスとの出会いと協力から、わたしの新しい━ある意味では真の━映画的キャリアが始まった....。」 『恋のエチュード(1971)』 『アデルの恋の物語(1975)』 『アデルの恋の物語(1975)』 監督: テレンス・マリック 『天国の日々』 穂に光受け黄金色に輝く麦畑、四季折々につれ変化を見せる農場などの自然描写、季節労働者や大道芸人たちの横顔など、まるで絵画を思わせる美しい映像はネストール・アルメンドロスに1978年度アカデミー賞撮影賞受賞をもたらした。 <右>ジャン・ルノワール しかしながら、ヌーヴェル・バーグの旋風を巻き起こし、硬直した仏映画からの逸脱を試みたトリュフォーでしたが、振り返って見るとトリュフォーはトリュフォー自身が敬愛するマルセル・カルネやジャン・ヴィゴ、ジャン・ルノワール、ロベール・ブレッソン、ジャック・タチからの引用など、伝統的な仏映画を意識的に継承した作品を多く撮るようになります。その事の是非はともかくとして、低予算によるロケ中心の撮影方法のヌーヴェル・バーグから、最も優れた撮影監督ネストール・アルメンドロスとの九本の芸術的協力関係が達成した映画は、まさにトリュフォー的なスタイルを確立していったものと思います。元映画批評家らしく映画史に残る大監督達へのオマージュが多くちりばめられた映画を多く監督していますが、私には、良くも悪くもフランス映画な女性的で、ある意味”隙の多い映画”として感ぜられあまり賛同するものではありません。自分史に重なるような<アントワーヌ・ドワネルの冒険 五部作>は共感を呼び、好きなシリーズです。 83年の夏、「日曜日が待ち遠しい!」の次の作品の脚本に取りかかっていたところ発作に襲われ、脳の手術を受ける。入院中にはファニ-・アルダンとの間に女の子が生まれている。 84年10月21日、脳腫瘍のためこの世を去る。享年52才だった。 21本の長編映画と4本の短編映画を世に遺した。 YOKO MY LOVE 「芸術という言葉は人間が内に秘めている偉大さを人間に自覚させようとする企てを意味するものであって欲しい。」(アンドレ・マルロー「侮蔑の時代」) 奇しくも、私にとってのヌーヴェル・ヴァーグは確かに『大人はわかってくれない』で始まり、観たくて観たくて焦がれていた『ママと娼婦』をDVDで観たことで終わり、それらにジャン=ピエール・レオーの存在があったことに深い感慨を覚えます。この間、ン十年、映画につれ色々な事ありましたが....やっぱり映画に愛をこめて!新しい波の余白に.....徒然なるままに。  (´-`).。oO 。

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