陰惨アサイラム

2007/04/09(月)12:45

実質的暴力の前では平行線にしかならない議論など無意味・無効、とか。

戯言(34)

 思索家ルーキュスは、さすらいの旅の中で、ある日未知のもの、女に出会った。彼はそれまでそんなものに出会ったことがなく、最初は彼女が自分に似ている不思議さにうち震えた。しかし、それから少しばかりこわくもあったので、彼はすべての男たちに向って叫んだ。「見よ! 私は彼女の顔を見ることができる。そして、それは彼女にはできない――だから女はけっして私のようにはなれない!」こうして彼は、男が女よりすぐれていることを証明し、仲間である他の男たちとともに大変ほっとした。その女は反論する。「ええ、あなたは私の顔を見ることができて、それはたしかに私にはできないことです。しかし、わたしはあなたの顔を見ることができ、それはあなたにはできないことです! 私たちは対等です」しかしルーキュスは予想外の反撃で答えた。「失礼ながら、もしあなたが私の顔を見ることができるとお考えなら、それは思い違いをしておられるのです。あなたがた女がすることは、われわれ男がすることと同じではない――私がすでに指摘したように、程度が劣っているので、同じ言葉で呼ぶのはふさわしくない。まあ『女見る』と呼べばいいでしょうか。ところで、あなたが私の顔を『女見る』ことができるという事実には、何の意味もありません。事態が対称ではないのですから。おわかりですか?」「『女わかり』をいたしました」とその女は『女こたえ』をして、『女あるき』をして去った。  ホフスタッター著:ゲーデル、エッシャー、バッハより抜粋 「というわけだ、女よ。男の方がすぐれているのだっ」 「いや、しかしルーキュスさん……」 「黙れっ、『女口答え』をするつもりか!」 「……うりゃっ」 「うぐぉっ。貴様っ、『女なぐり』をしおったな!」 「黙れ」  べきばしぼこばきげしげしげしぐしゃっ! 「ぬぐはっ。『女ジャブ』、『女ストレート』、『女アッパー』、『女フック』、『女ヤクザキック』のコンボとは、さては貴様ただの女では――ってうわあ痛いもうやめてー」  こういう事になると思う。

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