『梁塵秘抄』 または ”わしふぃーるど”

2010/10/19(火)21:29

『フォロー・ミー FOLLOW ME』DVDついに発売!前編

  『フォロー・ミー FOLLOW ME』DVDついに発売!発売予定日は2010年11月26日です。 2005年2月12・13日に発表したものの再録です。 ■隠れた名作「カイロの紫のバラ」!映画の妖精!ミア・ファロー■   「アリス (ALICE 1990)」 ■「カイロの紫のバラ (THE PURPLE ROSE OF CAIRO 1985) 」■ 監督/脚本■ ウディ・アレン 出演■ミア・ファロー/ジェフ・ダニエルズ/ダニー・アイエロ  古き良き30年代、熱心に映画館に通いつめるることで孤独を癒していたウエイトレス、セシリア(ミア・ファロー)に、ある日スクリーンの中から映画の主人公が語りかけてきた。銀幕を飛び出し、現実世界へ降り立ったその主人公は、ウェイトレスを連れて劇場を後にする。 30年代のニュージャージーを舞台に映画に生きがいを求める人妻の姿を夢と現実を織りまぜて描き、映画ファンの夢をかなえてくれたウッディ・アレン!自身の出演なしに脚本・監督したファンタステイックなラブ・ロマンスの傑作! 30年代半ば、大恐慌の波がまだ鎮まらない不況のニュージャージー。夫のモンク(ダニー・アイエロ)は失業中で、かわって妻のセシリア(ミア・ファロー)が、レストランのウェイトレスをやって生活を支えていた。 彼女の夫は仕事もなく、酒を飲んでは暴力をふるうばかりで、満たされない。自らもウエイトレスの仕事では、お客さんの注文を間違える、うっかり皿を割ってしまう……、ウェイトレスの仕事も満足にできないドジな女、ヘマばかりしていつも怒られてばかり...。 ぶらぶらと遊び歩いてはセシリアからチップを奪い取ってゆくモンクには何の期待もない毎日だが、彼女には、心の支えとなる楽しみがあった。それは、映画を見ることで、好きな映画は何回もくり返して見ていた。夫に一緒に観に行こうと誘っても断られ、一人映画館へと足を運ぶシシリア。上映中の映画は『カイロの紫のバラ』。 日常生活ではさえない主婦が、映画館の暗闇のなかに逃避して、夢を見る...。 映画には、夢のような恋物語が......憧れの俳優と手に手を取っての逃避行...この映画はそんな映画ファンの心理をよく表現してるなあと思いました。.....これって映画のやさしさ?  セシリアは、もう、「カイロの紫のバラ」という映画に夢中になっており、登場人物の一人である冒険家トムに一目惚れ!何と今日は5回目だった。そのことに気付いた映画の主役のトム・バクスター(ジェフ・ダニエルス)は、なんと映画のスクリーンから抜け出し、客席のセシリアに語りかけたからさあ大変!  「この映画が好きなんだね。前にも2度来てただろう。」  しかし、そのため「カイロの紫のバラ」はドラマ進行が止まってしまい、失神する観客。 「戻れ!」と叫ぶスクリーン上の共演者はウロウロ、セリフも関係なしに、勝手に言い争いを始めて大混乱になってしまいます。  スクリーンから抜け出してきたトムに「映画は?」と訪ねるセシリア、「もうやめた。2千回も同じ芝居やってらんないよ」とトム。 二人は劇場を抜け出し外に行ってしまいます。  トムが出現した、この場末の劇場は、映画館から主演俳優が暴走し始めちゃうという奇想天外なことになったということで一躍、名所となってしまいます。この、登場人物がスクリーンから飛び出すという発想が面白い。これは、「キートンの探偵学」が元ネタになっていますね。  当のトムは、セシリアの純な心にうたれ、恋をしてしまう。そこへ、トム・バクスターを演じた役者ギル・シェバード(ジェフ・ダニエルス)も現われて、自分のスキャンダルになるからトムにスクリーンの中に戻るよう説得しようと、セシリアの前に現れたものの、彼もセシリアに恋してしまい話はややこしくなる。スクリーンから出てきたトム・バクスターと、彼を演じたギル・シェファードの両方から求愛されて、有頂点の時を過ごすセシリア。 ギル「お前は本物の人間じゃないんだぞ。ぼくが創ったんじゃないか、早くスクリーンに戻れよ」 トム「いやだ、ぼくは現にここにいる。セシリアと一緒でなきゃどこにも行かないぞ」 ...セシリアは現実に存在する俳優のギルを選んだのです.....。主演俳優はやはり自分の居場所、スクリーンに帰り、「夢」は終わります。ギルはセシリアにいっしょに旅立とうと誘う。  ギルといっしょに旅立とうと決意したセシリアは家に帰り、ののしるモンクに別れを告げてギルとの約束の場所に向かった。しかしギルはひとり飛び発った後で、残されたセシリアは、まっすぐ家に帰る気になれず、またとぼとぼと劇場に行った。  すでに「カイロの紫のバラ」は終わって「トップ・ハット」に変わってしまっていた。しかし、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの「チーク・トゥ・チーク」のダンス場面、ジンジャーの羽根の衣装、アステアの洗練、2人の夢のようなダンス。踊りを見るうちに、いつしか、またセシリアの瞳に輝きが甦えるのだった。ああ、映画っていいなあ!名場面です!U^ェ^U  映画そのものへのオマージュ、映画への愛を感じる作品。映画を観ている時間ぐらい、観客は<虚>の世界である映画に同化していたいもの。映画と現実は違う、そんなことは百も承知の上。すべての映画ファンの夢を映像という形で見せ、夢の続きへといざなってくれるウディ・アレン。ミア・ファローを愛し、彼女を主演に据えた作品を撮るようになって、かつてみられた神経症的ないらつきが消え、かわってやさしさと穏やかさが見られるようになりました。その映画に対する溢れんばかりの愛情に最敬礼です。映画を楽しむことの原点に立ち返らせてくれる映画です。  心から映画を愛する世界中のすべての人への、ウディ・アレンからのささやかな、それでいて極上のプレゼント。 「世界中がアイ・ラヴ・ユー」! ■「ローズマリーの赤ちゃん」(1968・米)■は2/5の日記でご覧下さい。 監督:脚本:ロマン・ポランスキー 原作:アイラ・レビン  出演:ミア・ファロー/ジョン・カサベテス/モーリス・エバンス/ルース・ゴードン 映画と対話するために.....。!U^ェ^U  ウディ・アレンは1992年、ミアが前夫で指揮者・作曲家のアンドレ・プレビン氏と結婚している時に養女に迎えたスーン=イ・プレビンと関係をもったことが発覚し、夫婦関係は完全に破局した。ミアが偶然、アレンの自宅でスーン=イのポラロイドのヌード写真(足を大きく広げたヌード写真など)を発見したのだ。  ミアがスーン=イに「いつからの関係か?」と問い詰めると、「高校3年から」と 答えたという。激怒したミアは彼女に襲いかかり、彼女の顔を殴った。そして、ミアは我が子と永遠の別れをすることになった。親権争いの裁判でアレンは息子の訪問権だけ。ウディとミアの間には養子を含めて3人の子供がいたが、ミアは1992年、アレンが当時5歳の養女ディラン(現在の名前はマローン)に性的虐待を加えたとして訴え、2人の激しい親権争いが始まった。ミアのアレンに対する攻撃は容赦なかった。結局、裁判でアレンは自分の血のつながったただ1人の息子シーマス君(当時の名前はサッチェル)に裁判所命令による監督の下でしか会うことができなくなった。 彼は一貫して養女に対する性的虐待を否定したが、彼に対する汚名と不名誉は消すことのできないものとなった。  アレンはスーン=イと1997年に結婚し、養女を迎えているそうな。 ■映画の妖精!ミア・ファロー(Mia Farrow)■後編は前のページに!■

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