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君ノ夢

「君ノ夢」


今日、君の夢を見た。

あの頃と何も変わらない君と、当て処のない旅をしていた。
いや、片田舎に住み始めたばかり・・・な情景だったかもしれない。

誰も知らない場所で暮すこと。
二人だけの世界。
夢の中の温度は、暖かく、深く満ち足りていた。

町の片隅にある老夫婦の営む小さな店に、背中の曲がった小型犬がいた。
長年散歩もしてやれずに太陽に当たらなかった所為か、佝僂病に掛かった犬だった。
その犬は君に懐き、君は老夫婦に「これからは自分が散歩に連れていってもいいか?」と訊ねていた。
その言葉は、興味本位でその場限りの偽善からではなく、君が此の地へ腰を落ち着けることを、夢の中の私へと伝えた言葉のように感じた。

そう・・・生きていく為には心地の良い居場所が大事。
たとえそこが、あばら家であっても、
たとえお金がなく、1つのモノを二人で分け合いながら生活したとしても、
私の全てを包み込んでくれる、その手の温もりと、優しい笑顔があれば、私はそれだけで生きてゆける。

何ひとつ変わらない、優しい君と二人で・・・。


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